仮設灰処理施設で発生する飛灰を対象とした灰洗浄実証試験における「吸着・安定化技術」に選定

放射性セシウムの減容処理技術の実現に期待

株式会社三菱総合研究所

株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:籔田健二、以下 MRI)が、株式会社フソウ(代表取締役 社長執行役員:角尚宣、以下 フソウ)および国立研究開発法人産業技術総合研究所(理事長:石村和彦、以下 産総研)と共同で提案する技術が、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(以下 JESCO)から受託した「仮設灰処理施設で発生する飛灰を対象とした灰洗浄実証試験業務(その1)」(以下 実証試験)において、放射性セシウムを吸着材に回収させ、安定化する技術に選定されました。

1.背景

環境省は2011年3月の東日本大震災により発生した除去土壌等について、中長期的な方針として「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略」を策定し、仮設灰処理施設で発生する飛灰を対象とした灰洗浄処理技術が減容処理プロセスにおいて、今後注力すべき技術であるとしています。

減容化に関する実事業への移行に向けた技術的な検討を進めることを目的として、JESCOは環境省の委託を受けて2021年度に当該実証試験業務を公募しました。MRI・フソウ・産総研の3者は共同(以下 共同提案体)で受託し、2022年12月から実証試験を開始しました。


2.実証試験の概要

実証試験は、仮設灰処理施設で発生する溶融飛灰に付着する放射性セシウムが水に溶けやすいという特性を利用し、飛灰を水洗浄して放射性セシウムを分離(以下 洗浄・脱水)させた後、水溶液中の放射性セシウムを吸着材で回収することで濃縮・減容・安定化(以下 吸着・安定化)を行うものです。

      出所:JESCOホームページ(https://www.jesconet.co.jp/interim/page_00043.html


3.選定された吸着・安定化技術について

 飛灰洗浄処理技術には、洗浄・脱水と吸着・安定化の2つの工程があります。このうち、吸着・安定化工程は複数の処理方式が想定されるため、複数者で比較試験を行い最適な技術を選定するとされていました。2023年5月、厳正な審査の結果、当共同提案体の技術が最適な吸着・安定化技術として選定されました。選定された技術は、吸着材をカラムに封入し、放射性セシウムを含む水溶液を複数段のカラムに流下、吸着させた後、前処理するとともにセメントミルク等の固型化材と混合し、安定化させるという特徴を有しています。

           出所:共同提案体にて作成


4.今後の予定

今後、MRIは実証試験の運営、フソウは吸着・安定化工程の試験設備の設置および吸着材の製造、産総研は実証試験の理論展開および非放射性セシウムによるラボ試験等を担当します。なお、飛灰が事故由来廃棄物であることに留意し、安全を十分に確保しつつ、関係法令に基づいて実証試験を進めます。

2023年度には、洗浄・脱水と吸着・安定化を組み合わせた一気通貫の実証試験を実施し、吸着・安定化工程のフェーズアップを行うとともに、減容化に関する実事業に向けた課題検討にあたります。

なお、環境省が主催する「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」における「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略工程表」では、2024年度には基盤技術開発を一通り完了する予定となっており、福島県外での最終処分に向けて本技術の成果が期待されています。

MRIは、原子力の専門知見を活かし、当共同提案体の一員として本実証試験における技術的課題を解決するとともに実事業への移行を円滑に進め、引き続き、福島地域の環境回復および復興に一層貢献してまいります。




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業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区永田町2-10-3
電話番号
03-5157-2111
代表者名
籔田 健二
上場
東証プライム
資本金
63億3624万円
設立
1970年05月