WWF「企業の温暖化対策ランキング」第10弾『素材産業(1)』編

情報開示はトップレベルも、削減目標の設定に大きな課題

公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は、「企業の温暖化対策ランキング」プロジェクトにおける報告の第10弾として、本日、「化学」(37社)、「ガラス・土石製品」(7社) 、「ゴム製品」(4社)、「繊維製品」(4社)、「パルプ・紙」(3社)に属する日本企業55社を『素材産業(1)』として、その調査結果を発表しました。
-----------------------------------------------------------------------------
1.「化学」、「ガラス・土石製品」 、「ゴム製品」、「繊維製品」、「パルプ・紙」に属する計55社の温暖化対策の取り組みを21の指標で評価・比較
2.  全社が環境報告書類を発行するなど、化学製品に求められる『情報開示』の姿勢は温暖化対策にも反映し、高水準。
3.  長期目標の設定、再エネ目標の設定など、温室効果ガス排出削減の『目標』は全般的に低調。引き上げが求められる。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------

★順位総合得点(100 点満点)企業  目標・実績(50 点満点)情報開示(50 点満点)
<化学>
第1位 82.0    住友化学            36.2 45.8
第2位 79.3    富士フイルムHD  32.0 47.2
第3位 73.9    積水化学工業      25.3 48.6
第4位 68.2    三井化学            22.4 45.8
<ゴム製品>
第1位 74.3    横浜ゴム            31.3 43.1
<繊維製品>
第1位 64.1    東レ                  24.5 39.6
<パルプ・紙>
第1位 84.5   レンゴー             35.9 48.6
-----------------------------*偏差値60以上の企業
*四捨五入の関係で、足し合わせた際に小数点以下に誤差が生じる場合がある-----------------------------


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
業界全体としては、総合得点の平均は、「化学」が53.7点、「ガラス・土石製品」が44.0点、「ゴム製品」が56.6点、「繊維製品」が39.7点、「パルプ・紙」が59.9点と、これまでに調査を実施した業種とくらべると、「パルプ・紙」、「ゴム製品」がそれら業種を大きく上回り、「化学」も高水準となりました。

ただし、「繊維製品」は過去の調査業種の中でも低位でした。

WWFが重視する重要7指標においては、全業種とも、「ライフサイクル(LC)全体での排出量の把握、開示」の評価点が高く、自社事業の上流・下流における排出量の見える化に取り組んでいるのは27社(49%)となり、過去の調査業種とくらべても高水準でした。

加えて、開示情報について「第3者による評価(検証)」を受けている企業が29社(53%)と、過去最多だった「医薬品」編(43%)を大きく上回り、さらに今回初めて調査対象全55社が環境報告書類を発行するなど、化学製品という取り扱いに注意を要する製品に関わる企業に求められる積極的な『情報開示』の姿勢が、温暖化対策にも反映されていることがわかりました。

一方、『目標・実績』の面では、総量削減目標を掲げる企業が30社(55%)と過去の業種平均(42%)よりも比較的多いことがわかったものの、パリ協定に沿った「長期的なビジョン」を掲げた上で、整合性のある目標設定をおこなっていたのはわずか3社にとどまりました。

なかには、最新の温暖化の科学やパリ協定ではなく、10年前の世界のビジョンや目標を参照していると思われる例すら散見されました。

加えて、「総量削減目標の難易度」にも大きな改善の余地が認められます。

日本でも導入環境の整備が進む「再生可能エネルギー目標」も定量的な目標をもっているのは4社に過ぎませんでした。

各業種内で偏差値60以上を記録した上位企業は計7社。

住友化学、横浜ゴム、レンゴーの3社は上述の長期ビジョン・目標を掲げており、前2社は科学と整合した削減目標(SBT:Science Based Targets)に取り組んでいます。

ほかにも、すでにSBTの承認を得ている富士フイルムHD、積水化学工業、ユニ・チャームのうち前2社が上位に食い込んでいるように、SBTなどの実効性の高い取り組みを進める企業が高い評価を受ける結果となっています。

実際、上述の再エネ目標を設定する4社(日本化薬、富士フイルムHD、横浜ゴム、レンゴー)のうち、後3社がやはり上位企業となりました。

日本化薬、富士フイルムHD、横浜ゴムのように調達コスト面で有利な海外事業所から先に導入を進めるのもひとつの手と言えるでしょう。

今や実効性の高い温暖化対策は、内外で拡大するESG投資の対象となるためのカギとなっています。

添付資料:『企業の温暖化対策ランキング』~実効性を重視した取り組み評価~ Vol.10『素材産業(1)』編
https://www.wwf.or.jp/activities/data/20190517_climate01.pdf 

 

 


 
  1. プレスリリース >
  2. WWFジャパン >
  3. WWF「企業の温暖化対策ランキング」第10弾『素材産業(1)』編