「地中可視化サービス」を強化し、オンデマンドで高精度な埋設物位置情報を提供
全国18事業体の実績によりAI解析精度を向上し、社会インフラの維持管理業務を高度化
株式会社日立製作所(以下、日立)と三次元地中探査技術を強みとし地質調査を専門とする応用地質株式会社(以下、応用地質)は、このたび、上下水道、ガス、電気、通信などインフラ事業者や施工・設計業者向けに展開する「地中可視化サービス*1」を強化し、クラウドを活用した新たなオンデマンドサービスとして、12月8日より提供開始します。
「地中可視化サービス」は、応用地質の地中レーダー探査装置・ノウハウと日立のLumada*2のAI・画像解析技術を組み合わせ、両社で共同開発したソリューションです。地中のガス管や水道管といった埋設物に関する位置や寸法などを高精度に可視化・一元管理し、地下掘削工事などで必要となる埋設物情報を提供します。
今回の強化では、自治体*3・鉄鋼業など全国18事業体の協力のもと、合計240km にのぼる地下レーダー探査を通じた継続的な評価検証と改良を行い、解析技術のさらなる精度向上を実現したほか、クラウドサービス(SaaS)化して利用を容易にすることで、必要な時に必要な場所の埋設物情報をオンデマンドに提供可能としたものです。広範な管路新設や更新時の計画・設計・施工の効率化、埋設管の損傷事故や工期遅延の発生リスクの低減など、社会インフラの維持管理業務の高度化が期待できます。
*1 2019年9月5日ニュースリリース 日立製作所と応用地質が、地下埋設物情報提供サービスの協業に向けた覚書を締結 https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2019/09/0905.html
なお、「地下埋設物情報提供サービス」は、現在、「地中可視化サービス」へ名称を変更
*2 Lumada:お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称 https://www.hitachi.co.jp/lumada/
*3 2021年6月10日ニュースリリース 福岡市の「インフラテック実証プロジェクト」において、レーダーやAI解析により社会インフラ保守の高度化に向けた実証に参画 https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2021/06/0610a.html
■背景
掘削を伴う埋設管の敷設工事においては、事前の安全対策のため、施工予定地における既設埋設物の情報収集が欠かせませんが、これらの情報は、通常、複数の事業者により個別に管理され、情報収集に多大な時間を要するとともに、実際の配管の位置が図面と異なるケースもあることから、重大な損傷事故や工期遅延につながるといった課題がありました。日立と応用地質は、2019年に協創を開始し、複数のインフラ事業者の地下埋設物の情報を統合的に提供するプラットフォームの開発に向け、共同で事業を推進してきました。応用地質が地中レーダー探査装置を搭載した車を走行させ路面下の画像を取得し、日立のAI解析技術により埋設管の位置座標を2次元/3次元で高精度にデータ化するなど、両社の技術・ノウハウを活用しています。
■今回強化した内容
➀全国各地での実証のノウハウを生かした高精度な解析技術
本サービスでは、レーダー探査で取得した画像から、AI解析技術により、埋設管・地中構造物・地層境界などの情報を判別しています。レーダーの反応強度は土質の状態により異なるため、全国のさまざまな場所や条件下での検証を重ね、継続的な精度向上を図っています。
今回、最新の評価検証では、実際に地中埋設工事を行い、埋設物の位置情報が正確に記載された図面上の埋設管の位置と、AIによる解析・可視化の結果を重ね合わせ、水平精度を検証した結果、対象箇所全てにおいて実際の埋設管との位置が一致するなど、高い解析精度を確認しました。また、図面上のガス管の深度と、AIによる解析結果の比較検証では、相対位置10㎝以内におさえ、位置精度の高さも確認しています。
②必要な場所の埋設物情報がいつでも閲覧可能なオンデマンドサービス
SaaS型プラットフォームにより、インフラ事業者などのお客さまが必要なタイミングで参照したい範囲の埋設物情報を確認できます。具体的には、Webブラウザ上で2次元/3次元で地下埋設物が表示され、埋設管の深度や、地上構造物からの相対距離、埋設管同士の距離など、敷設状況の閲覧が可能となります。また、既に埋設物情報がSaaS型プラットフォーム上に整備されている場所については、参照権を購入することで埋設管情報をすぐに閲覧することができます。
■「地中可視化サービス」の今後の展開
今後、工事計画や既存の埋設物情報をWebブラウザ上で一元的に管理・共有することで、事業者間の個別調整や工事立ち合いなどの工数軽減、事業者間のコミュニケーションの円滑化など、お客さまの利便性・生産性向上に一層貢献していきます。また、地下埋設物情報を建設機械と連携することにより、建設機械のMG(Machine Guidance)*4による事故の未然防止や、MC(Machine Control)*5による掘削の効率化、埋設管敷設ルート候補の自動リコメンドなどへの応用も検討していきます。
日立および応用地質は、本サービスにより、社会インフラの維持管理業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援し、人々の安心・安全な生活に寄与します。
*4 地下埋設物の情報をもとに、一定深度に機械のポイント(爪)が到達した際にアラームを出すことにより、事故の未然防止を図ること
*5 一定深度までの掘削を自動化すること
■日立製作所について
日立は、データとテクノロジーで社会インフラを革新する社会イノベーション事業を通じて、人々が幸せで豊かに暮らすことができる持続可能な社会の実現に貢献します。「環境(地球環境の保全)」 「レジリエンス(企業の事業継続性や社会インフラの強靭さ)」 「安心・安全(一人ひとりの健康で快適な生活)」に注力しています。IT・エネルギー・インダストリー・モビリティ・ライフ・オートモティブシステムの6分野で、OT、ITおよびプロダクトを活用するLumadaソリューションを提供し、お客さまや社会の課題を解決します。2020年度(2021年3月期)の連結売上収益は8兆7,291億円、2021年3月末時点で連結子会社は871社、全世界で約35万人の従業員を擁しています。
詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)をご覧ください。
■応用地質について
応用地質は、1957年の設立以来、日本でNo.1の地質・地盤のエキスパート企業として、インフラの建設や維持管理、防災・減災、環境、資源・エネルギーの各分野において、地質・地盤調査、建設コンサルティングサービスのほか、IoTモニタリング・センシング機器の開発・製造、システムソリューションなどを提供してきました。近年では、AI や地盤三次元化技術を用いた最新ソリューションにより、インフラ・メンテナンスの高度化・効率化や地質・地盤リスクの課題解決に取り組むとともに、市場に先駆けて三次元物理探査機器や三次元データを用いた各種情報サービスの開発を進めるなど、地盤の分野から建設業界のDX、BIM/CIMの普及拡大に貢献しています。
詳しくは応用地質のウェブサイト(https://www.oyo.co.jp/)をご覧ください。
■お問い合わせ先
株式会社日立製作所 公共システム営業統括本部事業部
カスタマ・リレーションズセンタ 広報グループ [担当:猿田]
〒140-8512 東京都品川区南大井六丁目23番1号 日立大森ビル
https://www.hitachi.co.jp/public-it-inq/
応用地質株式会社 情報企画本部 地下埋設物探査プロジェクト室 [担当:岡田]
〒101-0021 東京都千代田区外神田3丁目14-10 秋葉原HFビル5階
電話:03-6260-8577(代表) 070-7530-2117(直通)
以上
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