「10代女子は、なぜスポーツをやめてしまうのか?」意識調査を実施

 SOMPOホールディングス株式会社(グループCEO取締役代表執行役社長:奥村 幹夫)は、「10代女子は、なぜスポーツをやめてしまうのか?」という問題の深層に迫るべく、全国のスポーツをしている女子高校生や高校時代にスポーツをしていた女性、高校年代の女子スポーツ指導者、現在女子高校生の子を持つ保護者を対象に「女子スポーツ特有の悩みに関する意識調査」を実施しました。

1.調査実施の背景

 SOMPOグループは、タイトルパートナー契約を締結する公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」との活動の一環として、共創アクション・プログラム「OUR STORIES」に取り組んでいます。第一弾のテーマとして「10代で女子がスポーツをやめてしまう問題」を掲げ、課題解決に向けたアクションを推進してきました。

 「10代女子のスポーツ離れ」の背景にある実態を明らかにし、女子スポーツにおける持続可能な環境づくりへの貢献を目指すことを目的に、本調査を実施しました。

2.調査結果のポイント

■女子高校生の7割超が「やめたい」を経験、女性特有の悩みも一因

女子高校生の74.1%が、スポーツを「やめたいと思った」経験があることがわかりました。生理、体調不良への不寛容など、心身両面の女性特有の悩みを理由として挙げた人も17.3%いました。

■白ユニフォームが女性アスリートの活動を阻害、「透け」や「体型露呈」に悩み

白ユニフォーム・練習着を着用する女子高校生の48.7%が困ったことがあると回答し、その半数以上が下着の透けに悩んでいることがわかりました。さらに、困ったことがある人の3割近くが、白ユニフォームが原因で競技継続に不安を感じていました。また、不満があっても相談しなかった理由として、女子高校生、高校時代にスポーツをしていた女性双方で「『そういうものだ』と思い、疑問に思わなかった」が最多となりました。

■更衣室環境の不備が常態化、更衣室不足を経験した人の3割以上が「不安」を感じながら活動

女子高校生の47.5%が更衣室不足を経験し、トイレでの着替えなどへの不満が深刻化していることがわかりました。そのうち3割超が更衣室不足を理由に競技継続への不安を感じていました。また、白ユニフォームと同様、女子高校生、高校時代にスポーツをしていた女性双方で「疑問に思わなかった」が多数を占めました。

■女性特有の悩みへの配慮は改善されつつもあるものの、道半ば

女性特有の悩みについて、スポーツ運営側で「十分な配慮がされている」と回答した女子高校生は57.9%で、高校時代にスポーツ経験のある女性と比べ顕著に高いことから、配慮状況については改善傾向にあることが示唆されました。しかし、更衣室への不満、ユニフォームや練習着への不満は依然高い割合を示しました。

■保護者・指導者も環境改善を強く希望、当事者を含む様々な人がフラットに意見を伝え合える環境が必要

保護者・指導者とも女性特有の悩みへの環境改善を強く望む一方、「言っても無駄」と諦め意見を伝えられない現状が浮き彫りになりました。この対話不足が「10代女子のスポーツ離れ」を加速させる可能性が示唆されました。

3.有識者コメント

■一般社団法人SDGs in Sports代表 井本 直歩子さん

 少子化や教員の働き方改革に伴う部活の地域移行、伝統的な指導法等で、日本全体で子どものスポーツ参加率が危ぶまれている中、女子の課題にもっと目を向けることが重要だと感じている現場関係者や親御さんは多いと思います。今回のアンケートでは、女子が感じている実態について深掘りし、指導法や体型、月経の問題だけでなく、ユニフォームや更衣室問題など、今まであまり語られてこなかった課題が浮き彫りになりました。海外では近年、女子サッカーの代表ユニフォームやテニスのウィンブルドン選手権などで白いショーツが使われなくなってきています。

女子のエンパワーメントなしに、スポーツ界の発展も、日本社会の発展もありえません。スポーツ界はもちろ ん、社会全体で女の子のスポーツ離脱について考え、心身を健康で豊かにする生涯スポーツの普及のために、女の子のエンパワーメントのために、一丸となって取り組まなければなりません。この調査がその一助になりうるのではないかと感じています。

■順天堂大学 スポーツ健康科学部 助教 三倉 茜さん

 ここ10年ほどで、女性アスリートの月経に関する課題意識は大きく高まり、啓発やサポート体制の整備も着実に前進してきました。多くの女子高校生アスリートが「女性特有の悩みについて配慮がある」と感じている背景には、こうした取組みの成果があると感じています。

一方で、更衣室やユニフォームといった環境面に、多くの不安や不満が寄せられている点は看過できません。スポーツに参加する女子や女性が増えたにもかかわらず、施設や運営といったスポーツそのものの構造に関して、『当たり前』とされてきた認識がアップデートされていない現実が浮かび上がりました。また、ユニフォームや更衣室に関する悩みを「そういうものだと思ったから」と相談せずに抱え込んでいたという回答は、女子自身も固定化された環境を内面化している可能性を示しています。さらに「言っても無駄だと思った」という声が多かったことから、指導者や保護者など、本来であれば女子のスポーツ参加を支える立場の大人が、十分に支援的な関わりを持てていない状況もうかがえます。

今回の調査は、これまで可視化されてこなかった女子たちの経験や感情に光を当て、社会に強いメッセージを投げかける点で大変意義があるものだと確信しています。彼女たちの声を真摯に受け止め、「スポーツが好きなのに、環境のせいで嫌な思いをする」女子や、それらの悩みが原因でスポーツをやめてしまう女子をこれ以上生まないために、ハード・ソフトの両面から環境改善を急ぐ必要があります。

4.調査概要

(1)調査期間:     2025年11月6日~2025年11月11日

(2)調査方法:     インターネット調査(無記名)

(3)調査対象地域:   全国47都道府県

(4)調査対象者:    スポーツをしている女子高校生                413名

             高校時代にスポーツをしていた20代~60代女性       1,030名

             現在スポーツをしている女子高校生と同居する親        412名

             高校年代の女子スポーツの指導者               312名

                                       計 2,167名

5.調査結果

 ※本調査結果をご利用の場合は、「SOMPOホールディングス調べ」等のクレジットを併記ください。

■スポーツに対する継続意識

女子高校生の74.1%が、スポーツを「やめたいと思ったことがある」と回答しました。その理由として「自信喪失やモチベーション低下」(61.1%)が最多となる一方で、「体調不良等による休みに対する不寛容さ」

(13.7%)、「生理等によるユニフォームや見た目への影響」(7.2%)も挙げられ、女性特有の悩みがスポーツの継続意欲に影響を与えていることがうかがえます。

指導者に「伝えにくい」と感じた悩みとしても「生理に関する悩み」(39.6%)が挙げられました。これらの心身両面の負担が、「10代女子がスポーツをやめてしまう」大きな要因の一つとなっていると推察されます。

Q高校生の時に、スポーツをやめたいと思ったことはありますか。(単一回答)

Qスポーツをやめたいと思った理由はどのようなことですか。(複数回答)

Qスポーツの指導者に悩みや相談事を伝えにくいことがあった方は、どのような内容ですか。(複数回答)

■白ユニフォーム(練習着を含む)に対する意識

白ユニフォームを着用して「困ったことがある」と回答した女子高校生は48.7%でした。具体的には、「下着が透けるのが気になった」(53.2%)、「汗や体型が目立つのが恥ずかしかった」(41.3%)などが上位に挙げられています。

「困ったことがある」と回答した女子高校生のうち、白ユニフォームが原因でスポーツ継続に「不安を感じたことがある」と回答した割合も28.5%に上り、ユニフォームの色や素材が精神的負担となり、競技活動の妨げとなりうることが示唆されました。白ユニフォームについて不満があっても相談しなかった理由として、「『そういうものだ』と思い、疑問に思わなかった」が、女子高校生、高校時代にスポーツをしていた女性ともに最も高く、次に高かった回答として、女子高校生は「恥ずかしくて言えなかった」、高校時代にスポーツをしていた女性は「言っても無駄だと思った」と世代間で違いが見られました。

Q白ユニフォームでスポーツをしていたことで、困ったことはありましたか。(単一回答)

Q白ユニフォームが原因で、どのようなことに困りましたか。(複数回答)

Q白ユニフォームが原因で、スポーツ継続に不安を感じたことはありましたか。(単一回答)

Q白ユニフォームによる悩みや違和感を相談したり、意見を伝えたりしたことはありますか。(単一回答)

Q白ユニフォームによる悩みや違和感を相談しなかった理由はどのようなことですか。(複数回答)

■更衣室などの環境整備

スポーツの活動場所(学校や試合会場)に更衣室が「ない(「時々ないことがある」を含む)」と回答した女子高校生は47.5%に上りました。更衣室がないことで困ったこととして、「トイレなど、本来着替えをする目的ではない場所で着替えることになった」(28.1%)、「着替え場所が人目に付く場所になってしまった」(11.2%)などが挙げられています。

また、更衣室がないことが原因で、スポーツ継続に「不安を感じたことがある」と回答した女子高校生は31.1%に達しました。更衣室に関する不満があっても相談しなかった理由として、白ユニフォームと同様に、「『そういうものだ』と思い、疑問に思わなかった」が、女子高校生、高校時代にスポーツをしていた女性ともに最も高く、次に、「言っても無駄だと思った」といった声が多数を占めたことから、現状を諦め、声を上げにくい環境にある実態が明らかになりました。

このような環境への不満が「スポーツ継続を妨げる隠れた要因」となっている可能性が考えられます。

Qスポーツをする時、練習場所、試合会場に更衣室はありましたか。(単一回答)

Q更衣室がないことで、困ったことはありましたか。(複数回答)

Q更衣室がないことが原因で、スポーツ継続に不安を感じたことはありましたか。(単一回答)

Q更衣室がないことによる悩みや違和感を相談したり、意見を伝えたりしたことはありますか。(単一回答)

Q更衣室がないことによる悩みや違和感を相談しなかった理由はどのようなことですか。(複数回答)

■女性特有の悩みに対する周囲の配慮

女性特有の悩み(生理等の身体に関することや環境等)に対して、スポーツ運営側から「十分な配慮がされている」と回答した女子高校生は57.9%に上りました。これは、高校時代にスポーツ経験のある女性の回答(35.1%)と比較して顕著に高く、年月を経て、女性特有の課題への周囲の配慮が改善傾向にあることがうかがえます。一方で、配慮の内容について内訳を見ると、女子高校生は「更衣室」(48.0%)および「ユニフォームや練習着」(46.4%)への不満が他の項目と比べて割合が高い結果となりました。

Q女性特有の悩み(生理等の身体に関することや環境等)に対して、スポーツ運営側で十分な配慮がされていると感じますか(感じていましたか)。(単一回答)

Q女性特有の悩みに対して、スポーツ運営側でどの程度配慮していると感じますか。(複数回答)

■保護者・指導者からの要望と課題

女子高校生の子を持つ保護者からは、スポーツ活動における要望として「生理や体調不良時の対応について、もっと柔軟に対応してほしい」(35.7%)、「女性の指導者をおいてほしい」(22.8%)、「下着等が透けないように白いユニフォームを変えてほしい」(17.0%)などの声が挙がりました。 高校年代の女子スポーツ指導者からも、「女性指導者やOGと相談できる環境を充実させたい」(26.6%)、「更衣室を充実させたい」(22.4%)など、環境改善への強い意欲が示されました。

保護者・指導者ともに意見や要望を伝えたことがある人は多かったものの、伝えたことがない人の理由としては「言っても無駄だと思った」の割合が高く、当事者を含む、世代や立場を超えた様々な人がフラットに意見を伝え合える環境の必要性が示唆されました。


Q女子高校生がスポーツをするにあたって、保護者として改善してほしい思う点、指導者として改善したい点はどのようなことですか。(複数回答)

Q改善点を相談したり、意見を伝えたことはありますか。(単一回答)

Q改善点を相談しなかったり、意見を伝えなかった理由はどのようなことですか。(複数回答)

6.共創アクション・プログラム「OUR STORIES」の取組み

(1)「OUR STORIES」とは

挑戦する「ひとり」の物語を起点に、WEリーガーや多様なステークホルダーがつながり、「みんな」の力で夢を実現していく共創アクション・プログラムです。「あなたの声を、私たちみんなの物語に。」をスローガンに、世の中のさまざまな課題を「私たちみんなの物語」として捉え、行動へとつなげていく取組みです。

(2)第一弾テーマ「10代で女子がスポーツをやめてしまう問題」

 2025年3月8日の国際女性デーに、「10代で女子がスポーツをやめてしまう問題」に着目し、動画※1を発信してプロジェクトを始動しました。社会における様々な場面でジェンダー・ギャップが存在しており、サッカーにおいても「男性のスポーツ」という固定観念は依然として根強いです。また、女性スポーツ特有の課題として、スポーツをやめる時期を男女で比較した場合に、女子は10代でやめてしまう人が多い傾向※1にあります。

 動画では、当時ジェフユナイテッド市原・千葉レディース(静岡・藤枝順心高校出身)の今田 紗良選手、元ちふれASエルフェン埼玉の薊(あざみ)理絵氏と、史上初の全日本高等学校女子サッカー選手権大会3連覇を果たした藤枝順心高校サッカー部、藤枝順心サッカークラブ(ジュニアユース)に所属する高校生、中学生が対話を行いました。サッカーが大好きな10代アスリートが胸に秘めていた本音に迫り、彼女たちの声や願いに耳を傾けています。

※1 詳細動画はこちら → https://www.youtube.com/watch?v=sMj-7DLPSgc

※2 14歳までにスポーツをやめてしまう女子は男子の2倍:UN WOMEN調べ

  https://knowledge.unwomen.org/en/articles/facts-and-figures/facts-and-figures-women-in-sport

(3)これまでの活動経緯(共創プロセス)

 プロジェクト始動以来、以下のようなプロセスを経て具体的なアクションへとつなげてきました。

 【2025年3月:プロジェクト始動】

 国際女性デーに動画を配信し、「10代で女子がスポーツをやめてしまう問題」を提起しました。

 【2025年4月~8月:共感する仲間集め】

 「#白ユニフォームに困る」「#女子更衣室がなくて困る」「#女子サッカーをテレビで見られない」「#女子も国立でやりたい」といった具体的な課題に対し、共感するステークホルダーを募りました。

 【2025年9月:アイデアセッションの開催】

 静岡県藤枝市を舞台に、藤枝順心高校の選手や関係者、静岡県内の自治体、企業(静岡銀行、サッカーショップKAMOなど)をはじめ、WEリーグ、SOMPOホールディングスなど多様なステークホルダーが集結。各課題に対するアクションアイデアを共創し、加速させる場となりました。例えば、「#白ユニフォームに困る」問題に対して、藤枝順心高校・サッカーショップKAMOでの公式ユニフォーム変更を検討。また、静岡銀行による支援や静岡県サッカー協会の巻き込みなどが具体化しました。

 【2025年11月:10代女子がスポーツを続ける上での悩みや本音に関する意識調査】

 「10代で女子がスポーツをやめてしまう問題」の深層に迫るべく、全国のスポーツを行っている女子高校生の「見えざる本音」を徹底的に掘り下げました。

 【2025年12月1日:未来共創セッションの開催】

 本セッションでは、意識調査の結果を公開するとともに、実際にユニフォームの変更に向けて動き出した藤枝順心高校の選手たちや、プロジェクトを支援した企業担当者らが登壇し、課題解決の具体的なプロセスと共創によって生まれた成功事例を発表します。WEリーグ特任理事の近賀ゆかり氏を迎え、女子サッカー、ひいては女子スポーツ全体の未来について議論を深めます。

7.今後について

 本調査を通じて、「10代女子は、なぜスポーツをやめてしまうのか?」という問題の根底にある女子スポーツにおける女性特有の悩みは広範かつ根深く存在し、それがスポーツ活動の継続を阻害する一因となっていることが浮き彫りになりました。女子アスリートが安心してスポーツに打ち込める環境づくりに向けて、行政、教育機関、スポーツ団体、関連企業などとの連携を強化していきます。

以上

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

URL
-
業種
金融・保険業
本社所在地
東京都新宿区西新宿1-26-1
電話番号
03-3349-3000
代表者名
奥村 幹夫
上場
東証プライム
資本金
-
設立
-