【支援事例】京王電鉄株式会社様、Databricks によるCDP基盤構築を2カ月で稼働開始
【本事例のポイント】
・2カ月でデータ基盤の設計・構築および初期分析環境を整備
・グループ内ユーザーへ安全に展開するため、当社推奨のセキュア構成を採用
クラウド AI 導入支援を手がける株式会社ナレッジコミュニケーション(本社:千葉県市川市、代表取締役:奥沢 明、以下「当社」)は、京王電鉄株式会社(本社:東京都多摩市、代表取締役社長:都村 智史 、以下「京王電鉄」)デジタル戦略推進部におけるグループ横断の顧客データ統合基盤(CDP※)構築を支援しました。
※ CDP(Customer Data Platform):顧客の属性や行動履歴などのデータを収集し、マーケティング施策等に活用するプラットフォーム

■ 背景と課題:サイロ化した顧客データを統合、パーソナライズされた顧客体験の実現へ
京王グループは生活関連サービス事業者として交通業、不動産業、ホテル業、建設設備業、生活サービス業など大きく5つの事業を展開しています。2020年頃から利用者の利便性向上を目的としたDXを推進しており、デジタル戦略推進部がその中核的な役割を担っています。
同部門では、お客様との関係強化を図るため、デジタルを通じた顧客接点の拡充を目的に、交通情報やグループ共通ポイントサービスなどの情報を確認できる京王アプリのリニューアルを行い、その一環としてグループで提供されるWebサービスのID統合を進めてきました。ID統合が進み、お客様の移動に関する情報や購買に関する情報が集まる一方で、各データを横断して分析を行う「データ統合基盤の構築」や、「AIを活用した顧客分析」が主な課題となっていました。

■ Databricks 選定の3つの決め手
「データ統合基盤の構築」および「AIを活用した顧客分析」を主要課題として掲げ、各種サービス・機能の統合に関する技術調査を進める中で、有力候補として検討対象となったのがDatabricks でした。
「さまざまな PaaS/SaaS製品の機能を比較・検証した結果、最終的に自社クラウド環境に構築可能なDatabricks構成を採用した決め手は3点ありました。」と菊池氏は語ります。
1. 既存AWS環境との親和性と段階的導入の実現
「最大の決め手は、構築基盤としてAWS を選択でき、既存環境と共存しながらスムーズな導入が可能な点でした。京王グループでは、グループ共通のAWS アカウント上のAmazon S3 にデータを集約し、DWHとしてAmazon Redshift を利用しています。Databricks 導入にあたり、データ移行や新規DWH構築が必要となる場合はハードルが高いと想定していましたが、既存のAWS アカウントをそのまま活用し、現行環境と共存できることが魅力的でした。
また、従量課金モデルにより、初期投資を抑えつつ、人的・金銭的・運用面の負担を軽減したPoCを実施できたことも評価ポイントとなりました。さらに、AWS PrivateLink によるフロントエンド/バックエンド双方のセキュアな接続設定が可能であり、「グループの閉域網からのみアクセス可能」という既存のセキュリティポリシーを維持できた点も、導入を後押ししました。」(菊池氏)
2. 生成AI「AI/BI Genie」による業務効率化
「Databricks に標準で搭載されている生成AI機能「AI/BI Genie」を活用すれば、ビジネスユーザーはDatabricks SQL の知識がなくても自然言語でデータを集計・分析でき、自ら施策検討を進められる点も魅力を感じました。データサイエンティストを増員せずとも、マーケティングプロセス全体を高速化できることで、単純なデータ分析基盤構築以上の価値があると感じました。」(菊池氏)
3. 安定運用に適した環境
「CDP構築後の活用を考えた時に、データサイエンティストだけでなく、事業側のビジネス現場に近い企画・マーケティング担当者にもデータ活用してもらえる環境が必要だと考えています。Databricks はデータを一元的に管理し、安全に共有・分析できる仕組みを備えており、構築後の運用や活用を見据えた設計が可能です。これらにより、CDP構築後も継続的にデータを活用し、現場主導での意思決定を加速できる環境が整えられると判断しました。」(菊池氏)

■ 2カ月での構築完了とその評価
実際の構築プロジェクトについて、大野氏は次のように語ります。
「これまで使っていたAWS からの日次データ取り込みや、各種データを横断して分析する環境は早期に整いました。AWS の閉域網内にDatabricks を構築したため、事業部門へのAI/BI Genie 展開を含め、セキュリティ面を気にせず進めることができ、2カ月で本番稼働まで到達できた点を高く評価しています。」(大野氏)
早期の環境構築における課題
一方で、構築過程には独自の課題もあったと大野氏は振り返ります。
「インフラ面において、既存のAWS グループアカウント内に導入することを決めたため、インフラの制限やネットワーク経路など独自の要件がいくつもありました。そのAWS の設定においても、独自要件の整理からコンソール作業の手順整備、実際の作業にまで伴走していただき、構築完了まで導いていただきました。今後は旧基盤からのデータの移行も進めていく予定です。」(大野氏)
■ パートナー選定理由
京王電鉄様には以下の理由により当社をパートナーとして選定いただきました。
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国内最初期からのDatabricks 認定パートナーとしての専門性とアジャイルアプローチ:国内最初期からのDatabricks 認定パートナーとしての高い専門性と、アジャイルアプローチによる迅速な構築や技術チームへのハンズオン等の内製化支援を評価いただきました。
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弊社の他のお客様における、Databricks の顧客会員基盤構築実績:Databricks on AWS を利用した統合基盤開発の豊富な実績により、短期間での環境構築が見込まれたことも選定理由となりました。
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生成AI活用の幅広い実績: Databricks に限らず、生成AIを活用した業務支援や分析支援の実績を踏まえ、長期的なパートナーとなる期待があるとも評価いただきました。
■ 今後の展望:データドリブンな新サービス創出と事業領域拡大へ
構築されたCDP基盤により、京王グループでの顧客分析の効率化・精度向上が期待されます。今後の展望について、菊池氏は次のように語ります。
「まず横断分析の定常化を進め、データの取得範囲拡充に取り組み、データの重なりを増やしていく予定です。またAI/BI Genie 機能で事業部門のセルフサービス分析を促進し、顧客動向の可視化を起点に、施策立案と検証の高速化へつなげていきます。」(菊池氏)
ナレッジコミュニケーションは、京王電鉄様のDXにおける重要基盤として、今後も継続的な価値創造を支援してまいります。

本リリースに関するお問い合わせ
株式会社ナレッジコミュニケーション
contact@knowledgecommunication.jp
ナレッジコミュニケーションについて
ナレッジコミュニケーションは、「破壊的イノベーションで世界の在り方を変える」というミッションを掲げ、「AI×クラウド事業」「VR・AR事業」「Education事業」の3つの領域で事業を展開しております。AIやDataを最大限に利活用するためのコンサルティング、システム構築・開発、運用サービスの提供を通じて、お客様のAX(AIトランスフォーメーション)を支援しております。
社 名:株式会社ナレッジコミュニケーション
本 社:千葉県市川市相之川4-6-5 フォーリーフ南行徳2F
代表取締役:奥沢 明
設 立:2008年11月13日
事業内容:クラウド&AIの利活用コンサルティングや導入・開発支援、運用サポート等
URL:https://www.knowledgecommunication.jp/
※ 記載の会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
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