不治の病「1型糖尿病」の患者・家族の想いを託し、“1型糖尿病根絶”を目指す研究5件への支援を決定

2025年 ”治らない”から”治る”へ
1型糖尿病研究基金「第17回研究費助成課題募集」には9件のご応募をいただき、その中から下記の5テーマに決定いたしました。1型糖尿病の根絶に向けて下記の先進的研究に対し、研究費を助成いたします。

全国の 1 型糖尿病患者・家族を支援する認定 NPO 法人日本 IDDM ネットワーク(理事長 井上龍夫 岩永幸三、本部 佐賀市)は、1 型糖尿病の根絶(=治療+根治+予防)を目指す研究5件に対し研究費助成を行います。

17 回目の研究費助成公募によるもので、日本 IDDM ネットワークでは、2005 年の1型糖尿病研究基金設立後、今年5月末時点で 137件7億1036万円(本研究助成を含む)の研究費助成を行っています。


1型糖尿病におけるSGLT2阻害薬の腎保護効果を予測するモデルの開発

【研究代表者】広中順也(京都府立医科大学大学院医学研究科 大学院生)

【助成金】100万円(ゲノムファンド活用プログラム2022による助成)

【研究概要】

SGLT2阻害薬という糖尿病薬は腎臓に作用することで尿中にブドウ糖を通常以上に排泄し、血糖値を下げる働きがあります。2型糖尿病のある方にはこのSGLT2阻害薬は血糖値を下げるだけでなく、腎臓を保護する効果があることが明らかとなっています。

 本研究では、通常の血液検査では計測できない体内の様々な代謝産物(糖、脂質、アミノ酸など)を測定できるメタボローム解析という方法を使って、1型糖尿病のある方の中でどのようなタイプの方にSGLT2阻害薬を投与するとより効率的に腎機能の保護効果が得られるのかを検討し、腎症の進行予防に役立てます。


焼き肉、中華料理、ピザを安心して食べられるインスリン調整法の確立(継続1年目)

【研究代表者】柚山賀彦(大阪公立大学大学院医学研究科発達小児医学 後期研究医)

【助成金】100万円(由地敏廣エンジョイ!基金による助成)

【研究概要】

インスリン治療において、「食事に対するインスリン量をどうするか」ということは、血糖値を安定させるためにとても大切な考え方です。炭水化物へはカーボカウント法を使えますが、焼き肉や中華料理、ピザなどの高タンパク・高脂質食にどう対処するのか、確立された方法は現在ありません。

 本研究では、ヒトに近く、雑食なブタを1型糖尿病と同じようにインスリンを分泌できないようにして、実験動物として使用します。ブタにはタンパク質だけ、あるいは油だけを食べさせるなど、ヒトでは再現できない極端な食事を与え、血糖変動に合わせて、インスリンの打ち方を検討し、タンパク質、脂質に対応したインスリン調整法を確立します。


化学的誘導型オルガノイドによる1型糖尿病治療

【研究代表者】宮本大輔(長崎大学大学院移植・消化器外科 助教)

【助成金】400万円(ゲノムファンド活用プログラム2022による助成)

【研究概要】

研究代表者はこれまでの研究で、肝細胞等のヒト成熟細胞から独自の培養方法により、オルガノイド(ミニ臓器)の形成技術を新たに確立しました。この方法では従来に比べて圧倒的に簡便かつ迅速にオルガノイドを提供することが可能になります。

本研究ではこの方法をヒト膵島より分離した膵β細胞に応用し、ヒト膵島からミニ膵臓を作成して、1型糖尿病に対する新たな臓器移植治療技術の開発を目指します。さらにその先には移植用「ミニ膵臓バンク」の設立も視野に入れています。


リプログラミング化技術を応用した膵島移植におけるマテリアルリサイクル技術の確立

【研究代表者】今村一歩(長崎大学大学院移植・消化器外科学 助教)

【助成金】96万円(ゲノムファンド活用プログラム2022による助成)

【研究概要】

1型糖尿病に対する膵島移植では、インスリン注射離脱を達成するために複数回の移植を必要とします。しかし日本では臓器提供者(ドナー)が少ないことから、複数回移植の機会を得ることは困難です。このドナー不足を解消するために、従来は破棄されている膵島以外の膵外分泌細胞などから膵島細胞を作成することを狙います。

具体的には近年新たな細胞の作製・保存法として期待されている「ケミカルリプログラミング化」技術を応用し、膵β細胞の作製を試みます。さらに新たに作製した膵β細胞が複数回に分けて移植できないか、大動物による実験による検証も計画しています。


キネシンによってシャペロン蛋白の局在を整える新しい抗糖尿病戦略の開発

【研究代表者】田中庸介(東京大学大学院医学系研究科細胞構築学教室 講師)

【助成金】100万円(ゲノムファンド活用プログラム2022による助成)

【研究概要】

膵β細胞にはインスリンを分泌し血糖を下げる大切な役割があります。本来は、細胞内部にあるはずのタンパク質が、細胞の表面に顔を出すことで、これを標的として免疫細胞に攻撃され「自己免疫」が起こり、1型糖尿病が発症します。

本研究では、膵β細胞内部の変化が、タンパク質の細胞表面への移行を促進していることに着目し、この表面への移行を促進するしくみについて「分子モーター」という酵素の観点から研究します。このメカニズムを解明し、このしくみを阻害するような薬を探すことで、1型糖尿病の新薬開発を目指します。


応募期間:2023年1月10日(火曜)~2023年3月10日(金曜)

今回の研究費助成課題募集の詳細は下記URLをご覧ください。

https://japan-iddm.net/news/research_grant/28847/


参考:
 1型糖尿病研究基金 第17回研究費助成課題募集(募集終了)
https://japan-iddm.net/researchers-medical-personne/grant_guideline/#et


 1型糖尿病研究基金
 https://japan-iddm.net/support/fund/research/
  

【1型糖尿病とは】
  原因不明で突然、小児期に多く発症し、現在の医学水準では発症すると生涯に渡って毎日4~5回の注射又はポンプによるインスリン補充がないと数日で死に至る難病。一般に糖尿病として認知され、糖尿病患者の大半を占める2型糖尿病に対し、国内での患者数は約10〜14万人、年間発症率は10万人当たり2人程度と希少な病であるため患者と家族の精神的、経済的負担は大きい。
 
 【日本IDDMネットワークについて】
  日本IDDMネットワークは、インスリン補充が必要とされる患者とその家族一人ひとりが希望を持って生きられる社会を実現することを目指しています。その当面のゴールは、1型糖尿病を「治らない」病気から「治る」病気にすることですが、究極の目標は“1型糖尿病の根絶(=治療+根絶+予防)”です。

 ⽇本IDDMネットワークでは、2005年の1型糖尿病研究基⾦設⽴後、今年5月末時点で 137件7億1036万円(本研究助成を含む)の研究費助成を⾏っています。

 
 【お問い合わせ先】
 認定特定非営利活動法人日本 IDDM ネットワーク

〒840-0854 佐賀県佐賀市八戸二丁目1番 27-2 号

井上龍夫(理事長)

電話:0952-20-2062 Fax:050-3385-8940 携帯:080-5127-2759

E-mail:jimukyoku@japan-iddm.net  WEB:https://japan-iddm.net/

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ビジネスカテゴリ
医療・病院医薬・製薬
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会社概要

URL
https://japan-iddm.net/
業種
医療・福祉
本社所在地
佐賀県佐賀市八戸二丁目1番27-2号
電話番号
0952-20-2062
代表者名
井上龍夫
上場
未上場
資本金
-
設立
1995年09月