遠隔常時監視で受変電所の法令点検を大幅削減、新たな「スマート保安技術 第3号案件」を公開
~現場巡視点検は週1回から月1回、停電年次点検は年1回から6年1回へ~
独立行政法人 製品評価技術基盤機構 【NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦、本所:東京都渋谷区西原】が事務局を務める「スマート保安プロモーション委員会」は、IoT機器を用いた株式会社 明電舎の「特高受変電所の遠隔常時監視システム」について、従来の電気保安技術を代替するスマート保安技術として承認しました。本技術は、「スマート保安技術カタログ(電気保安)第3版」に掲載し、2022年9月30日よりNITEのホームページで公開しています。
スマート保安技術カタログ >>https://www.nite.go.jp/gcet/tso/smart_hoan_catalog.pdf
(本技術は、保技 10002-P1(資料1.1)~保技 10002-P17(資料5)に掲載)
当委員会では、本システムの妥当性評価を行い、現状の保安レベルと比較して、同等以上の安全性が確保されること、並びに経済性が高いことを認めました。これにより事業者は、通常1週間に1回の頻度で求められていた現場巡視点検が1か月に1回へ、1年に1回の停電を伴う年次点検を6年に1回に軽減することが可能となります。
スマート保安技術カタログ >>https://www.nite.go.jp/gcet/tso/smart_hoan_catalog.pdf
(本技術は、保技 10002-P1(資料1.1)~保技 10002-P17(資料5)に掲載)
当委員会では、本システムの妥当性評価を行い、現状の保安レベルと比較して、同等以上の安全性が確保されること、並びに経済性が高いことを認めました。これにより事業者は、通常1週間に1回の頻度で求められていた現場巡視点検が1か月に1回へ、1年に1回の停電を伴う年次点検を6年に1回に軽減することが可能となります。
図1 監視システムの概念図
また通常、巡視点検や停電年次点検の点検手法と点検周期の変更には、保安規程を国(経済産業省 産業保安監督部)に提出し受理される必要がありますが、当委員会での評価結果を国の技術審査に活用することで、行政手続きの期間短縮も実現しました。
NITEは今後も、関係業界等に対してスマート保安技術の普及啓発活動を行っていくとともに、行政事務の効率化や規制の見直しに繋がる提言を積極的に行って参ります。
- スマート保安プロモーション委員会について
スマート保安プロモーション委員会では、学識経験者等からなる委員が、申請のあった保安管理技術案件の代替性・実効性・経済性などを評価します。また、評価されたスマート保安技術の導入・普及を阻害する要因があれば、その対応策を検討し、国や業界団体への提言も行っています。
図2 スマート保安プロモーション委員会の位置づけ
※出典:「電気保安分野 スマート保安アクションプラン」(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/shingikai/safety_security/smart_hoan/denryoku_anzen/20210430_action_plan.html
スマート保安プロモーション委員会 >>https://www.nite.go.jp/gcet/tso/smart_hoan_shiryo.html
- スマート保安技術カタログについて
2022年7月8日配信のプレスリリース(第1号案件)
「国内初となるスマート保安(電気保安分野) の技術カタログを公開」
>>https://kyodonewsprwire.jp/release/202207063466
2022年7月29日配信のプレスリリース(第2号案件)
「IoTを活用した高圧電気事故の予兆を検知する技術「スマート保安技術カタログ」第2号案件を公開」
>>https://kyodonewsprwire.jp/release/202207254258
スマート保安技術カタログ >>https://www.nite.go.jp/gcet/tso/smart_hoan_catalog.pdf
- 明電舎の「特高受変電所の遠隔常時監視システム」について
特別高圧受変電設備は、事故や設備トラブル等による停電は企業や社会に及ぼす影響が大きいため、日又は週1回の巡視点検と年1回の年次点検(測定・メンテナンスを含む)の保守管理により、設備の健全性を確保しています。しかし、点検においては全停電を行う必要があり、日程調整や準備作業等が困難かつ労力の負担が大きいことから、予防保全による設備管理の導入による点検作業の効率化が求められています。
加えて、電気保安の現場においては、電気保安人材の高齢化・人材不足が課題となっており、IoT機器の導入による「人から機械へ(デジタル化)」を積極的に進めて、保安品質を確保しつつ効果的かつ経済的な設備監視システムの導入・運用が期待されています。
【 システムの概要 】
本システムは、受変電設備にカメラや各種センサを多数設置して常時監視を自動化することにより、人と機械が点検業務を分担し、現場における巡視点検に要する業務量の軽減や停電年次点検の頻度低減を図りながら、電気、保安品質の確保・向上を行うものです。
図3 監視カメラと携帯端末機の活用事例
監視カメラ(画像認識を含む)や計測装置等による遠隔監視及び収集データの蓄積機能により、通常週1回実施されている現場巡視点検頻度を月1回に、多機能形デジタル継電器(IoとVo)、部分放電検出器(TEVセンサ)等を活用した絶縁状態の常時監視を導入することにより、通常年1回の停電年次点検を6年1回にすることが可能です。
図4 日常巡視点検の点検手法と点検頻度の新旧比較
また、各種計測器やセンサ類の監視データをトレンド管理することで設備故障の予兆検知や絶縁劣化の前兆現象を捉えることが可能となり、停電を含む設備トラブルを未然に防ぐことができます。
- NITEにおける電気保安の課題解決に向けた取り組み
NITE電力安全センターの業務紹介 >>https://www.nite.go.jp/gcet/tso/index.html
- 用語解説
IoT やAI などの新技術を導入し、産業保安における安全性や効率性の向上を図っていく取組みのことです。
スマート保安の説明 >>> https://nite-gov.note.jp/n/n91734ca4bbb3
【絶縁】:
電気設備における絶縁とは、電流が流れない状態のことです。例えば、ケーブル電線の場合、内部の銅線に流れる電流は皮膜を介して絶縁されているため、電線に触れても人体に電流が漏えいすることはありません。
【部分放電】:
部分放電とは微弱な放電のことです。電気機器の絶縁体中に微小な欠陥などがあると、その部分に電界が集中し、部分放電が発生します。
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