日本政府、スリランカでのサイクロン被害及びベトナムでの洪水被害に対応するため、UNICEFに計100万米ドルの緊急無償資金協力を実施
2025年12月17日 東京発
日本政府は、スリランカに被害をもたらしたサイクロンとベトナムで発生した洪水への対応を支援するため、国連児童基金(UNICEF)に計100万米ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定しました。本資金協力により、UNICEFはサイクロンに起因する洪水や土砂崩れの影響を受けた地域の最もぜい弱なコミュニティにおいて、水と衛生と子どもの保護に関する緊急支援を展開することができます。
アジアでは近年、気候変動の影響でサイクロンによる被害が増加しています。スリランカでは、11月28日に上陸したサイクロン「ディトワ」により、広範囲にわたる洪水と壊滅的な土砂崩れが発生しました。また、ベトナムでは今年の8月から11月にかけて14の台風と5つの熱帯低気圧が、激しい雨、洪水、土砂崩れをもたらしました。これらの自然災害は重要なインフラに甚大な影響を及ぼし、安全な飲料水や衛生設備へのアクセスが喫緊の課題となっています。そして、以前からぜい弱な状況に置かれていた子どもたちや女性は、衛生的な環境で生活することが一層困難になり、感染症にかかるリスクも大幅に上昇しています。
また、多くの避難所は過密状態で安全が充分に確保できない場合があり、子どもたちやその養育者さらには現場の支援従事者も心理社会的支援を必要としています。世界的にみても、危機の影響を受けてぜい弱な状態にあるときには、施設に預けている子どもを放棄するなど負の対処法に頼る家族があり、女性や子どもが暴力の危険に晒されるリスクが高まる傾向にあります。
これらの状況に対応するため、UNICEFは子どもたちやその家族の命と安全を守るために必要不可欠な水と衛生と子どもの保護に関する緊急支援を実施します。
スリランカでは、50万米ドルの資金協力により、水と衛生に関する物資の配布、給水車による安全な水の供給、給水設備の修繕、家庭やコミュニティにおける感染症予防のための衛生啓発活動、子どもにやさしい空間の設置と心理社会的ケアの提供、リスクを抱える人々への支援やホットラインによる子どもの保護に関するケースマネジメントを実施します。これによって、20万人が安全な水と衛生サービスを享受し、2万人が子どもの保護サービスを利用できるようになります。
ベトナムでは、50万米ドルの資金協力により、支援を必要とする人々への水と衛生用品の配布、感染症予防の衛生啓発活動、ならびに被害を受けた学校と保健施設への給水と衛生システムの提供を行います。これにより、2万人が水と衛生用品や衛生啓発活動の支援を受け、20校の学校と8カ所の保健施設で給水・衛生システムを利用できるようになります。
これらの事業のすべての段階において、UNICEFは女性の参加やニーズを重視し、ジェンダーに配慮した取り組みを行います。また、本支援を通じて、緊急事態下で最もぜい弱な立場に置かれる子どもたちや女性を含め、すべての人々の命と生活、尊厳を守り、エンパワメントを促進します。これは、日本政府が重要政策の一つとして掲げる「人間の安全保障」の概念に即すものであり、自然災害の影響を受けた人々の苦しみを和らげるとともに、レジリエンス(回復力)を高めることを目指しています。
■ UNICEFについて
国連児童基金(UNICEF)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190以上の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。
※UNICEF国内委員会が活動する32の国と地域を含みます
※UNICEFの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■ UNICEF東京事務所
UNICEF東京事務所は、ニューヨーク本部直轄の国連機関事務所として、日本政府からの政府開発援助(ODA)による資金協力や、国会議員、国際協力機構(JICA)、非政府組織(NGO)等との連携を促進しています。
