日機装、中部地方発明表彰「金沢市長賞」を受賞 血液浄化装置の準備で時短、治療をより迅速・確実に
■作業効率化の背景
血液浄化装置は、救急医療や慢性疾患治療など幅広い分野で使用されています。体外循環治療の制御を行う装置で、患者から取り出された血液を浄化器またはフィルターに送り、血液中の病因物質や余分な水分を取り除きます。浄化された血液は、再び患者の体内に戻されるか、必要に応じて新鮮な血液(血漿)と交換されます。このような治療は、主に救急医療の分野で行われ、特に重篤な毒物中毒、腎不全、肝不全、心臓手術後の合併症、および重症の感染症など緊急時の幅広い治療で活用されています。
当社が製造する血液浄化装置は、体液量を調整したり、薬剤を注入したりするためのポンプを最大7つ搭載しており、各ポンプにチューブを装着する必要があります。ポンプにチューブを取り付ける際、医療従事者がロータを回転させつつポンプ内にチューブを送り込んで挿入する必要があるため、取付時の作業性が悪いという難点がありました。本発明では医療従事者の手間を削減し、複数あるポンプにチューブを短時間で確実に装着できるよう、所定の位置にチューブをセットした後、複数のポンプのロータが自動でチューブを巻き取って装着できることを目指しました。
■受賞した発明内容
今回、日機装が金沢市長賞を受賞した発明は、複数のポンプチューブを一括して自動で着脱させることができる仕組みです。
① チューブ装着時の仕組み
レバーで取付部材を押し下げた後、ボタンを押すと自動でポンプを回転させながらチューブを巻き込み装着します。
② チューブを取り外す時の仕組み
レバーで取付部材を持ち上げた後、ボタンを押すと自動でポンプを回転させながらチューブを外します。
■実績と今後の展開
今回発明した血液浄化装置のメカニズムは、2019年に販売開始した血液浄化装置に搭載されており、得られた技術は、透析装置などへの応用を視野に入れております。慢性透析の患者数は急性期の血液浄化より多く(2021年現在、日本国内の透析患者数は34.9万人)、加えて、一度にたくさんの患者が治療を行うため、治療準備に対する医療従事者の負荷は大きくなります。こうした負担軽減につなげる狙いです。日機装は安全で確実な透析治療や血液浄化治療を提供するため、さらなる効率化に取り組んでまいります。
■地方発明表彰について
大正10年に開始した地方発明表彰は、実施効果が高い、優れた発明、考案、または意匠を生み出した技術者・研究開発者を顕彰するもので、全国を8地方に分けて実施しています。
本件の表彰式は、11月17日(金)ANAクラウンプラザホテル金沢で開かれます。
受賞者の一覧および表彰式については、公益社団法人 発明協会のホームページをご覧ください。
http://koueki.jiii.or.jp/hyosho/chihatsu/chihatsu.html
<日機装 会社概要>
会社名: 日機装株式会社
本社所在地: 東京都渋谷区恵比寿4丁目20番3号恵比寿ガーデンプレイスタワー22階
創業: 1953年12月26日
代表者: 代表取締役社長 甲斐 敏彦
事業内容: 産業用特殊ポンプ・システム、医療機器、航空機部品等の製造・販売
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