『ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー』(NHK出版)が、科学ジャーナリスト賞 2017 を受賞
日々進化する「ゲノム編集」技術の最前線を取材した『ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー』が、科学ジャーナリスト賞 2017 を受賞した。
本賞の主催である日本科学技術ジャーナリスト会議は、受賞理由として、「『ゲノム編集』の将来性をいち早く見抜いて、早くから海外取材にも取り組み、この技術が社会に及ぼす計り知れない影響について、分かりやすくまとめた好著である。著者の素朴な疑問を積み重ねていく取材態度がとりわけ高く評価された。」としている。
なお、本書は2015 年7月30 日に放送された「NHKクローズアップ現代 “いのち”を変える新技術 ~ゲノム編集 最前線~ 」の書籍化。
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000817022016.html
DNAの遺伝情報すべての総称が「ゲノム(genome)」。遺伝子(gene)と染色体(chromosome)から合成された言葉で、これを人工的に改変するのが「ゲノム編集」である。NHKの「クローズアップ現代」が放送されたあと、2015年の年末、科学雑誌『サイエンス』が科学に最重要な業績の研究としてゲノム編集を選んだほど注目される分野だ。
遺伝子組み換えは、外から別の遺伝子を組み込み、生物の性質を変える。しかしそれは長い時間と手間を要する偶然に頼った技術だ。これに対しゲノム編集は、ねらった場所を正確に操作でき、すぐに実現できる。ゲノム編集は過去に例がないスピードで世界中の研究者に行き渡り、競うようにして改良が重ねられている。
ゲノム編集は、特にビジネスでの活用が急速に広がり始めている。人類が世界的な食糧危機に立ち向かい、例えば藻からバイオ燃料を抽出して持続可能なエネルギーを実現するなどの選択肢も提供している。
ゲノム編集された牛の
筋肉量は通常の2倍に。
マダイが1.5倍になるなど
肉量を増やすことを実現している。
(C)NHK
さらに期待されているのが医療の分野だ。これまで治療法がなかった病を治せる可能性が出てきた。病気が遺伝子に原因がある場合、患者の細胞からiPS細胞をつくり、その病気の遺伝情報を改変する。この細胞で組織や臓器をつくり出し、体に戻すことで治療を行う。iPS細胞の技術とゲノム編集の技術を組み合わせた新たな治療法の開発で、医療はまさに変わろうとしている。
創薬の分野では「疾患モデル動物」を、ゲノム編集を用いて簡単につくれるようになったことで、開発の飛躍的な効率化につながっている。
しかし課題も多い。体細胞に対しゲノム編集で治療する臨床応用はすでに行われている。この場合、遺伝子の改変は治療を受けた人にしか影響を与えない。しかし生殖細胞系と言われる、卵や精子、受精卵の遺伝子を改変すれば、その改変された遺伝子は子ども世代、孫世代、その次の世代へと受け継がれていく。まさに「人類を改変する」ことの是非が突きつけられている。またゲノム編集は生物兵器の製造、バイオテロにも応用することができる。
ゲノム編集が遺伝子組み換えの一種として規制されれば、研究開発のスピードは遅くなる。遺伝子組み換えではないとされ規制が緩やかになれば、開発のスピードは増す。
本書はノーベル賞の最有力候補とも目される、ゲノム編集の技術のメカニズムと最新成果を、国内外の研究者への克明な取材を基に明らかにする。SFだと思っていた人間の設計図を書き換えることも可能になるテクノロジーは今後どうあるのか。それを目撃し伝える迫真のレポートである。
目次
序文「ゲノム編集とiPS細胞―人類の未来のために」 山中伸弥
はじめに
第一章 生物の改変が始まった
第二章 ゲノム編集、そのメカニズム
第三章 起爆剤、クリスパー・キャス9~爆発的広がりをアメリカに追う
第四章 加速する「ゲノム品種改良」
第五章 超難病はゲノムから治せ
第六章 希望と不安のはざまで~困惑する研究現場
おわりに
インタビュー「ライフ・サイエンスの先端をいくために」 山本卓
著者情報
NHK「ゲノム編集」取材班 著
NHK大阪放送局と京都放送局で、2014年秋にプロジェクトチーム(東條充敏、松永道隆、宮野きぬ、野呂晋一、山下由起子を中心とする)を編成、ゲノム編集についての番組を制作。2015年7月に放送された「クローズアップ現代」の「“いのち”を変える新技術 ~ゲノム編集 最前線~」は、大きな注目を集めた。
商品情報
発売日 2016年7月27日
価格 定価:1,404円(本体1,300円)
判型 四六判
ページ数 224ページ
商品コード 0081702
Cコード C0040(自然科学総記)
ISBN 978-4-14-081702-5
本賞の主催である日本科学技術ジャーナリスト会議は、受賞理由として、「『ゲノム編集』の将来性をいち早く見抜いて、早くから海外取材にも取り組み、この技術が社会に及ぼす計り知れない影響について、分かりやすくまとめた好著である。著者の素朴な疑問を積み重ねていく取材態度がとりわけ高く評価された。」としている。
なお、本書は2015 年7月30 日に放送された「NHKクローズアップ現代 “いのち”を変える新技術 ~ゲノム編集 最前線~ 」の書籍化。
NHK出版サイト
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000817022016.html
DNAの遺伝情報すべての総称が「ゲノム(genome)」。遺伝子(gene)と染色体(chromosome)から合成された言葉で、これを人工的に改変するのが「ゲノム編集」である。NHKの「クローズアップ現代」が放送されたあと、2015年の年末、科学雑誌『サイエンス』が科学に最重要な業績の研究としてゲノム編集を選んだほど注目される分野だ。
遺伝子組み換えは、外から別の遺伝子を組み込み、生物の性質を変える。しかしそれは長い時間と手間を要する偶然に頼った技術だ。これに対しゲノム編集は、ねらった場所を正確に操作でき、すぐに実現できる。ゲノム編集は過去に例がないスピードで世界中の研究者に行き渡り、競うようにして改良が重ねられている。
ゲノム編集は、特にビジネスでの活用が急速に広がり始めている。人類が世界的な食糧危機に立ち向かい、例えば藻からバイオ燃料を抽出して持続可能なエネルギーを実現するなどの選択肢も提供している。
ゲノム編集された牛の
筋肉量は通常の2倍に。
マダイが1.5倍になるなど
肉量を増やすことを実現している。
(C)NHK
さらに期待されているのが医療の分野だ。これまで治療法がなかった病を治せる可能性が出てきた。病気が遺伝子に原因がある場合、患者の細胞からiPS細胞をつくり、その病気の遺伝情報を改変する。この細胞で組織や臓器をつくり出し、体に戻すことで治療を行う。iPS細胞の技術とゲノム編集の技術を組み合わせた新たな治療法の開発で、医療はまさに変わろうとしている。
創薬の分野では「疾患モデル動物」を、ゲノム編集を用いて簡単につくれるようになったことで、開発の飛躍的な効率化につながっている。
しかし課題も多い。体細胞に対しゲノム編集で治療する臨床応用はすでに行われている。この場合、遺伝子の改変は治療を受けた人にしか影響を与えない。しかし生殖細胞系と言われる、卵や精子、受精卵の遺伝子を改変すれば、その改変された遺伝子は子ども世代、孫世代、その次の世代へと受け継がれていく。まさに「人類を改変する」ことの是非が突きつけられている。またゲノム編集は生物兵器の製造、バイオテロにも応用することができる。
ゲノム編集が遺伝子組み換えの一種として規制されれば、研究開発のスピードは遅くなる。遺伝子組み換えではないとされ規制が緩やかになれば、開発のスピードは増す。
本書はノーベル賞の最有力候補とも目される、ゲノム編集の技術のメカニズムと最新成果を、国内外の研究者への克明な取材を基に明らかにする。SFだと思っていた人間の設計図を書き換えることも可能になるテクノロジーは今後どうあるのか。それを目撃し伝える迫真のレポートである。
目次
序文「ゲノム編集とiPS細胞―人類の未来のために」 山中伸弥
はじめに
第一章 生物の改変が始まった
第二章 ゲノム編集、そのメカニズム
第三章 起爆剤、クリスパー・キャス9~爆発的広がりをアメリカに追う
第四章 加速する「ゲノム品種改良」
第五章 超難病はゲノムから治せ
第六章 希望と不安のはざまで~困惑する研究現場
おわりに
インタビュー「ライフ・サイエンスの先端をいくために」 山本卓
著者情報
NHK「ゲノム編集」取材班 著
NHK大阪放送局と京都放送局で、2014年秋にプロジェクトチーム(東條充敏、松永道隆、宮野きぬ、野呂晋一、山下由起子を中心とする)を編成、ゲノム編集についての番組を制作。2015年7月に放送された「クローズアップ現代」の「“いのち”を変える新技術 ~ゲノム編集 最前線~」は、大きな注目を集めた。
商品情報
発売日 2016年7月27日
価格 定価:1,404円(本体1,300円)
判型 四六判
ページ数 224ページ
商品コード 0081702
Cコード C0040(自然科学総記)
ISBN 978-4-14-081702-5
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