「渡邊野鳥保護区フレシマ」が環境省の自然共生サイトに認定され、認定証を授与されました
■自然共生サイトについて
2022年12月にカナダ・モントリオールで開催された「第15回生物多様性条約締約国会議」で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組(以下、枠組)」や2023年3月に閣議決定された「生物多様性国家戦略2023-2030」では、生物多様性の損失を食い止め、回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ(自然再興)」の考え方が取り入れられています。枠組ではネイチャーポジティブ達成に向けて23のターゲット(目標)が設定されており、その中のひとつ「30by30目標(ターゲット3)」を達成するための国内の取り組みとして、2023年度より環境省によって自然共生サイト認定の仕組みが開始されました。
■30by30目標と自然共生サイト
30by30目標は<2030年までに各国が陸域と海域の30%を保全する>というものですが、国立公園、国定公園や鳥獣保護区のように法律や条例で守られた保護地域だけでは目標達成は難しく、OECM(Other Effective area-based Conservation Measures)として民間が所有している土地も活用することが不可欠とされています。このOECM認定のための国内の仕組みが自然共生サイトで、自然共生サイトに認定されると、前述の保護地域との重複を除いた範囲がOECMとして国際データベースに登録され、30by30目標の達成に貢献できます。
■当会独自の野鳥保護区とOECM
当会は野鳥保護区に生息する希少種を守ることで、同所に生息するさまざまな生物を守り、生物多様性の維持向上をめざしています。当会の野鳥保護区は、鳥類の生息地として重要な場所のうち保護地域になっておらず、開発の危機に瀕していたり、将来的に開発の恐れがある場所に設置していることから、典型的なOECMであると言えます。
当会独自の野鳥保護区は、1986年に会員の方から静岡県沼津市の山林を寄贈いただき、小鷲頭山(こわしずやま)野鳥保護区(2.3ha)を設置したことから始まりました。1987年には、ご寄付を元に北海道根室市の湿原を購入してタンチョウを守るための野鳥保護区の設置を開始し、2004年からはシマフクロウが生息する森林を購入してシマフクロウのための野鳥保護区設置を開始しました。これまでの約40年間の取り組みにおいてご寄付や企業、個人との協定により野鳥保護区を拡大し、現在までに北海道を中心に全国に約4,000ヘクタールの野鳥保護区を設置しています。
■30by30目標達成に向けた当会の取り組み
既往の研究が示す通り、30by30目標の達成は生物多様性保全に有効であることから、当会は同目標に賛同し、2022年度には「30by30アライアンス(事務局:環境省)」の発起人となったほか、自然共生サイト認定試行事業(令和4年度)にも参加しました。当会は、今後も鳥類の生息地として重要な生息地における野鳥保護区の設置を継続し、30by30目標達成に寄与します。
■関連するウェブサイト等
自然共生サイト認定証授与式の開催について(環境省報道発表)
https://www.env.go.jp/press/press_02302.html
自然共生サイト認定サイト情報(渡邊野鳥保護区フレシマの詳細)
30by30と自然共生サイトについて
概要はポータルサイト「30by30(環境省)」
https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/
詳細は「30by30ロードマップ(生物多様性国家戦略関係省庁連絡会議)」
https://www.env.go.jp/content/900518835.pdf
生物多様性条約締約国会議(COP15)の結果について
概要は「生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)第二部の結果概要(環境省生物多様性センター)」
https://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/treaty/files/1_cop15.pdf
当会独自の野鳥保護区について
■渡邊野鳥保護区フレシマ
2005年3月、タンチョウ繁殖地の保護を目的として、法的に保護されていない湿原と草原を渡邊士乃武(わたなべしのぶ)氏からのご寄付を元に買い取った。タンチョウ(*)は1970年代から繁殖している。また、オジロワシ(*)が繁殖し、越冬期には多数のオオワシ(*)、オジロワシが採食のために飛来する。(*いずれも絶滅危惧II類、VU)
この保護区は根室市の太平洋側に位置し、五本松川とホロニタイ川の下流域に広がる湿原と湖沼、草原で形成され、北海道の海岸線の原風景が残されている。保護区周辺も含めると面積規模も大きいことから、根室半島湿原群として、環境省の「生物多様性の観点から重要度の高い湿地(重要湿地)」にも選定されている。
草原部分にはエゾゴゼンタチバナをはじめとした希少な植物が多く生育しているので、生物多様性を維持するため、クマザサ繁茂の抑制を目的とした馬の放牧による植生管理を継続している。その結果、現在も希少な植物とそれらを利用する昆虫類が多く見られる。また、タンチョウの繁殖状況のモニタリング調査を定期的に実施している。
参考: https://www.wbsj.org/activity/conservation/bird-reserve/watanabe_gj_fureshima/
■日本野鳥の会 組織概要
組織名 :公益財団法人 日本野鳥の会(会員・サポーター 約5万人)
代表者 :理事長 遠藤孝一
所在地 :〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
URL : https://www.wbsj.org/
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