中原淳教授(立教大学)監修の新刊。異例の全国一斉休校、「そのとき」わたしたちに起きていたこと。

生徒、保護者、教員、NPO法人など、あらゆる当事者の証言とデータ分析による実態把握から見えてきた、予測不可能な状況下でも、学びを支えていくためのヒント

株式会社東洋館出版社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:錦織圭之介)は、『学校が「とまった」日―ウィズ・コロナの学びを支える人々の挑戦―』を2021年2月1日に刊行します。

書籍URL https://www.amazon.co.jp/dp/4491043256

 
  • 2020年の「全国一斉休校」の学びへの影響を緊急調査
立教大学共同研究[学びを支えるプロジェクト](代表:中原淳)は、2020年3月下旬、新型コロナウイルスの感染拡大と同時にただちに企画され、感染症対策としての「全国一斉休校」渦中の生徒、保護者、教員、NPO法人など、あらゆる当事者の証言とデータ分析による実態把握を行いました。
本書は、その調査結果をまとめ、休校措置によって子どもたちの生活や学びにどのような変化がもたらされたのか、その実態を明らかにし、学びを支える教育関係者が、今後、予測不可能な状況下でも学びをとめないためには何が必要であるかを対話し、さらに行動していくための契機となることを目的としています。
 
  • 調査対象
東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県を主たる対象とし、①質問紙調査(高校生および小中高生の子をもつ保護者)と、②インタビュー調査(教員、中高生、保護者、NPO法人スタッフ)の二つ(いずれもインターネット上)での実態把握。
 
  • 家庭への役割集中とその課題
「学校がある」日、子どもの学びを支える役割は主に学校・教員が担っている。家庭は、子どもの生活や成長を保障し支援しながら、学校での学びをサポートする役割が期待されてきた。子どもたちは、学校に関するストレスは学校以外の場所で、家でのストレスは学校で発散できていた場合が多いだろう。普段は、学校、家庭、サードプレイスがそれぞれの役割を果たすことで、子どもの日々の学びが支えられている。
これらすべての役割が、休校と同時に突如、個々の家庭に集中することになった。家庭に託された役割は、賃金をともなう労働をしているかどうか、在宅かどうかにかかわらず保護者(特に母親)が引き受けることになったことが分かっている。それによって、保護者が「学習管理」という役割を過剰に認識し「管理的関わり」が多くなってしまったケース、「学習管理」という役割を担う必要性に気付かなかったケース、気付いていながらも手が回らなかったケース、ケアさえも手が回らなかったケースなど多様な状況が発生したことが、本書の調査で明らかになっている。
 
  • 休校中の教師と子どものコミュニケーション
本質問紙調査によると、学習時間の確保との関連がみられたのは、教員とのコミュニケーションを「できている」と感じられるような場合である。インタビュー調査からも、休校中、教員が様々な手段で子どもとコミュニケーションを試みていたことが明らかになっている。 
例えば、学校のWebサイトでの情報発信、教科書や課題の配布、オンラインツールを用いたホームルームや授業の実施、電話連絡や家庭訪問などでのやりとりなどである。だが、高校生調査の結果では、学習の継続において重要なのは、コミュニケーションの手段(何で伝えるか)や内容(何を伝えるか)ではなく、頻度(どれだけつながるか)であったことが示唆されている。
 
「元気にしてる?」「次の課題はこれだよ」といった何気ない声かけでもかまわない、「教員が動いてくれている」「自分に関わり続けてくれている」と子どもが感じられることが、何より大切であったといえるだろう。 
一方で、学校や教員がいくら情報を発信したとしても、子どもが受け取らなければ「コミュニケーション」とはならない。調査分析から明らかになったのは、休校前に学校において教員や友人と関係を築けていたかが、休校中のコミュニケーションの成立に影響を与えているということであった。子どもの学びにとって重要な役割を果たすのは、自分を気にかけ、学びに伴走してくれる「私の先生」の存在なのではないか。 
この点と関わって、高校生調査において、休校中に教員とのコミュニケーションができていないと回答した生徒が全体の60%を超えているという結果は看過できない。
 


図 教員とのコミュニケーションができている割合 
(※【できていない】【あまりできていない】と回答→「できていない」として集計、【まあできている】【十分できている】と回答→「できている」として集計)
 
  • 最後の砦としての支援者
NPO法人などの「支援者」の語りから見えてきたのは、休校措置によって学校の福祉機能が「とまった」ことの影響である。ここで福祉機能と言われているのは、給食に代表される生存保障の機能だけではなく、家族以外の大人や友人との社会的つながりを保障する機能を含む。
「とまって」しまった福祉機能を補完するために、食事支援、オンライン支援(=学習支援および居場所支援のオンライン化)、タブレット端末とWi-Fi の無償貸与といった取組がなされていた。支援者たちは、学校と家庭というセーフティーネットからこぼれ落ちてしまった子どもたちの生活を支え、学習の機会につなげていくために尽力してきた。

一方で、取組の中で見えてきた課題もある。一つは、オンライン化によって支援が届きやすくなる層だけではなく、むしろ届きにくくなる層がいるということだ。ツールがあっても、意欲やスキルの問題から活用されない(活用できない)場合もあるし、オンラインでは表情などノンバーバルな次元での情報が伝わりにくいといったことがあり、特に発達上なんらかのサポートが必要な子どもにとって、コミュニケーションをとることが難しい場合もある。

もう一つは、支援体制に関わる課題である。支援者の語りにおいて特徴的だったのは、福祉と教育の連携について、複数の支援者からその重要性と必要性が指摘されたことだ。また、事態の長期化を見据えて、持続可能な支援体制をどう構築していくかも課題である。「最後の砦」たる支援者への支援は絶対に欠かせない。社会全体の課題として、人・モノ・資金が安定的に供給されるような仕組みづくりが求められている。

本書で示すデータと事例の数々が、読者の方々にとって何があろうとも「学びをとめない」ための作戦会議の「対話」を促すことを願ってやみません。

[書籍情報]
書 名: 学校が「とまった」日
     ―ウィズ・コロナの学びを支える人々の挑戦―
監 修: 中原淳
編 著: 田中 智輝、村松 灯、高崎 美佐
判 型: 四六判
頁 数: 248
発売日: 2月1日
価 格: 1,700円+税
ISBN  : 978-4-491-04325-8
発行元: 東洋館出版社
URL: http://www.toyokan.co.jp/book/01/b553374.html
amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4491043256
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