伝説の写真家の展覧会「ヘルムート・ニュートン - 真実と虚構」: スペイン・ア・コルーニャで今秋開催

株式会社ＩＴＸジャパン

2023年10月20日 10時00分

ドイツ系オーストラリア人の伝説の写真家ヘルムート・ニュートン（1920-2004）の生涯と業績を称える展覧会 - ヘルムート・ニュートン -「真実と虚構」- が、スペインのア・コルーニャで2023年11月18日から2024年5月1日まで開催します。

本展覧会は、インディテックス社の会長、マルタ・オルテガ・ペレス氏が運営するMOP財団の主催のもと、ヘルムート・ニュートン財団との協力により実現されます。キュレーションはフィリップ・ガーナー氏、マティアス・ハーダー氏、およびティム・ジェフリーズ氏の3名が担当。MOP財団がサポートする展覧会はピーター・リンドバーグとスティーブン・マイゼルに続く第3弾となります。

60年にわたるキャリアを通し、ヘルムート・ニュートンは世界の写真界に多大な影響を与え続ける存在として知られています。同展ではニュートンの仕事ぶりや対話の一連を映した動画、幼少期やキャリア、妻ジューンとのパートナーシップを示すパーソナルな画像、資料、ポスター、カメラや機材、小道具、工芸品、記念品などを展示し、作品の背後にある物語を伝るための多様な素材が展示される予定です。

特にファッション写真のキュレーションでは、ニュートンの大胆で率直な視覚言語を体現しており、その中には代表作である「Big Nudes」や、アンディ・ウォーホル、デヴィッド・ボウイ、マーガレット・サッチャー、シャーロット・ランプリング、エルサ・ペレッティ、ダリル・ハンナ、ジェリー・ホール、ナオミ・キャンベル、イヴ・サンローラン、カール・ラガーフェルドなど、エンパワーメントと自己表現を称える多数の著名人たちの肖像をフィーチャーしています。

著名なファッション写真とは対照的に、会場ではニュートンの知られざる作品である風景写真も展示され、彼が訪れた都市の情緒や特色を反映した作品も多数含まれます。パリ、ロサンゼルス、モンテカルロやベルリン、ウィーンからラスベガスまで、彼の心に響いた場所のイメージは、展覧会の開催地であるア・コルーニャの特別な雰囲気をも反映しています。

マルタ・オルテガ氏は次のように述べています。「ヘルムート・ニュートンは、一目で彼の写真だと認識できる写真家の一人です。彼の作品はファッション業界における女性の描写を一新させました。そこには、スタイルとファッション、自身の肉体のパワーと素晴らしさを楽しむ女性たち、そしてエレガントかつ魅惑的で手の届かない女性たちの姿がありました。彼の写真は、当時を体現するだけでなく時代をはるかに先取りしており、後に続く写真家たちのために華々しい舞台を用意したのです。

私が長年尊敬していた写真家たちと一緒に仕事をすることができるのは大きな特権です。ア・コルーニャの文化生活を豊かにするという想いだけでなく、次世代のイメージメーカーたちが、これらの素晴らしい写真家たちの作品からインスピレーションを見出すことを願っています」

マルタ・オルテガ・ペレス（MOP）財団は、ファッション、写真、ア・コルーニャの3つを指針としています。財団による第1回目の展示「ピーター・リンドバーグ：語られざる物語」（2021年）では10万人以上の観客を魅了しました。第2弾「Steven Meisel 1993 A Year in Photographs」では、1回目を上回る13万人以上が来場しました。

展覧会プログラムからの収益は、各名匠写真家の作品に対する深い理解を促進するためのアーティスト主導の教育プログラムに使われます。2022/2023年度のプログラムでは、ガリシア州全域の93の教育機関から9,000名の生徒と300名の教師が参加いたしました。

ヘルムート・ニュートン (Helmut Newton, 1920-2004)

1920年、ベルリンのユダヤ人家庭にヘルムート・ノイシュテッターとして誕生。幼少期から写真に興味を示す。1936年、ベルリンで肖像写真家兼ファッションフォトグラファーのイヴァ（エルセ・アーネスティ・ノイランダー-サイモン）に弟子入り。

ナチスの抑圧により亡命を余儀なくされ、1938年12月にドイツを出国。シンガポールに到着し、地元の新聞社で写真家として働く。その後シンガポールの当局により収容され、オーストラリアで5年間軍で勤務。オーストラリア市民となり、1946年にヘルムート・ニュートンに改名した。

1947年、作品のモデルとして女優のJune Brunel (ジューン・ブラン）と出会い、1年後に結婚。1950年代後半にヨーロッパに戻り、1960年代を通して英国版やフランス版「Vogue」などのファッション誌で撮影を手掛ける。

1970年代にフランス版「Vogue」で制作した写真により躍進し、1975年にパリのNikon Galleryで初の個展を開催。翌年に初の写真集「White Women」を出版した。

ニュートンは、60年間にわたるキャリアの中で、世界中を舞台に展示を刊行。さまざまな雑誌や多数の書籍に取り上げられてきた。同氏は、フィルム・ノワール、表現主義映画、シュルレアリスムなどにインスパイアされ、先鋭的でエッジの効いた、時には挑発的な題材で知られる象徴的なファッション写真家となった。

1981年にパリからモナコ・モンテカルロに移り住んだ後も旅を続け、ジューンと共に冬の数ヶ月をロサンゼルスで過ごす生活が続いた。2004年に、ロサンゼルスでキャデラックの運転中に心臓発作で死亡。

ドイツのコダック賞（写真集部門）、ライフ誌のライフ・レジェンド賞、American Institute for Graphic Artsのアワードを受賞している。更にフランスの「Grand Prix National de la Photographie」、モナコの「Officier des Arts, Lettres et Sciences」、ドイツ連邦共和国の「Das Grosse Verdienstkreuz」、フランス文化省の「Commandeur de L’Ordre des Arts et Lettres」なども受賞し、写真家として高い評価を得た。

ノーマン・パーキンソン、リチャード・アヴェドン、アーヴィング・ペンと並び、Vogueで撮影を手掛け、最も影響力のある才能ある写真家の1人となった。ニュートンの最大の支援者でありプロモーターであったのは、アリス・スプリングスという活動名で写真家としてのキャリアを築いた妻ジューンだった。ニュートンの作品は世界中で展示され、出版されてきた。彼の作品の保管および展示は、2003年にニュートン自身が設立したベルリンのヘルムート・ニュートン財団が管理を担っている。