透析患者の社会復帰への貢献に期待!電解水透析で重度の透析関連疲労感をほぼ消失
聖路加国際病院と井上病院らグループによる共同研究 専門誌「Renal Replacement Therapy」で発表
聖路加国際病院、愛仁会 井上病院、疲労科学研究所、理化学研究所、日本トリムの共同研究グループは、電解水透析による重度透析関連疲労感に対する効果とその機序に関する論文をSpringer NatureファミリーのBMC出版社(英国)の「Renal Replacement Therapy」誌に投稿し、2021年10月16日に掲載されました。
- 概要
- 研究意義・目的
- 主な結果
※実質的疲労感有り無しのカットオフ値はオリジナル質問票のROC曲線から求め、VAS値4以上を実質的疲労感有りとした。
*:P<0.05, **:P<0.01(変更前に比べ有意差あり)
(2)透析疲労感VAS値の低下には自律神経バランスの変化が関連
疲労感アンケートとともに自律神経バランス測定装置による測定を行ったところ、透析日に疲労を感じている患者群では、透析疲労感の低下と自律神経バランス(交感神経/副交感神経)の変化との相関性が示された。このことから疲労感軽減には自律神経バランス変化が関与している可能性が推察された。
- 結論
- 研究方法
- 今後の期待
仕事をしていない | 内、仕事をしたいが就けていない | 内、理由は体調が悪いから | |
2016年度血液透析患者実態調査報告 ※1 (有効回答数7,191人) |
66.3% | 40.4% | 34.3% |
2019年末の透析患者数344,640人 ※2 に当てはめると |
228,496人 | 92,312人 | 31,663人 |
表1 透析患者の非就業実態、就業意欲、非就業理由
※1:2016年度血液透析患者実態調査報告(全国腎臓病協議会、日本透析医会、統計研究会の共同調査)16-18ページ
※2:わが国の慢性透析療法の現況(2019年12月31日現在)583ページ 一般社団法人日本透析医学会
表1は透析患者の実態調査からわかる、透析患者の非就業実態、就業意欲、非就業理由の比率である。それをもとに、電解水透析による就業を後押しできる潜在性を考察すると、電解水透析は最大で31,663人の就業を後押しできる潜在性が期待される。
- 研究支援
- 論文概要
「Amelioration of fatigue in chronic dialysis patients with dialysis solution employing electrolyzed water containing molecular hydrogen (H2) and its association with autonomic function balance」
(和訳:分子状水素含む電解水素水を活用した血液透析(電解水透析)による透析関連疲労感の抑制と自律神経機能との関連性)
共同研究関係者(敬称略)
氏名 | 所属 | URL |
中山昌明 1) | 聖路加国際病院 腎臓内科 | https://hospital.luke.ac.jp/guide/08_nephrology/dr/nakayamamasaaki.html |
辻本吉広 | 社会医療法人愛仁会 井上病院 | https://inoue.aijinkai.or.jp/ |
渡辺恭良 | 理化学研究所 生命機能科学研究センター | https://www.bdr.riken.jp/jp/research/labs/watanabe-y-health/index.html |
倉恒大輔 | 株式会社疲労科学研究所 | https://www.fatigue.co.jp/ |
宮崎真理子 2) | 東北大学大学院医学系研究科 腎・高血圧・内分泌学分野 | http://www.int2.med.tohoku.ac.jp/goaisatsu.html |
西澤良記 | 公立大学法人大阪(研究開始当時井上病院) | https://www.upc-osaka.ac.jp/about/message/ |
樺山繁 3) | 株式会社日本トリム | https://www.nihon-trim.co.jp/research/collaboration/ |
1),2),3) | 東北大学病院慢性腎臓病透析治療共同研究部門(兼任) | https://www.hosp.tohoku.ac.jp/departments/d5000 |
- 提携先
Renal Replacement Therapy誌:
▼オープンアクセス論文のため下記よりご覧いただけます(英語サイト)
(本研究は前向き観察研究であり、WHOで規定される「臨床試験」ではありません。)
(参考論文)
(参考論文)
[1] PLOS ONE 16(2) e0246890 (2021), https://doi.org/10.1371/journal.pone.0246890
重度の透析関連疲労感は透析患者の就業を阻害する。
[2]Scientific Reports 8, Article number: 254 (2018), https://www.nihon-trim.co.jp/research/1048/
分子状水素(H2)溶存血液透析液を使った新しい血液透析療法は、慢性血液透析患者の予後を改善する:前向き観察研究
[3]Renal Replacement Therapy (2021) 7 37, https://hospital.luke.ac.jp/home/pdf/pr20210708.pdf
分子状水素含む電解水素水を活用した血液透析(電解水透析)による透析関連酸化ストレス及び疲労の抑制
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