「社会的システムのデジタル化による再構築に向けた提言」 5社共同で発表
-「社会的システム・デジタル化研究会」を発足。社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を目指す-
本研究会は、社会的システムのデジタル化(Digitalization)を通じ、社会全体の効率の抜本的向上を目指すために発足(※1)しました。オブザーバーとして業界団体や行政機関の参加も得ながら合計5回の研究会を開催し、「短期的には、標準化された電子インボイスの仕組みの確立に取り組むべき」「中長期的には、確定申告制度、年末調整制度、社会保険の各種制度等についても、業務プロセスを根底から見直すデジタル化を進めるべき」との本提言をまとめました。
本研究会は、本提言を中間成果物として位置づけ、今後は参加メンバーを拡充し議論を継続します。同時に、下部組織として、「電子インボイス推進協議会」を2020年7月に立ち上げ、2020年内をめどに電子インボイス(※2)の標準規格を策定し、2021年には具体的なシステムの開発を着手できる状態を目指します。
※1 前身は2019年12月に発足した「Tax Compliance by Design 勉強会」
※2 2023年10月1日から、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入されます。適格請求書発行事業者は、紙の適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録(=電子インボイス)を提供することができます。
- 主な提言内容
・情報通信技術が急速に発展している一方で、日本における現状の社会的システムの多くは、戦後に紙での処理を前提として構築されたものの一部の電子化(Digitization)に留まっている。改めて、デジタルを前提として業務プロセスの根底から見直すデジタル化(Digitalization)を進めることによって、社会全体としての効率を抜本的に向上させ、社会的コストの最小化を図るべきである。
・社会的システムのデジタル化による再構築に際して、1. 発生源でのデジタル化、2. 原始データのリアルタイムでの収集、3. 一貫したデジタルデータとしての取り扱い、4. 必要に応じた処理の主体の見直し、の4つのポイントを踏まえるべきである。
・短期的には、2023年10月のインボイス義務化に向け、標準化された電子インボイスの仕組みの確立に取り組むべきである。 商取引の主体は民間であることから、まずは何よりも民間がメリットを確実に享受できるものとして、民間が主導して標準化、および仕組み構築を進めるべきである。同時に、インセンティブ設計も含め、行政による一定の関与と強力な後押しは不可欠である。
・中長期的には、確定申告制度、年末調整制度、社会保険の各種制度等についても、業務プロセスを根底から見直すデジタル化を進めるべきである。主に行政の仕組みであることから、行政が主導すべきであるが、民間も、行政手続きへの対応を要求される立場として、全体最適が実現されるよう、積極的に提言を行い、仕組み構築に際し、その設計から関与するべきである。行政/民間双方での対応が必要とされることから、現実的かつ明確なロードマップを作成し、計画的に、かつ段階的に進めるべきである。
本提言の本文は、本ページ下部「参考資料ファイル(PDF)」からご覧いただけます。
- 本研究会発足の背景
日本における社会的システムの多くは、戦後の紙処理を前提として構築されたものであり、令和の時代においても、その基本的な構成は変わっていません。これまでに、e-Taxなど、電子申告、電子申請の仕組みが普及し、特に行政コストの低減につながっています。さらに2019年のデジタル手続法成立を受け、今後も情報通信技術の活用による行政手続の簡素化、効率化は進んでいくものと考えられます。
ただし、これまでの取り組みは、紙を電子化する観点にとどまっており、デジタルを前提とした業務プロセス全体の見直しには至っていません。また、紙を前提としたまま、プロセスの一部を電子化するだけでは、実現される効率化は限定的であり、新型コロナウイルス禍によって如実に示された通り、リモートワークも含め、これからの時代の働き方実現への大きな阻害要因になっています。
こういった課題に対処し、社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を図ることを目的に、本研究会を発足しました。
- 本研究会 参加メンバー ※法人名50音順
SAPジャパン株式会社 代表取締役会長 内田 士郎
弊社は企業・公共機関の皆様が真のインテリジェントエンタープライズとして成功するためにさまざまな支援を行っているグローバルソフトウエア企業です。グローバル知見の提供を含めて本研究会に参画してきた結果、このような提言を取りまとめることができて大変光栄に存じます。今後は本提言をもとに、より具体的に社会全体のデジタルトランスフォーメーションの推進に関わっていく所存です。
株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC) 代表取締役社長 和田 成史
業務プロセスのデジタル化の加速は、新型コロナウイルスの発生によりBCP対策としてその重要性は、ますます高まっています。しかしながら、行政領域における変革のスピードは、まだまだ十分とは言えません。これを解決するためには、企業側と行政側の双方において業務をデジタル化し、データ連携を行うことが、お客様の利便性向上の一つの解決策となり、ひいては、日本全体の成長につながります。行政の変革のつなぎ役として、その変革を補完し、早期に企業がデジタル化による利便性を享受できるよう、研究会の推進の役割を果たして参りたいと考えております。
ピー・シー・エー株式会社 取締役相談役 水谷 学
ピー・シー・エー株式会社は、本研究会の社会的システムのデジタル化による再構築に向けた提言の発表を歓迎いたします。弊社が提供する基幹業務クラウドサービス『PCAクラウドDXシリーズ』では、既に100を超える様々な業務システムとデータ連携を行い、広範囲のデジタル業務領域の提供を行っております。
これからも参加各企業や行政と連携し、デジタルトランスフォーメーションの実現に向けて尽力して参ります。
株式会社ミロク情報サービス 代表取締役社長 是枝 周樹
インターネット・スマートフォンの普及、クラウド環境の整備によりデジタルデータが大量に蓄積されるようになりました。そして、2010年代にAI技術がブレークスルーしました。これからの競争力の源泉は、この大量に蓄積されたデータのAI技術による有効活用になることが想定されます。しかし、日本、特に中小企業では、ITを導入しているとしても業務プロセスは従来の手作業中心で、それが生産性の低さの原因の一つとなっており、データの有効活用も進んでいません。生産性の向上・データの有効活用のためにはデジタル化された社会インフラ上での個々の企業のデジタル化が必要であり、また、DXへの対応が急務となる中で、この研究会がその実現の一助になればと考えます。
弥生株式会社 代表取締役社長 岡本 浩一郎
弥生株式会社は、確定申告制度や年末調整制度など、既存の社会的システムのもとで、小規模事業者の皆さまが円滑に業務を進めることができるようお手伝いをして参りました。しかし、これら社会的システムの多くは、戦後に紙での処理を前提として構築されたものであり、そのままでは業務の効率化にはおのずと限界があります。社会全体としての効率を抜本的に向上させるためには、デジタルを前提として業務プロセスの根底から見直すデジタル化が不可欠であると考え、本研究会で議論を重ね、提言として取りまとめることができました。引き続き、行政と密に連携をとりながら、社会全体のデジタルトランスフォーメーションの実現に向けて努力して参ります。
【会社概要】
SAPジャパン株式会社
所在地:東京都千代田区麹町1-6-4 SAP ジャパンビル
代表者:代表取締役社長 鈴木 洋史
創業:1992年10月
株主:SAP SE 100%出資
事業内容:コンピューターソフトウエアの開発販売、教育ならびにコンサルティング
株式会社オービックビジネスコンサルタント
所在地:東京都新宿区西新宿六丁目8-1 住友不動産新宿オークタワー 32階
代表者:代表取締役社長 和田 成史
創業:1980年
事業内容:業務システムおよび関連サービスの開発・販売・サポート
ピー・シー・エー株式会社
所在地:東京千代田区富士見1-2-21 PCAビル
代表者:代表取締役社長 佐藤 文昭
創業:1980年
事業内容:業務ソフトウェアおよび関連サービスの開発・販売・サポート
株式会社ミロク情報サービス
所在地:東京都新宿区四谷4-29-1
代表者:代表取締役社長 是枝 周樹
設立:1977年11月2日
事業内容:税理士・公認会計士事務所およびその顧問先企業向けの業務用アプリケーションソフトの開発・販売・サポート
弥生株式会社
所在地:東京千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX 21F
代表者:代表取締役 岡本 浩一郎
創業:1978年 (現在の法人の設立年月日 : 2007年1月15日)
事業内容:業務ソフトウエアおよび関連サービスの開発・販売・サポート
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