イノベーション総研が独自調査「新規事業に関する実態調査」を実施―新規事業の成功と失敗を分けるものを、大企業の新規事業経験者888人の回答から分析|失敗を科学し、成功をつくる

顧客との対話が多く、経営層と合意したKPIで判断を続けていたプロジェクトの黒字化率24.3%とそうでない層の約3倍。新規事業プロジェクトの成否を分ける要素を徹底分析

株式会社イノベーション総合研究所

株式会社イノベーション総合研究所(以下、イノベーション総研)は、従業員1,000人以上の企業で過新規事業へ関わった888人を対象に、独自調査「新規事業に関する実態調査」を2026年4月に実施(調査パネル:マクロミル)しました。「失敗を科学し、成功をつくる。」を掲げるイノベーション総研は、黒字化に到達したプロジェクトの進め方と、失敗の予感に気づいてから撤退を判断するまでの過程の両面から、新規事業の成功と失敗を分けるものを分析しました。

■ 主な4つの発見

  • 発見1:顧客との直接対話が11回以上で、経営層と合意したKPIが判断基準として機能していたプロジェクトの黒字化率(投資回収の見通しを含む)は24.3%。どちらもなかったプロジェクト(8.1%)の約3倍

  • 発見2:失敗を予感した人の90.9%は上層部や関係者に伝えていました。そのうち16.6%は受け入れられず、軌道修正につながりませんでした

  • 発見3:失敗の予感を、実際の顧客の声として伝えた人のうち23.6%は受け入れられず、収支データや代替案を示した場合は約13%。リーダーが顧客の声で伝えた場合は34.9%、意思決定者は28.1%

  • 発見4:事業開始前に明文化した場合は38.1%が守られず、開始後に明文化した場合の17.2%の約2倍守られていなかった

■ その他の本調査結果(一部抜粋)

  • 新規事業を推進するうえでの最大の障壁は「意思決定スピードの遅さ」22.1%

  • 経営層と現場の間で認識のずれを感じたことがある人は76.1%

  • 新規事業の業務に生成AIを活用している人は90.7%

  • 直近の新規事業で黒字化(投資回収の見通しを含む)に到達した人は11.0%

本リリースでは、新規事業の実態に関する結果を図表で公開します。調査結果・調査方法の詳細は、イノベーション総研の公開調査ページでご覧いただけます。

新規事業の実態調査2026(調査結果・調査方法)

PDF版の調査レポートは、下記リンク先よりお申し込みいただけます。

成功と失敗を、進め方と過程から調べる

新規事業の失敗は、成功率や失敗の原因の順位で語られることが多くあります。

イノベーション総研は「失敗には、パターンがある」と考え、成功と失敗を、結果の割合だけでなく、事業の進め方と、兆候に気づき、伝え、判断し、修正するまでのプロセスから捉え、様々な観点で調査結果を分析しました。

発見1:顧客との対話が多く、経営層と合意した目標で判断していた事業は、黒字化率が約3倍

ターゲット顧客と直接対話した回数が11回以上の事業の黒字化率は18.3%で、10回以下の8.5%の約2倍でした。また、KPIを経営層と合意して設定し、判断基準として機能していたプロジェクトは15.7%で、それ以外の9.1%を上回りました。

顧客対話とKPIの運用別にみた黒字化率。投資回収の見通しを含む。

この2つがそろっていたプロジェクトの黒字化率は24.3%で、どちらもなかったプロジェクト(8.1%)の約3倍です。

対話11回以上+KPIが判断基準として機能24.3%、11回以上+それ以外13.6%、10回以下+KPIが機能10.1%、10回以下+それ以外8.1%。

一方、経営層と現場の認識のずれを感じたかどうか(10.9%と11.3%)や、生成AIを活用しているかどうか(11.1%と10.8%)では、黒字化率はいずれも約11%で大きな差は見られませんでした。

認識のずれ・生成AIの利用有無別にみた黒字化率。いずれも約11%。

黒字化率が高かったプロジェクトは、顧客の反応を数多く確かめ、その結果を経営層と合意した基準で判断していたと考えられます。認識のずれをなくすことや新しい道具を使うこと自体より、顧客から得た事実を実際の判断に結びつける仕組みが、成否に関わっていると考えます。

発見2:失敗の予感の90.9%は伝えられていた。止まりやすいのは「受け入れ」の段階

担当者が感じた失敗の兆候は、どうプロジェクトに反映されるのでしょうか。

プロジェクトの途中で「このままでは失敗する」と感じた経験と、そのときの報告・進言について、直近の経験を尋ねました。

失敗を予感した人は85.6%で、そのうち90.9%が上層部や関係者に報告・進言し、さらにその報告・進言した人の83.4%は軌道修正につながりました。

一方、報告・進言できなかった人は回答者全体の7.8%で、理由は「組織の空気・同調圧力」「客観的なデータ・根拠の不足」などでした。一方、報告・進言して受け入れられなかった人は13.0%でした。

失敗の予感は、言えずに止まる人より、伝えた後に受け入れられずに止まる人のほうが多い、という結果になっていました。

発見3:受け入れられるかは、何を示したか、誰が伝えたかで変わる

失敗の兆候について報告・進言した人について、どう報告したのか示した根拠別に、受け入れられなかった割合を比べました。

そこで意外だったのは、顧客の声・現場の事実を示した場合は23.6%と高い結果になっていました。

目標・指標の未達や収支データ(以下、収支データ)を示した場合は13.3%、代替案・ピボット案をセットで示した場合は13.5%で、どちらも約13%です。

報告・進言した人のうち、受け入れられなかった割合。示した根拠別に比較。

また、立場別に見ると、顧客の声で伝えて受け入れられなかった割合は、リーダーが34.9%、意思決定者が28.1%でした。同じ立場で収支データ・代替案・競合動向を示した場合は、リーダー15.1%、意思決定者8.6%です。

一方、オーナーが顧客の声で伝えた場合は3.1%で、ほかの根拠を示した場合(14.0%)より低くなりました。企業規模別に見ても、顧客の声を根拠として伝えた場合のほうが受け入れられなかった割合が高い傾向は共通していました。

報告・進言が受け入れられなかった割合。立場別・示した根拠別に比較。意思決定者とオーナーの顧客の声の群は少人数の参考値。

顧客の声は「何が起きているか」を示す重要な事実です。一方で、事業を主導する立場以外の人が顧客の声を示した場合、上層部はそれを受けて何を変えるかを判断しにくい可能性があると考えました。

イノベーション総研は、現場から失敗の予感を伝えるときは、顧客の声に「収支への影響」と「続ける・変える・やめるの代替案」を添えることを提案します。経営層の側も、現場が集めた顧客の声をどの基準で判断に使うかを、先に決めておくことが必要です。

たとえば、面談した顧客が導入に関心を示さなかった場合は、理由を追加で確かめ、必要な機能や価格の条件を特定します。そのうえで、売上見込みや投資回収の時期がどう変わるかと、「追加開発へ進む」「別の顧客層で確かめる」「開発を止める」といった次の案をあわせて示します。

発見4:明文化した撤退基準の設定しても、28.5%は守られず。事業開始前に決めた基準では38.1%

失敗の予感が受け入れられた後、事業を続けるか、変えるか、やめるかを決める物差しになるのが、撤退・中止の判断基準です。そこで、判断基準を明文化していたか、その基準が判断の場面で守られたかを尋ねました。

明文化した基準が守られなかった割合と、口頭合意が十分に機能しなかった割合。異なる回答内容を区別して比較。
撤退・中止の判断基準の設定と運用。全選択肢の結果。

判断基準を明文化していた人は72.7%で、そのうち28.5%は、判断の場面で基準が守られませんでした。

明文化した時期別に見ると、事業開始前に明文化した場合は38.1%が守られず、開始後に明文化した場合の17.2%の約2倍でした。明文化せず口頭の合意のみだった場合に「十分に機能しなかった」割合(40.8%)と同程度です。事業開始前の基準は、検証で分かった事実を反映しないまま判断の場面を迎え、使われにくくなる可能性があります。

イノベーション総研は、事業開始前に基準を決めるときに、「いつ、誰が、何を根拠に見直すか」まで決めておくことを提案します。

代表コメント

私は、新規事業は、"失敗する理由"を一つずつつぶしていくものだと考えています。

今回の調査では、顧客との対話が多く、経営層と合意した目標で判断していた事業は黒字化率が高い一方、顧客の声を根拠にした失敗の報告や、事業開始前に明文化した撤退基準は、受け入れられなかった割合や守られなかった割合が高い結果でした。

顧客から得た事実を、経営層と合意した基準で判断に使う。失敗の兆候は、収支への影響と次の打ち手とあわせて伝える。撤退基準は、事実が分かった時点で見直す手順まで決めておく。

失敗には、パターンがあり、そのパターンが分かれば、成功に近づく進め方も見えてくると私は考えています。

イノベーション総研のサービスも、こうした様々なデータに基づき、最適解をご提案しております。

取材・データ提供のご案内

  • 代表取締役CEO 長尾 浩平への取材は常時受け付けています。新規事業の失敗のパターンや、失敗の兆候を事業の判断につなげる進め方についてお話しできます。

  • 根拠別・立場別・企業規模別・業種別などのクロス集計など追加の分析データについて、取材・記事作成の目的をすり合わせの上、ご提供することも可能です。

  • 本リリースの図表は、出典(イノベーション総研「新規事業に関する実態調査」2026年4月、および公開調査ページのURL(https://iri-group.jp/knowledge/new-business-survey-2026/))を明記いただけましたら、記事において自由にご利用いただけます。

お問い合わせは、以下のフォームから、内容欄に「新規事業に関する実態調査の取材」とご記載のうえご連絡ください。

その他の設問の結果

目標の運用と、経営層と現場の関係

設問:直近の新規事業で、進捗や成否を判断する目標・指標をどの程度設定・運用していたか

経営層と合意した数値目標が判断基準として機能していたのは28.6%でした。最多は「定期的に見直したが、経営層との認識のずれで機能しなかった」45.5%です。立場別の「機能していた」は、オーナー38.9%、リーダー24.7%、意思決定者25.9%でした。

数値目標の設定と、事業の評価への活用。

設問:事業の成功確度や課題について、経営層と現場の間で認識のずれを感じたことはあるか

認識のずれを感じたことがある人は76.1%でした。内訳は「大きなずれ」12.4%、「ある程度のずれ」63.7%で、後者が多数を占めました。

経営層と現場の認識のずれ。

設問:新規事業の健全性や進捗を、社外の第三者や客観的な指標で診断・評価した経験はあるか

診断・評価の経験がある人は73.8%でした。「定期的ではないが複数回」45.5%が最多で、「定期的に実施」19.8%、「一度だけ」8.4%でした。

第三者または客観的な指標による診断・評価の経験。

設問:診断・評価の経験と、失敗の予感への対応を組み合わせ、軌道修正につながった割合を比較

失敗を予感した人のうち、軌道修正につながった割合は、診断・評価を定期的または複数回した人84.4%、一度だけの人70.0%、経験がない人47.3%でした。定期的または複数回実施した層で割合が高い結果ですが、診断そのものの効果を証明したものではありません。

診断・評価の経験別にみた、失敗の予感後の軌道修正。

新規事業の現在地と、推進の障壁

設問:直近で関わった新規事業は、現在どの段階にあるか

「事業計画・ビジネスモデル策定」28.7%が最多でした。「PoC(概念実証)・プロトタイプ検証」24.4%、「事業化・市場投入」21.2%が続きました。

直近の事業の現在の進行段階。

設問:直近の新規事業で、現在までに到達した最も進んだ段階は何か

「顧客ヒアリング・PoCで仮説を検証した(検証中を含む)」24.7%が最多で、黒字化への到達は11.0%でした。黒字化以外の回答には、検証中や販売中のプロジェクトも含まれます。

事業の到達状況。黒字化は投資回収の見通しを含む。

設問:新規事業を進めるうえで、大きいと感じた障壁は何か(大きい順に3位まで)

1位の回答は「意思決定スピードの遅さ」22.1%が最多でした。「目標・指標(KPI)や撤退基準が曖昧」15.9%、「経営層の理解・コミットメント不足」15.1%が続きました。

新規事業の推進上の障壁。大きい順に三つまで回答。

設問:PoC・検証から事業化・拡大へ移る際、大きかった障壁は何か(大きい順に3位まで)

1位の回答では「経営層の継続的な後ろ盾の不足」19.6%、「継続・撤退・方向転換の判断基準が曖昧」18.9%が上位でした。「技術的課題が解決しなかった」は2.6%で、技術以外の判断・体制の問題が多く挙がりました。

PoCから事業化への障壁。未経験・障壁なしの回答も掲載。

アイデアの起点と顧客との対話

設問:これまでの新規事業のアイデアは主にどこから生まれたか(多かった順に3位まで)

1位の回答は「現場社員のボトムアップ提案」23.1%が最多でした。「中期経営計画・全社戦略からの逆算」18.5%、「経営層・トップダウンの指示」18.1%が続きました。

これまで多かったアイデアの起点。各順位の結果。

設問:直近の新規事業で、チームがターゲット顧客・候補と直接対話した回数はどの程度か

「4〜10回」22.7%が最多でした。一方、直接対話が3回以下の人は合計45.8%で、対話を行っていない「0回」も10.6%いました。

ターゲット顧客と直接話した回数。

設問:ターゲット顧客との直接対話の回数と、事業の到達段階を組み合わせ、黒字化率を比較

回数を覚えていない人を除くと、対話11回以上の黒字化率(投資回収の見通しを含む)は18.3%で、10回以下の8.5%を上回りました。対話回数との関連を示す結果であり、回数を増やせば必ず黒字化するという意味ではありません。

直接対話の回数別にみた黒字化率。投資回収の見通しを含む。

社外の支援サービス

設問:新規事業を進める際、どの社外支援サービスを利用したことがあるか(複数回答)

社外支援を利用した経験がある人は72.6%でした。種類では「日系シンクタンク・総合コンサルティング」29.1%が最多で、外資系戦略コンサルティングと新規事業専門コンサルティングがともに23.9%でした。

これまでに利用した社外の支援。複数回答。

設問:社外支援への不満や、利用を見送った理由は何か(複数回答)

「費用が高い」36.6%が最多でした。「提案が一般論・テンプレート的」26.5%、「成果が出るまでの期間が長い」25.3%が続きました。

外部支援への不満・見送り理由。利用経験者の複数回答。

設問:新規事業の社外支援を導入する場合、最終的な承認者は誰か

「事業部長・本部長クラス」34.5%が最多でした。「経営層・役員」27.7%、「直属の上長」19.4%が続きました。

外部支援の導入を最終承認する人。

設問:社外支援の導入承認を得るために重要な材料は何か(最大3つ)

「ROI・費用対効果の試算」48.5%が最多でした。「他社の導入事例・実績」36.0%、「経営課題・中期経営計画との整合性」24.2%が続きました。

外部支援の導入承認に重要な材料。最大三つまで選択。

生成AIの活用

設問:新規事業のどの業務に生成AIを使っているか。使っていない場合、その主な理由は何か

生成AIを何らかの業務に使っていた人は90.7%でした。用途は「市場調査・情報収集」42.7%が最多で、「競合分析」35.0%、「社内ナレッジ・過去事例の検索・要約」34.8%が続きました。

生成AIの利用業務と、利用していない理由。複数回答。

担当者のキャリアと精神的な負担

設問:新規事業への関与が自分のキャリアに与えた、最も大きい影響は何か

「経験が評価され、社内での役割・責任が拡大した」23.3%が最多でした。昇進、役割拡大、スキル、人脈、経営視点など、プラスの影響を選んだ人は合計73.6%でした。

新規事業の経験がキャリアへ与えた、最も大きい影響。

設問:新規事業を進めるうえで、精神的な負担が大きかった項目は何か(複数回答)

負担を1つ以上挙げた人は89.9%でした。「チームメンバーのモチベーション維持」32.7%が最多で、「経営層への説明・説得」30.6%、「既存事業部門との調整」28.2%が続きました。

精神的な負担が大きかった項目。複数回答。

中止・撤退したプロジェクト

設問:中止・撤退した事業の判断は、適切なタイミングだったか

「基準に基づき適切な時期に判断」「明確な基準はなく経営層が決断」「続けるべきだったが早期打ち切り」が各22.2%で同率最多でした。

中止・撤退の判断のタイミング。36人の参考値。

設問:中止・撤退した事業で得られた知見・データは、社内で再活用されているか

「わからない・把握していない」33.3%が最多でした。「撤退がネガティブに扱われ共有しづらい」16.7%、「成果物を別の事業テーマに転用」13.9%が続きました。

撤退後の知見・成果物の活用。36人の参考値。

調査概要

調査名:新規事業に関する実態調査

調査主体:株式会社イノベーション総合研究所

調査実施機関:株式会社マクロミル

調査方法:インターネット調査

調査期間:2026年4月3日から2026年4月8日

調査対象:従業員1,000人以上の企業(単体)に勤務し、過去5年以内に社内の新規事業へ、オーナー、リーダー、意思決定者として関与した人。社内の業務改善・DX推進等は除く。

有効回答数:888人

株式会社イノベーション総合研究所について

イノベーション総研は、新規事業の立ち上げ・事業化を支援するプロフェッショナルファームです。事業の課題を整理する「Compass」、個社ごとに設計する新規事業AIエージェント「Plan」、専門家チームが実務を担う「TeamPro」を提供しています。

会社名:株式会社イノベーション総合研究所

代表者:長尾 浩平

所在地:〒105-6415 東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー

設立:2024年1月

公式サイト:https://iri-group.jp/

お問い合わせ:https://iri-group.jp/contact/

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ビジネスカテゴリ
経営・コンサルティング
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会社概要

URL
https://iri-group.jp
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー
電話番号
-
代表者名
長尾浩平
上場
未上場
資本金
50万円
設立
2024年01月