インボイス制度の課題「複雑で分かりにくい」51%で最多 --- 制度を見聞きしたことがある80%、導入は必要31%不要40% ---

[KSI Web調査] インボイス制度に関する意識調査

紀尾井町戦略研究所

 新産業に挑戦する企業に対して政策活動やリスクマネジメントのサポートなど、パブリックアフェアーズ領域で総合的なコンサルティングを行う紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:別所 直哉)は、月に2回程度、時事関係のトピックを中心としたWeb調査を全国の18歳以上の男女1,000人に行っています。

■調査の概要
 インボイス制度(適格請求書等保存方式)が今年10月以降の納品分から始まります。この制度は「インボイス」(適格請求書)と呼ばれる一定の記載事項を満たした請求書や領収書等を交付、保存する制度です。本制度に関する意識調査を全国の18歳以上の男女1,000人に行いました。調査日は7月4日、Yahoo!クラウドソーシングを利用したオンライン調査です。


■​調査結果サマリ

 インボイス制度について見聞きしたことがある人は80%だった。この制度が今年10月納品分から始まると知っている人は51%。請求書発行が9月以前であったとしても納品が10月以降に行われる場合は対象となることを知らなかった人が69%に上った。インボイス(適格請求書)に領収書やレシートも含まれると知らなかった人は61%。適格請求書は油性ボールペンなど書き換えできない筆記具なら手書きで作れることを知らなかった人は75%となった。
 今回導入するインボイス制度について、いずれも「どちらかといえば」を含めると、必要だと思う人は31%、必要だと思わない人が40%。同制度について政府による周知が十分だと思わない人が79%に達した。同制度により事業者の事務作業負担が「かなり重くなると思う」「ある程度重くなると思う」人が計68%に上った。

 これまで零細事業者に「益税」を認めてきたことを、やむを得なかったとする人は40%、不適切だったと思う人は30%。中小零細企業などにはインボイス制度による作業が煩雑すぎて経済効率を下げると思う人が56%いた。今回導入するインボイス制度の主な課題を複数回答で聞くと「制度設計が全体的に複雑すぎて分かりにくい」が最多で51%を占めた。

 自身がどの立場でこの制度に関わるかを聞くと「いずれも関わらない」34%、「わからない」22%、「買い手」17%と続いた。制度について相談できる人がまわりにいるかどうかを聞くと「そもそも相談する必要性がない」40%、「いない」31%などの順となった。制度の知識や情報をどこから得ているかを複数回答で聞くと、インターネット・動画がトップで32%だった。

 副業や兼業で1か月当たりに得ている収入を聞くと、副業や兼業をしていない人が80%、1万円未満6%、1万円以上5万円未満5%と続いた。

  • インボイス制度について「見聞きしたことがある」人は80.9%だった。それを職業別で見ると、会社役員・団体役員、会社の正社員・団体の正社員、医療・福祉関係の職員等、自営業・専門職(士業等)・自由業でいずれも8割台で最多だった。年収別では、300万円未満の各層は7割台以下だったのに対し、300万円以上の各層は8割を超えた。(Q6)

  • インボイス制度が今年10月納品分から始まることを「知っている」人は51.1%だった。それを職業別に見ると、自営業・専門職(士業等)・自由業が7割台で最多となり、次いで会社役員・団体役員、会社の正社員・団体の正職員の6割台だった。年収別では500万円未満の各層では4割台以下だったのに対し、500万円以上の各層は6割を超えた。(Q7)

  • 今回始まるインボイス制度は請求書の発行が9月以前であっても納品が10月以降に行われる場合には対象となることを「知らなかった」人が69.3%に上った。知っている人25.6%を職業別に見ると、会社役員・団体役員、教職員で5割と最多だった。年収別では、全体的に年収が上がるほど知っている割合が増える傾向があり、2000万円以上の層では7割を超えた。(Q8)

  • インボイス(適格請求書)には領収書やレシートも含まれることを「知らなかった」人が61.0%を占めた。知っている人34.2%を職業別に見ると、教職員が5割で最多となり、会社役員・団体役員、会社の正社員・団体の正職員、公務員(団体職員や教職員を除く)、医療福祉関係の職員等、自営業・専門職(士業等)・自由業で4割台だった。年収別では、全体的に年収が上がるほど知っている割合が増える傾向があった。(Q9)

  • 適格請求書は油性ボールペンなど書き換えできない筆記具なら手書きでも作成できることを「知らなかった」人が75.3%に達した。(Q10)

  • 政府はインボイス制度導入の「目的」を複数税率に対応する正確な納税のためなどと説明していることを「知らなかった」人が62.7%を占めた。(Q11)

  • 今回導入するインボイス制度について、どちらかといえばを含め「必要だと思わない」人が40.7%で、どちらかといえばを含め「必要だと思う」とした31.7%を上回った。後者の31.7%を職業別に見ると、会社役員・団体役員、会社の正社員・団体の正職員、公務員(団体職員や教職員を除く)、契約社員・パート・アルバイト等、年金生活・無職が3割台で最多だった。支持政党別に見ると、自由民主党と公明党で5割を超え最多となる一方、れいわ新選組、社民党、参政党は1割台で最も少なかった。(Q12)

  • インボイス制度について政府による周知が「十分だと思わない」人が79.8%に達した。(Q13)

  • インボイス制度により、事業者の事務作業負担が全体的に見て「かなり重くなると思う」「ある程度重くなると思う」人が計68.6%を占めた。かなり重くなると思うと答えた人を職業別に見ると、自営業・専門職(士業等)・自由業が4割で最多となり、次いで会社役員・団体役員、会社の正社員・団体の正職員、公務員(団体職員や教職員を除く)、医療・福祉関係の職員等の3割台だった。(Q14)

  • インボイス制度導入に伴う政府による補助金や経過措置などの負担軽減策があることを「知らなかった」人が71.2%に達した。(Q15)

  • インボイス制度導入に伴う政府の負担軽減策について、どちらかといえばを含め「不十分だと思う」人が61.8%を占めた。(Q16)

  • これまで零細事業者を免税事業者だとして「益税」を認めてきたことを「やむを得なかった」とする人が40.0%、「不適切だったと思う」人が30.6%だった。(Q17)

  • 政府が消費税課税開始後も、これまでインボイス制度を導入してこなかったことを「やむを得なかったと思う」人が32.7%、「不適切だったと思う」人が28.1%だった。(Q18)

  • 中小零細企業などはインボイス制度による作業が複雑すぎて経済効率を低下させるとの指摘について「その通りだと思う」人は56.5%を占めた。(Q19)

  • 今回のインボイス制度の主な課題を複数回答で聞くと「制度設計が全体的に複雑すぎて分かりにくい」51.0%が最多だった。(Q20)

  • 自身がどの立場でインボイス制度に関わるかを聞くと「いずれも関わらない」34.8%、「わからない」22.5%、「買い手」17.9%と続いた。(Q21)

  • 自身が課税事業者として登録済み、あるいは登録申請済みかを聞くと「事業者ではないので登録も登録申請もしていない」59.5%が最多だった。(Q22)

  • インボイス制度をめぐり、課税事業者として登録申請手続きをした感想を聞くと「登録申請手続きをしていない」71.0%がトップだった。(Q23)

  • まわりにインボイス制度について相談できる人がいるかどうかを聞くと「そもそも相談する必要性がない」40.6%、「いない」31.1%と続いた。(Q24)

  • インボイス制度について情報や知識をどこから得ているかを複数回答で聞くと「インターネットや動画」32.7%が最多だった。(Q25)

  • 自身が副業や兼業をしているかと、している場合は課税事業者になるかどうかを聞くと「副業や兼業はしていない」が75.0%に上り、「副業や兼業をしていて、課税事業者になる予定はない」7.0%などとなった。(Q26)

  • 副業や兼業で1か月あたりに得ている収入について聞くと、「副業や兼業をしていない」80.4%、「1万円未満」6.2%、「1万円以上5万円未満」5.4%と続いた。(Q27)

  • 自身が行っている副業や兼業の種類を自由記述方式で聞いたところ、種類を大まかに分類すると「サービス、小売、販売業」26人が最多で「ポイント活動、アンケートやモニター調査への回答」18人が続いた。(Q28)

  • 個人事業主やフリーランスが課税事業者登録すればインターネットを通じて登録番号から氏名を検索できることについて「氏名の場合は検索できないようにすべきだと思う」が41.1%、「やむを得ないと思う」24.4%となった。(Q29)

  • 事業者のデジタル化や効率化のため日本のデジタルインボイスの標準仕様「JP PINT」が普及することに「期待していない」「あまり期待していない」が計47.9%、「わからない」が32.5%、「大いに期待している」「期待している」は計19.6%だった。(Q30)

  • 次期衆院選の小選挙区でどの政党の候補者に投票したいかを聞くと、自由民主党17.3%(前回6月14日17.5%)、日本維新の会12.1%(13.7%)、立憲民主党4.5%(4.4%)、国民民主党2.9%(3.7%)と続いた。(Q31)

  • 次期衆院選の比例代表でどの政党の候補者に投票したいかを聞くと、自民16.3%(前回6月14日16.7%)、維新12.1%(15.1%)、立憲4.9%(4.6%)、国民3.2%(4.7%)と続いた。(Q32)

  • 岸田内閣を「支持する」18.4 %(前回6月14日20.4%)、「支持しない」63.5%(59.5%)。(Q33)

  • 政党支持率は自民17.9%(前回6月14日19.6%)、立憲4.4%(4.2%)、維新11.1%(12.7%)、公明党1.7%(0.9%)、国民2.8%(3.2%)、共産党2.0%(1.8%)、れいわ新選組2.2%(2.1%)、社民党0.6%(0.3%)、政治家女子48党(旧NHK党)0.7%(0.8%)、参政党0.9%(0.5%)、その他の政党・政治団体0.4%(0.6%)、支持する政党はない50.6%(49.6%)。(Q34)

調査レポートの詳細      https://ksi-corp.jp/topics/survey/web-research-54.html

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 【調査概要】
 ・調査期間: 2023年7月4日
 ・調査機関(調査主体): 紀尾井町戦略研究所株式会社
 ・調査対象: 全国の18歳以上の男女
 ・有効回答数(サンプル数): 1,000人
 ・調査方法(集計方法、算出方法): インターネット上でのアンケート
     ※「Yahoo!クラウドソーシング」(https://crowdsourcing.yahoo.co.jp/)を活用
 
 【紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI:https://www.ksi-corp.jp/)について】
 KSIは2017年にZホールディングス株式会社の子会社として設立され、2020年4月に独立した民間シンクタンク・コンサルティング企業です。代表取締役の別所直哉は、1999年よりヤフー株式会社(現Zホールディングス株式会社)の法務責任者として、Yahoo! JAPANが新規サービスを立ち上げるにあたり大変重要な役割を担ってきました。その中で培った幅広いネットワークや政策提言活動を通じて得られた知見をもとに、新産業に挑戦する企業に対して政策活動やリスクマネジメントのサポートなど、パブリックアフェアーズ領域で総合的なコンサルティング行っているほか、社会に貢献していくという方針を軸に多様なサービスを提供しています。
 
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紀尾井町戦略研究所株式会社

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業種
サービス業
本社所在地
東京都港区赤坂4-1-32 赤坂ビル2F
電話番号
-
代表者名
別所 直哉
上場
未上場
資本金
-
設立
2017年04月