世界最後の人跡未踏の地に挑む 古代文明が現代にもたらした<呪い>とは何か?
2017/4/27 ニュースリリース
~NHK出版より新刊のご案内~
世界最後の人跡未踏の地に挑む
古代文明が現代にもたらした<呪い>とは何か?
『猿神のロスト・シティ』発売
『猿神のロスト・シティ 地上最後の秘境に眠る謎の文明を探せ』
ダグラス・プレストン著 鍛原多惠子訳
NHK出版サイト https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000817162017.html
中米ホンジュラスの東部、ラ・モスキティア地方に地上最後の人跡未踏の地がある。ここに「シウダー・ブランカ(白い都市)」「失われた猿神王国」などとも呼ばれる「失われた都市(ロスト・シティ)」が眠っているとされていた。人による破壊や盗掘の痕跡が見られないことが事前調査の画像解析などでわかった。中米でいちばん原始に近い熱帯雨林、四方を囲む峻嶮な山々、毒ヘビや毒虫、巨大ハリケーン、さらには麻薬組織の巣窟という治安の悪さにも守られたことが、この地を人から遠ざけていた。石造りの神殿で人目を引く中南米の古代文明マヤに地理的に最も近いため、逆にその陰に隠れていたことも理由のひとつといえる。
この地上最後の秘境探査は、現代的な探検の様相を帯びていく。考古学のパラダイムシフトは「リモートセンシング(遠隔地からの検知)」と呼ばれる航空測量テクノロジーで、それで得られた地図とGPSにより、どこを探せば遺構があるかがわかるが、伝統的な考古学で収集したら数十年はかかるといわれたほど、モスキティアの都市は分散していた。襲いかかる巨大な毒蛇やうろつくジャガー、噛みつく毒虫、出られない泥沼、そして盗掘の予感……。それらをかいくぐって明らかになったのは、土塁に囲まれた予想を上回る巨大な都市とおびただしい埋蔵物だった。
今回の探検では、ジャングルを何日もかきわけるのではなく、アプローチにヘリも使っている。写真家・探検家の石川直樹氏は、「昔から存在した「探検」の方法論そのものが変化していることを本書は示している」と述べている(日本語版解説より)。さらに「技術を駆使し、従来型の探検や発掘のプロセスを短縮すればするほど、そしてそれがセンセーショナルであればあるほど、今まで地道に研究を続けてきた学者や、その名誉の蚊帳の外に置かれる地元民たちから批判が起こりうる」とも。彼らを取り巻く政治的社会的困難さを避けて通れない現実。本書はこの21世紀の新たな探検の反響も包まず描く。
猿神のロスト・シティが滅びた原因は、旧世界・ヨーロッパから新世界に持ち込まれた病だと推測される。著者たちも感染した「顧みられない熱帯病」にかかるのは熱帯の辺境で暮らす貧しい人びとで、製薬会社には治療薬を開発する経済的メリットがないため、爆発的な感染を引き起こす可能性がある。「……何世紀も語り継がれてきた伝説や有名な『猿神の呪い』について考えないではいられなかった……」。
「五百年にわたりジャングルに打ち棄てられていた都市を、二十一世紀に発見することの意味と是非。それは失われた過去の発見にとどまらず、まだ見ぬ未来をも予見する物語になりうるのかもしれない」と石川直樹氏は結んでいる。本書は古代遺跡の探検譚にとどまらず、文明の行方というものを考えさせる示唆に富む一冊といえるだろう。
著者 ダグラス・プレストン (Douglas Preston)
1956年、マサチューセッツ州ケンブリッジ生まれ。アメリカ自然史博物館にライター兼編集者として勤務し、プリンストン大学でライティングを教えた。『ニューヨーカー』『ナショナル ジオグラフィック』『スミソニアン』『アトランティック』などに寄稿。
目次
1 地獄の門
2 アメリカ大陸の某所としか教えられない
3 男は禁断の地を見たから悪魔に殺された
4 人を寄せつけない山中の苛酷なジャングル
5 猿神王国にもう一度戻って新世界の謎を解きたい
6 僕らは真っ暗な中へ舟を乗り入れた
7 クジラを食べた魚
8 ジャングルのレーザー
9 これまでそんなことをした人は誰一人いませんでした
10 あの川には二度と戻らない
11 あそこは地図にも載っていません
12 偶然ではない──ここに大きな都市がある
13 そいつは毒牙から一八〇センチメートル以上毒を飛ばす
14 花を摘んではいけませんよ!
15 ここで目に入るすべてに人の手が入っている
16 脚が動かない。沈んでいくわ
17 そこはとても古く魅力的な町だという
18 ここはもう忘れ去られてはいない!
19 論争──彼らは私たちの父祖なのだ
20 光る頭蓋骨の洞窟──南北アメリカをつなぐ鍵
21 コンドル──死と変化の象徴──が中央にあった
22 彼らがやって来て花がしおれた
23 白いハンセン病──調査隊の四人が同じ病気にかかった
24 頭が燃えるようだ──国立衛生研究所にて
25 あいつらは人の免疫系と仲良くしようとする
26 ジャガーの都市
27 私たちは孤児になってしまった。おお、わが子らよ!
日本語版解説 「新しい探検のかたち」 石川直樹
訳者あとがき
発売日 2017年04月27日
定価 2,376円(本体2,200円)
判型 四六判
ページ数 400ページ
Cコード C0098(外国文学その他)
ISBN 978-4-14-081716-2
~NHK出版より新刊のご案内~
世界最後の人跡未踏の地に挑む
古代文明が現代にもたらした<呪い>とは何か?
『猿神のロスト・シティ』発売
『猿神のロスト・シティ 地上最後の秘境に眠る謎の文明を探せ』
ダグラス・プレストン著 鍛原多惠子訳
NHK出版サイト https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000817162017.html
中米ホンジュラスの東部、ラ・モスキティア地方に地上最後の人跡未踏の地がある。ここに「シウダー・ブランカ(白い都市)」「失われた猿神王国」などとも呼ばれる「失われた都市(ロスト・シティ)」が眠っているとされていた。人による破壊や盗掘の痕跡が見られないことが事前調査の画像解析などでわかった。中米でいちばん原始に近い熱帯雨林、四方を囲む峻嶮な山々、毒ヘビや毒虫、巨大ハリケーン、さらには麻薬組織の巣窟という治安の悪さにも守られたことが、この地を人から遠ざけていた。石造りの神殿で人目を引く中南米の古代文明マヤに地理的に最も近いため、逆にその陰に隠れていたことも理由のひとつといえる。
この地上最後の秘境探査は、現代的な探検の様相を帯びていく。考古学のパラダイムシフトは「リモートセンシング(遠隔地からの検知)」と呼ばれる航空測量テクノロジーで、それで得られた地図とGPSにより、どこを探せば遺構があるかがわかるが、伝統的な考古学で収集したら数十年はかかるといわれたほど、モスキティアの都市は分散していた。襲いかかる巨大な毒蛇やうろつくジャガー、噛みつく毒虫、出られない泥沼、そして盗掘の予感……。それらをかいくぐって明らかになったのは、土塁に囲まれた予想を上回る巨大な都市とおびただしい埋蔵物だった。
今回の探検では、ジャングルを何日もかきわけるのではなく、アプローチにヘリも使っている。写真家・探検家の石川直樹氏は、「昔から存在した「探検」の方法論そのものが変化していることを本書は示している」と述べている(日本語版解説より)。さらに「技術を駆使し、従来型の探検や発掘のプロセスを短縮すればするほど、そしてそれがセンセーショナルであればあるほど、今まで地道に研究を続けてきた学者や、その名誉の蚊帳の外に置かれる地元民たちから批判が起こりうる」とも。彼らを取り巻く政治的社会的困難さを避けて通れない現実。本書はこの21世紀の新たな探検の反響も包まず描く。
猿神のロスト・シティが滅びた原因は、旧世界・ヨーロッパから新世界に持ち込まれた病だと推測される。著者たちも感染した「顧みられない熱帯病」にかかるのは熱帯の辺境で暮らす貧しい人びとで、製薬会社には治療薬を開発する経済的メリットがないため、爆発的な感染を引き起こす可能性がある。「……何世紀も語り継がれてきた伝説や有名な『猿神の呪い』について考えないではいられなかった……」。
「五百年にわたりジャングルに打ち棄てられていた都市を、二十一世紀に発見することの意味と是非。それは失われた過去の発見にとどまらず、まだ見ぬ未来をも予見する物語になりうるのかもしれない」と石川直樹氏は結んでいる。本書は古代遺跡の探検譚にとどまらず、文明の行方というものを考えさせる示唆に富む一冊といえるだろう。
著者 ダグラス・プレストン (Douglas Preston)
1956年、マサチューセッツ州ケンブリッジ生まれ。アメリカ自然史博物館にライター兼編集者として勤務し、プリンストン大学でライティングを教えた。『ニューヨーカー』『ナショナル ジオグラフィック』『スミソニアン』『アトランティック』などに寄稿。
目次
1 地獄の門
2 アメリカ大陸の某所としか教えられない
3 男は禁断の地を見たから悪魔に殺された
4 人を寄せつけない山中の苛酷なジャングル
5 猿神王国にもう一度戻って新世界の謎を解きたい
6 僕らは真っ暗な中へ舟を乗り入れた
7 クジラを食べた魚
8 ジャングルのレーザー
9 これまでそんなことをした人は誰一人いませんでした
10 あの川には二度と戻らない
11 あそこは地図にも載っていません
12 偶然ではない──ここに大きな都市がある
13 そいつは毒牙から一八〇センチメートル以上毒を飛ばす
14 花を摘んではいけませんよ!
15 ここで目に入るすべてに人の手が入っている
16 脚が動かない。沈んでいくわ
17 そこはとても古く魅力的な町だという
18 ここはもう忘れ去られてはいない!
19 論争──彼らは私たちの父祖なのだ
20 光る頭蓋骨の洞窟──南北アメリカをつなぐ鍵
21 コンドル──死と変化の象徴──が中央にあった
22 彼らがやって来て花がしおれた
23 白いハンセン病──調査隊の四人が同じ病気にかかった
24 頭が燃えるようだ──国立衛生研究所にて
25 あいつらは人の免疫系と仲良くしようとする
26 ジャガーの都市
27 私たちは孤児になってしまった。おお、わが子らよ!
日本語版解説 「新しい探検のかたち」 石川直樹
訳者あとがき
発売日 2017年04月27日
定価 2,376円(本体2,200円)
判型 四六判
ページ数 400ページ
Cコード C0098(外国文学その他)
ISBN 978-4-14-081716-2
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