【調査レポート】学校の生成AI活用、トップ5%の教員が全利用の38%を牽引。データ500万件から見えたロングテール構造

〜 生徒導入校では教員の活用度が1.6倍に向上。管理職のアクティブ化が組織浸透の鍵 〜

スタディポケット株式会社

学校向け生成AIプラットフォーム「スタディポケット」を提供するスタディポケット株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:山地 瞭/鶴田 浩之)は、全国の小中高校における教員・生徒の生成AI利用データ(約500万件)を統計的に分析した、学校現場の生成AI活用実態レポート(2025年冬版)を公表いたします。

本調査では、180日間の500万件を超える利用ログに基づき、特に教員での活用にフォーカスし「誰が」「どの教科で」「どれくらい深く」生成AIを活用しているのかを定量的に明らかにしました。

【本調査におけるデータ活用とプライバシー保護について】

本調査は、文部科学省「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和7年3月)」「初等中等教育段階における 生成 AI の利活用に関するガイドライン(Ver. 2.0)」の趣旨に則り、情報セキュリティおよびプライバシー保護に最大限配慮して実施しております。分析には、特定の個人を識別できない形式に加工・集計した統計情報のみを使用しており、教員・児童生徒の個人情報(氏名等)や、プライバシーに関わる具体的な入力内容(プロンプト本文等)は一切含んでおりません。学校向けクラウドサービス事業者として、教育現場の皆様に安心してご利用いただける透明性の高いデータ活用に努めてまいります。

【調査データの活用について】

本調査を引用する場合、(調査:スタディポケット株式会社 2025年11月25日)と記載してください。デジタル媒体の場合、提供事業者の出典元URL(https://studypocket.ai)へのリンクをお願いします。

なお、本調査の詳細は、2025年12月4日(木)開催の「スタディポケット カンファレンス 2025冬」内、「500万件のデータ分析に基づく知見」セッションにて発表いたします。


1. トップ5%の教員が全メッセージの38%を創出、まずは「先行者」が牽引

 教員の生成AI利用量を分析したところ、上位5%の教員だけで全体の約38%のメッセージを生み出していることが判明しました。また、上位20%の教員でみると、全体の約73%を占めており、特定の「パワーユーザー」が学校内のAI活用を力強く牽引している実態が浮き彫りになりました。

 これは、多くの学校において、まずは特定の「先行者(イノベーター・アーリーアダプター)」が熱心に活用し、そこから徐々に周囲へ波及していくという普及モデルを示唆しています。裏を返せば、全教員が一斉に同じペースで使い始めることは稀であり、導入初期においては「誰がその学校のトップ5%になり得るか」を見極め、支援することが重要です。

1-2. 学校ごとの傾向の二極化

 一方で、学校ごとの活用状況を見ると、以下の2パターンに二極化している傾向が見られました。校内普及フェーズに応じた支援の重要性が示唆されます。

特定教員依存型: トップ20%の教員がメッセージの90%以上を占める学校。活用が進んでいるように見えても、属人性が高く、異動などで失速するリスクがあります。

組織浸透型: トップ20%のシェアが30〜50%程度に留まり、多くの教員が日常的に利用している学校。

2. 英語教員が活用を牽引、探究・公民科目では深い学びの授業実践へ

 教科別のメッセージ総量では「英語」が1位となり、授業での実践のほか、翻訳、英作文添削、会話文の生成、文法解説など、LLM(大規模言語モデル)の得意領域と教科特性が完全に合致しており、圧倒的な利用量を誇ります。一方、1人あたりの平均活用回数(深さ、利用頻度の多さ)で見ると、「公民」「地理歴史」「探究学習」「総合的な学習の時間」「英語」が上位にランクインしました。

 公民や地理歴史では、正解が一つではない社会課題に対し、議論の整理や多角的な視点の提示、模擬ディベートの相手役など、生成AIを「思考のパートナー」として深く活用している様子が伺えます。総合的な学習の時間や探究学習でも同様に、生徒の課題設定を後押ししたり、リサーチを補助したりと、AIが学びに欠かせない存在になりつつあり、教科横断で探究的な学びを支える役割として、より深く授業に組み込まれていることが分かります。


2-2. 数学の活用の壁と可能性

 主要5教科の中で、数学は「1人あたり平均利用数」が相対的に低く、ヘビーユーザー率も16.4%と最低水準でした。これは、従来のテキストベースの生成AIが、複雑な数式の正確な処理や図形描写を苦手としていたこと(ハルシネーションのリスク)、また数学という教科が「論理の積み上げ」や「正解へのプロセス」を重視するため、AIによる即時回答生成と授業スタイルの親和性がまだ模索段階にあることを示唆しています。

 しかし、それでも一定数の教員・生徒の活用がみられており、類似する練習問題の大量生成や、生徒がつまずきやすいポイントの解説文作成など、補助的利用でのポテンシャルは残されています。今後、計算能力に特化したモデルの統合、図解表示などの機能実装が進むことで、状況は変わる可能性があります。

3. 生徒導入校では、教員の活用度(1人あたり平均)が1.6倍に

 自治体や学校によっては「まずは先生だけで使って、慣れてから生徒に…」と慎重な導入ステップを踏むケースも少なくありません。しかし、データでは、「生徒と一緒に使う方が、先生も早く定着する」ことを明確に示しています。

 教員のみが契約している学校と、生徒も利用している学校を比較したところ、生徒導入校では教員1人あたりの平均メッセージ数が約1.6倍に達しました。また、教員のうち利用回数の多いヘビーユーザーの出現度合いも、生徒導入校では約1.6倍となっており、「生徒が使い始めることで、先生自身の活用も加速する」という好循環が確認されました。

 これは、生徒での授業実践のほか、「学習におけるAIの活用指導」「生徒からのプロンプトの書き方に関する質問」などがフィードバックとなり、先生自身の学習意欲や活用意欲を刺激する「正のループ(共創関係)」が生まれているためと考えられます。

3-2. 独自テンプレート作成の効果検証

 「スタディポケット」の機能である「プロンプトテンプレート作成(先生が、授業で用いる独自のAIボットを作って生徒に配布できる機能)」を行っている教員がいる学校では、そうでない学校に比べて教員自身のメッセージ数が約2.6倍に達しています。

 「英会話練習ボット」や「理科の実験レポートの自己採点AI」、「探究の壁打ちボット」など、授業の目的に合わせた専用のAIを用意する実践例が増えており、生徒の利用ハードルを下げ、質の高い学びを実現している先進事例がデータからも裏付けられました。

4. 管理職がアクティブな学校は、一般教員の利用率が16ポイント高い

 管理職による「自身のAI活用度」と、その学校の一般教員の活用度をクロス集計を行ったところ、校長・教頭などの管理職が生成AIを積極的に活用している学校では、一般教員のアクティブ利用率が 88.5% に達し、管理職が未利用の学校(72.2%)と比較して、16ポイント以上高い結果となりました。

4-2. 「深く活用する管理職」がいる学校のデータ的特徴

 さらに、管理職が深く活用している学校では、一般教員の「ヘビーユーザー率(100件以上利用)」が 22.4% に達し、管理職未利用校(13.8%)の 約1.6倍となります。

 管理職自らがAIを使いこなす姿勢を見せることが、現場の心理的ハードルを下げ、組織全体の活用文化を醸成する最大の鍵であることがデータから実証されました。

■ 調査概要について

【調査機関】自社調査
集計期間】2025年5月17日〜2025年11月11日(180日間)

【調査・分析対象データ】
 
特定の個人を識別できない形式に加工・集計した生成AIチャットのセッションログ
 ユーザー属性データ(校種、教科、役職、契約プラン等)
 (約500万件)
 ※ 送信されたチャット内容、プロンプト内容は分析の対象外です。

【分析手法】
 
メッセージ数の集計、ユニーク利用日数の集計
 組織単位での統計指標(平均、分散、相関係数)算出

 ※ ノイズ除去のため、極端に利用が少ないトライアル環境等は一部除外して集計

CPO(最高製品責任者)鶴田浩之からのコメント

単に生成AIサービスを導入するだけでは、「校務」「教務」ともに簡単には定着しづらいと課題を抱えていらっしゃる学校・自治体が多いことを実感しており、「うまくいっている学校」と「なかなか定着に課題がある学校」との違いを明らかにすべく、今回の自社調査を実施いたしました。管理職の関与が組織浸透の鍵となること、生徒導入が教員の活用を促進することなど、データが示す示唆は明確です。特に、校長先生などの管理職がヘビーユーザーとなっている学校では、一般教員の活用度が最大2.7倍に達するという結果は、トップダウンの重要性を裏付けています。スタディポケットでは、こうした知見を活かしながら、職員研修や、我が国の教育事情に適応したカスタマーサポートの充実など、教育現場の皆様により価値あるサービスを提供してまいります。


 さらなる分析データの公表・詳細について、2025年12月4日開催「スタディポケット カンファレンス 2025 冬」で発表  <オンライン観覧受付中>
 

本調査の詳細は、2025年12月4日(木)開催のオンラインイベント「スタディポケット カンファレンス 2025 冬」内のセッション、「500万件のデータ分析に基づく知見」にて、さらに詳しくご紹介いたします。学校現場での生成AI活用に関心のある皆さまは、ぜひご参加ください。

■ イベント概要

名称 :スタディポケットカンファレンス 2025 冬

日時 :2025年12月4日(木)16:00〜18:15

形式 :オンライン(Zoomウェビナー)

参加費:無料(要事前申込)

定員 :500名(先着順) 

対象 :学校・教育委員会関係者、塾・教育産業関係者、自治体、官公庁/省庁、教育関連企業、パートナー企業、保護者、学生・教職課程の方 ほか

対象セッション:「500万件のデータ分析に基づく知見」 発表者:スタディポケット株式会社 代表取締役 CPO(最高製品責任者) 鶴田浩之


 【イベント特設ページ(申し込みフォーム)】※申し込み期限迫る

  https://events.studypocket.ai/conf2025winter/

■ 会社概要

【会社名】スタディポケット株式会社

【所在地】〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-1-6 日比谷パークフロント19F

【代表者】代表取締役 CEO 山地 瞭 / 代表取締役 CPO 鶴田浩之

【設⽴】2019年7⽉

【事業内容】

・生成AIを活用した教育ソフトウェアの開発事業

・校務DXに関する支援事業

・教育サービス事業

【認定/採択】

・文部科学省「学校DX戦略アドバイザー事業」サポート事業者 (生成AI分野)

・経済産業省「未来の教室」令和6年度教育イノベーター支援プログラム(EOL)採択企業

・ISMS国際規格「ISO/IEC 27001:2022」認証取得組織

【スタディポケット 公式サイト】

https://studypocket.ai

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会社概要

スタディポケット株式会社

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URL
https://studypocket.ai/
業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都千代田区内幸町2-1-6 日比谷パークフロント19F
電話番号
-
代表者名
鶴田 浩之
上場
未上場
資本金
8900万円
設立
2019年07月