通信制高校の美術教育「紙からデジタルへ」 GIGAスクール構想におけるibisPaint Eduの可能性
~活用事例紹介「ibisPaintで広がる世界」 Vol.6~

モバイルペイントアプリ「ibisPaint(アイビスペイント)」を開発・運営する株式会社アイビス(東証グロース、証券コード:9343、代表取締役社長:神谷 栄治)では、「アイビスペイントで広がる世界」と題した不定期連載を掲載中。世界200を超える国と地域にユーザーをもつibisPaintが、どのようなシーンで活用され、クリエイティブが生まれているのかご紹介いたします。
今回は、通信制高校として全国に学習センターを展開するヒューマンキャンパスのぞみ高等学校で美術教育にデジタルツールを取り入れている、茂原本校の吉岡教頭にお話を伺いました。吉岡教頭は美術のレポート課題に「ibisPaint Edu(アイビスペイントエデュ)」を導入し、紙からデジタルへと制作環境を一新。生徒全員が所持するICT端末を活用しながら、場所や時間に縛られずに創作に取り組める仕組みを築いてきました。本記事では、この取り組みの背景や導入の経緯、生徒たちの反応、そしてこれからの美術教育の可能性についてご紹介します。
通信制高校ならではの学習環境とデジタル移行の背景
―まずはじめに、ibisPaint Eduの導入を検討されたきっかけについて教えていただけますか?
吉岡教頭:うちは通信制の高等学校なので、毎日通学して授業を受けるわけではありません。基本は自宅や学習センターでの自学自習です。美術も教室で授業を行うのではなく、レポート課題を提出して単位を取得する形式になっています。全生徒が学習用のタブレットを持っているので、それを活用して紙を使わずに完結できるレポート作りを考えていました。これまでは紙に描いた作品をスキャンして提出していましたが、今年度からはWeb提出に切り替えました。その中で、実技課題に適したペイントソフトを探していて出会ったのがibisPaint Eduです。機能性や使いやすさが十分で、無料で利用できる点、さらに教育向けに広告表示がない点が、導入の決め手になりました。
―ibisPaint Eduを導入してみて、生徒やほかの先生方からはどんな反応がありましたか?
吉岡教頭:導入当初は、生徒も教員も戸惑いの声を聞くことがありました。生徒からは「紙のほうが楽」という声もありましたが、数か月もするとスムーズに使いこなしていて、改めて生徒たちの順応性の高さを感じましたね。教員側も長く紙でやってきただけに、いきなりのWeb化にはやっぱり不安がありました。実際の手で触る感触や、紙に描く感じを大事にすべきだと言う先生もいて、その意見もよく理解できます。一方で、これからの時代はAIや新しいツールとどう共に歩むかが問われていきます。そうした流れの中で、美術教育もデジタルとの共存を見据えた環境づくりを意識する必要があると感じています。
―吉岡先生ご自身でibisPaint Eduを触ってみてどうでしたか?
吉岡教頭:直感的に操作しやすい印象でしたね。使い勝手に関しては特に問題なく、スムーズに扱えました。ただ、私はどうしても「生徒に使わせる」という視点で考えてしまうんです。触ったことのない子たちのことを想定すると「どうやって伝えたらいいかな」と考えてしまうので、そういう意味では、やっぱり難しく感じる子もいると思います。だから、うちの学校は通常の学校と違って直接指導ができない分、ibisPaint Eduの使い方や課題例をまとめた動画教材を事前に配信し、生徒が自分のペースで学べる環境を整えました。

―実際に美術の授業でどのようにibisPaint Eduを活用されているのでしょうか?
吉岡教頭:現在、美術Ⅰの年間レポートは全6回あり、そのうち4回がibisPaint Eduを使った実技課題です。内容は「写真を使った空想画」「オリジナルコラージュ」「文化祭ポスター」「パッケージデザイン」などです。本校では芸術科目(※)のうち美術Ⅰが全員必修の科目となっているのですが、必ずしも絵が得意な生徒ばかりではないので、評価基準は主観ではなく客観的な項目を設定しています。『写真や素材を加工する』『ペイントツールを使用して色をつける』『必要な情報を入れる』など、要件を満たせば最低限合格できる仕組みです。得手不得手問わず、言われたことを「まずはやってみる」という姿勢を重要視しています。※高等学校の学習指導要領に定める芸術科目では、音楽・美術・工芸・書道のうち少なくとも1科目を選択して履修することが必修とされています。
AIはあくまで手段 禁止ではなく活用を選ぶ未来の美術教育の実践
―芸術の分野にもAI活用が広がりつつありますが、そうした流れをどうお考えで、教育の現場にはどんな影響があると見ていらっしゃいますか?

吉岡教頭:最近は、美術の授業でもAIで作った作品が出てくるようになりました。生徒の提出作品を見ていると、「あ、これはAIかな」とわかることもあるんですよ。でも、だからといって一律に評価を下げることはしていません。課題の要件をちゃんと満たしていれば、それはそれで評価しています。AIで作ったからダメという意見もあるかもしれませんが、決められた課題の中でどのように表現していくかが大切だと考えています。AIをうまく活用してデザインを生み出したという点も、クリエイティブな取り組みとして前向きに捉え、評価しています。
―先生としては、AIをあくまでツールの一つとして、生徒の表現の一つとして受け入れていらっしゃるんですね。
吉岡教頭:そうですね、AIが完全にダメだという考えではありません。AIが作ったものに手を加える編集力や判断力が、これからの時代に必要なスキルだと思います。ただし、AIの使用は手段の一つであり、評価の中心はあくまで生徒自身の表現や制作過程です。結局、AI作品を評価するのも人間ですから、その感性や、作品をより良くするための修正力を育てることがこれからの美術教育の役割の一つではないかと思っています。もちろん、従来通りAIを使わず制作することが望ましいため、AIの使用有無を明確にすることや、制作過程の把握など、課題は残ります。理想を言えば、AIで作ったかどうかを判定できる機能や、特定のツールを制限できる仕組みがあれば、教育現場としてはもっと安心して使えるかなと思います。それでも、現時点では『禁止』ではなく『活用』を軸にして、生徒の表現はできるだけ柔軟に受け止めていきたいと考えています。
リアルとデジタルの共存目指す ibisPaintで子どもたちとアートをより身近に
―GIGAスクール構想が進む中、ICT端末やデジタルツールを活用した美術・デザイン教育における今後の展望についてお考えをお聞かせください。

吉岡教頭:今の生徒たちは、普段からデジタルに触れている時間が多いんですよね。美術はやはりリアルに手を動かすことが多いんですけど、あえてそこにデジタルを取り入れることで、生徒がデジタルに親しめる土台を作っていくことも大事だと思っています。油絵やデッサンをやらせておけばいいという考え方もありますが、学習指導要領にも映像メディア表現という分野があるように、絵画・彫刻・デザインの分野でもデジタルの方向に向かわせる新しい挑戦をしていきたいんです。
もっと多様な美術の表現に親しめる世界になったらいいなと思っています。もちろん、美術の先生の中には『デジタルはちょっと…』っていう声もありますが、そこは意を決して挑戦してみましょうと、新しい時代に合わせた技術を学ばせる取り組みを始めました。これからはAIや最新のツールとも上手に付き合っていく力が必要になってきます。そういう意味でも、これからの美術はデジタルとの共存を前提にした環境づくりが大事になってくると思っています。
―最後に、このデジタルが当たり前になった時代の中で、美術を通じて生徒さんにどんな将来を歩んでほしいか、またどんな存在になってほしいかをお聞かせください。
吉岡教頭:正直、美術を学習したことによって、それだけで生徒の将来が大きく変わることはそうないと思っています。進路は、他の教科や学校行事、人との関わり、家庭での経験など、いろいろな要素が重なって決まっていくものですからね。ただ、美術に触れるからには、その魅力はしっかり知ってほしいですし、『自分には無理』とか『アートなんて関係ない』っていう苦手意識は持ってほしくないんです。ibisPaint Eduのようなペイントツールを使って簡単な絵を描くだけでも、それは立派な表現ですし、そういったデジタルツールのサポートを通じてアートをより身近に感じてもらえたら嬉しいです。そうやって『自分にもできた』という達成感を得ることで、大人になってから再びアートに触れるきっかけがあったときに、前向きに楽しめるようになると考えています。
―美術教育の現場で、ibisPaint Eduが表現の幅を広げるお手伝いができていることがとても嬉しいです。開発・運営を行う当社としても、こうした実践を今後も応援してまいります。これからもibisPaint/ibisPaint Eduを通じて、多くの方がアートの楽しさや可能性に出会える場を広げていけたらと思っております。本日はありがとうございました!
お話をお伺いしたのは
ヒューマンキャンパスのぞみ高等学校 茂原本校
教頭 吉岡 秀 氏
公立の小中学校および映像制作会社に勤務した後、大手通信制高校と現職のヒューマンキャンパスのぞみ高等学校の開校立ち上げに携わる。
専門は油彩画で、長年培ってきた表現力や技術を教育現場に活かし、生徒の創造力や表現力の育成に取り組んでいる。

ibisPaintの教育支援「ibisPaint Edu」
「ibisPaint(アイビスペイント)」は、指一本で本格的なイラストが描けるモバイルペイントアプリで、豊富な機能が一部を除き無料でご利用いただけます。19言語に対応し、世界200以上の国と地域からのダウンロード数は累計5億を達成(2025年9月末日時点)。
このibisPaintを教育機関向けにカスタマイズしたのが、「ibisPaint Edu」です。アプリ内で広告は表示されず、ソーシャルネットワーク機能も削除しているため、学校などの教育機関でも安心してご利用いただけます。

ibisPaint Eduの詳細はこちら:https://ibispaint.com/productEdu.jsp
株式会社アイビスについて
株式会社アイビスは、モバイルに精通した高度な技術のエキスパート集団です。
モバイル無双で世界中に“ワォ!”を創り続けるというミッションのもと、自社の技術を地球の裏側まで届けるべく、ビジネスをグローバルに展開しております。今後もユーザーの皆様の要望に応えるために、さらなるアプリの機能拡充や使いやすさの向上に努めてまいります。
会社名 :株式会社アイビス
本社所在地 :東京都中央区八丁堀一丁目5番1号
代表取締役社長:神谷 栄治
事業内容 :モバイルペイントアプリ「ibisPaint」の開発/運営、及び受託開発/IT技術者派遣
設立 :2000年5月11日
上場市場 :東京証券取引所グロース市場(証券コード9343)

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