~オーストラリア北東部 クイーンズランド州~ グレートバリアリーフで「ピンク色の雪景色」
サンゴの大規模産卵に多様な海洋生物が呼応
G ‘Day! クイーンズランド州政府観光局(オーストラリア クイーンズランド州ブリスベン、CEO:クレイグ・デイヴィッドソン)の日本事務所(東京都港区、日本局長:ポール・サマーズ)は、グレートバリアリーフにおいて、今年もサンゴの大規模な一斉産卵がピークを迎えたことをお知らせします。
クイーンズランドでは12月に雪こそ降りませんが、2025年12月9日、海の中ではまるでピンク色の雪が舞うような神秘的な光景が広がりました。この幻想的な“雪景色”を生み出しているのが、世界最大のサンゴ礁群・グレートバリアリーフで起きた、年に一度の大規模産卵です。
広大なリーフの各所でサンゴの一斉産卵がピークを迎え、今年は大シャコ貝や軟体動物、巻貝類も活発に動き、海中全体が生命の営みに満ちる一夜となりました。

モアリーフ(ケアンズ沖に位置するリーフ)では、サンラバー・リーフ・クルーズのマスター・リーフ・ガイド、ミシェル・バリー氏と海洋教育リーダーのアビー・ロビンソン氏がこの現象を観察しました。
■ピンク色の雪景色
15年間リーフで働き、8回の産卵を目撃してきた海洋生物学者のバリー氏は次のように述べています。「途中で視界が完全に失われるほど、卵と精子が水中を舞い、まるでピンク色の吹雪のようでした。周囲の生物も一斉に動き出し、水中には生命の渦が生まれていました。グレートバリアリーフがいまも力強く生きていることを全身で実感できる、特別な瞬間でした」
■健康で回復力のあるサンゴの証し
サンラバーの海洋生物学チームは、豪州連邦政府「Tourism Reef Protection Initiative」の一環として、モアリーフ周辺で週次の生物多様性調査と長期モニタリングを実施しています。今回の産卵後には、夏季前調査として基礎データの収集も予定されています。海洋教育リーダーのロビンソン氏は次のように述べています。「今回のような広範囲での大規模産卵は、サンゴが依然として健康で回復力を保っていることを示しています。一方で、気候変動はリーフにとって最大の脅威である状況に変わりはありません。継続的なモニタリングによって変化をいち早く把握し、熱波やその他の環境ストレスへの対応を迅速に行うことができます」
■南部リーフも順調なコンディション
レディエリオット島の環境マネージャー兼マスター・リーフ・ガイド、ジェシカ・ブラックモア氏によると、南部リーフは夏の繁殖シーズンに向けて「非常に良い状態」にあるといいます。北部・中部では11月に産卵が始まりましたが、同島では自然の月明かりや水温のリズムに合わせ、12月に本番を迎えました。
■なぜサンゴの産卵は2回起きるのか
サンゴの大規模産卵は主に11月の満月を合図に始まりますが、サンゴの種類によって“生物時計”がわずかに異なるため、産卵時期が分かれます。
早い種類は11月に産卵し、遅い種類は12月の水温や日照条件が整うのを待って産卵を行います。また、多くの軟体サンゴは卵と精子を同時に放出し、一部の種では無性生殖や産卵時期をずらすことで生存率を高める戦略も見られます。
こうした違いにより、グレートバリアリーフでは11月の“前哨戦”と、12月の“本番”のような2つの産卵ピークが生まれます。
■サンゴの産卵とは
サンゴの産卵とは、グレートバリアリーフに新しい生命が生まれる瞬間です。年に一度だけ起こる魅惑的な自然現象で、その様子は“海中の雪景色”とも例えられます。グレートバリアリーフのサンゴは、春から初夏にかけて卵子と精子を一斉に放出し、丸い小さなバンドルとなって海面へとゆっくり浮かび上がります。
この産卵はサンゴ礁魚が眠る夜間に行われるため、卵が食べられるリスクを減らすことができます。海面にはピンクがかった膜のような層が広がり、その中で精子と卵子が出会い、幼生が誕生します。幼生は10日ほどでサンゴのポリプへと成長し、リーフの未来を支える新たな世代となります。
サンゴの産卵は先住民の人々の間で長く語り継がれていたものの、科学的に観察されたのは1982年と比較的最近のことです。
サンゴは“生物時計”を持っており、満月、水温、日照条件などに合わせて産卵のタイミングを調整します。沿岸のサンゴ礁は外洋のアウターリーフより1ヶ月ほど早く産卵する傾向があり、ケアンズやポートダグラス沖では例年、11月の満月後2~6日に産卵のピークが見られます。
このように産卵時期が微妙にずれるため、グレートバリアリーフでは11月と12月に二度の産卵ピークが生まれる年があります。今年も地域ごとに産卵のタイミングが分かれ、豊かな繁殖シーズンとなりました。
■市民科学プログラムで“守るリーフ”を体験する
サンゴの一斉産卵は、グレートバリアリーフがいまも力強く息づいている証しです。クイーンズランド州では、この豊かな海を未来へつなぐために、さまざまな保全プログラムが進められています。サンゴの再生作業や研究施設の公開、市民が参加できる観察プロジェクトなど、訪れる人々がリーフの保全に触れ、参加できる機会も広がっています。
●Reef Magic Reef Recovery(ケアンズ沖)
海洋生物学者とともに、サンゴ片を“リーフスター”に取り付ける再生活動に参加するプログラム。
https://www.reefmagic.com.au/reef-magic-extras/reef-recovery/
●Be a Marine Bio(海洋生物学者体験)
Passions of Paradise のエコツアーでは、サンゴ植え付けや調査へ参加し、保全の最前線を体験できます。
https://passions.com.au/be-a-marine-bio-full-day-reef-tour-and-private-guide-experience/
●Eye on the Reef アプリ
訪問者が生物の発見やリーフの状態を記録する市民科学プログラム。
https://www2.gbrmpa.gov.au/our-work/programs-and-projects/eye-on-the-reef
●Monsoon Aquatics(バンダバーグ)
9〜3月に複数種のサンゴを産卵させる陸上施設。7万以上のサンゴと200種以上の海洋生物を見学可能。
https://monsoonaquatics.com.au/tours/
●研究ハブ(ヘロン島/オーフィアス島/リザード島)
世界的研究施設を巡り、サンゴ礁科学の最前線に触れられるエコツアー。
https://heron-island.research.uq.edu.au/plan-your-visit
https://www.orpheus.com.au/great-barrier-reef-eco-tours/
https://www.lizardisland.com.au/experiences/lizard-island-research-station/
●Eco Barge Clean Seas(ウィットサンデー地域)
海洋ごみ回収やウミガメ救護の現場を見学し、リサイクル活動を体験できます。
https://www.ecobargecleanseas.org.au/
この度のサンゴの一斉産卵について、クイーンズランド州政府観光局、日本局長ポール・サマーズは次のように述べています。
「サンゴの一斉産卵は、地球上でも極めて貴重な“いのちの瞬間”です。この自然現象を守り、次世代へつなぐために、観光・研究・地域コミュニティが力を合わせて取り組んでいます。グレートバリアリーフは今も力強く息づいており、訪れる方々はその美しさを楽しむと同時に、各地で行われている保全活動を支える大切なパートナーでもあります。実際にその保全活動も、先月には再生サンゴからの産卵が見られるなど、着実にその成果が見られています。皆さまにリーフを訪れていただくことが、この豊かな海の未来につながる力になります。自然との関わりや保全の取り組みを、ぜひ現地で感じていただければと思います」
クイーンズランド州について
人口約560万人、オーストラリアの約1/4の面積を占めるクイーンズランド州は、北東部に位置し、ケアンズ、ブリスベン、ゴールドコースト、グレートバリアリーフ等、人気の観光地を有する州です。年間を通じて温暖な気候に恵まれ日本との時差も僅か1時間と、日本との行き来がしやすいことも特徴です。より詳しい情報はホームページよりご確認ください。
公式ホームページ https://www.queensland.com
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公式Facebook https://www.facebook.com/visitqueensland
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