日立とエネウィル、系統蓄電所に蓄えられた再エネ電力のグリーン価値の証明サービスと事業活用を開始
デジタル技術で再エネ電力の環境価値を可視化し、次世代型再エネ取引の社会実装を推進

株式会社日立製作所(以下、日立)と株式会社エネウィル(以下、エネウィル)は系統蓄電所*1に蓄えられた再生可能エネルギー(以下、再エネ)由来の電力が持つグリーン価値の証明とそれを用いた売電事業に関する協業を開始しました。蓄電池を介して供給される再エネ由来の電力が持つ環境価値の事業活用に向け、系統蓄電所に蓄えられた電力が持つ「グリーン価値」を正しく証明・可視化する新たな仕組みを構築し活用するものです。エネウィルは日立が開発した蓄電電力のグリーン価値認証サービス「Storing RE」を活用したグリーン電力の供給を開始しています。なお、本サービスに係る第三者認証を一般社団法人 パワード・バイ・アールイー認定委員会が実施しています。
今回、エネウィルは北海道名寄市内に保有・運用する「名寄1蓄電所」(写真、出力1,999kW、容量8,128kWh)において、五十嵐ホールディングス株式会社が保有・運用する太陽光発電所(出力1,500kWac)で作られた再エネ電力を充電しました。蓄電所に充電された電力は、電力需要の多い時間帯にタイムシフト供給され、近隣4箇所の施設(拠点)で消費されます。この電力に「Storing RE」を適用しており、発電・充放電・受電に関する各種データを時間単位で管理・連携することで、蓄電池を介して供給される再エネ電力の環境価値をデジタル技術により追跡・証明する仕組みが実現されています。
現在、再エネ由来の電力が有するグリーン価値に関し、温室効果ガス(GHG)排出算定の国際基準改訂*2が進められており、再エネ電力の需給に対する時間と場所の条件が厳格化される方向です。本取り組みは、改訂に則した次世代の電力取引への対応を見据えた蓄電所の仕組み作りの一環となります。
*1系統蓄電所:送配電網(電力系統)に直接接続され、単独で電力を充放電できる大型の蓄電施設。
*2 GHGプロトコルにおけるScope 2ガイダンス改訂:https://ghgprotocol.org/blog/upcoming-scope-2-public-consultation-hourly-matching-and-deliverability
導入の背景
脱炭素社会の実現に向け再エネの導入が加速する中、天候による発電量の変動を吸収し電力系統を安定化させる系統蓄電所は、再エネの主力電源化を支える社会インフラとして重要性が高まっています。これに伴い、電力取引所における値差売買「アビトラージ*3」や系統・需給の安定化を担う需給調整市場・容量市場への売電により収益化を図る系統蓄電所事業の市場拡大が見込まれています。
系統蓄電所を介した再エネ電力の利活用では環境価値の担保が潜在課題です。送配電網を流れる通常の電力と再エネ電力が同じ蓄電池に充電され混ざった場合、現行システムでは放電された電力のどの部分が再エネ由来であるかを厳密に追跡・識別できません。そのため、蓄電の過程で再エネ本来の環境価値が失効し、需要家へ適切に引き継がれないことが想定されます。また現在、再エネ電力の需給に対し、同時性(アワリーマッチング*4)や同地性(供給可能性*5)等のデータ情報をより厳格に管理・運営する新しい国際基準が検討されています。この対応に向け、蓄電所を経由した電力を時間軸や地域軸で正しく計測し可視化する仕組みが必要となっています。
*3アビトラージ:裁定取引のこと。電力取引において、電力価格の安い時間帯に電力を購入して蓄電池へ充電し、価格の高い時間帯に放電し売ることで、その価格差から収益を得る手法。系統用蓄電池ビジネスにおける収益モデルとして期待されています。
*4アワリーマッチング:企業などが消費する電力と再エネの発電量を1時間単位で一致させる脱炭素の取り組み。実質的なCO2削減を可視化できる次世代型の再エネ調達手法として注目されています。
*5供給可能性:再エネ電力の需給において調達と使用を同じ物理エリア内(同一グリッド内)で行う考え方。物理制約の少ない環境証書の活用との差別化要素として注目されています。
解決手段
この課題を解決するために日立の「Storing RE」は、発電・充放電・受電の各データに対するデジタルトラッキング技術を活用、環境価値のデータエビデンスを提供します。また、第三者認証機関がこれを客観的に認定する枠組みが構築されています。「Storing RE」は製品やサービスの製造・運用に使用される電力が100%再エネ由来であることをデジタル証明する既存サービス「Powered by RE」を機能拡張したものです。同サービスに用いる30分単位の需給データに加え、新たに蓄電所の充放電データを30分単位で収集し同一の情報基盤にて一元管理しています。情報基盤では発電、充放電、および受電の各データを時間単位で紐付ける独自の”需・蓄・給”のトラッキングに基づき、蓄電所内に通常電力と再エネ電力が混ざり合った場合でも、時間ごとの充放電履歴と需給データを照合することで再エネ由来の電力需給量を正しく算定できます。これにより、アビトラージスキームにおいて電力需給に”時間差”が生じた場合でも、データの不一致、消失・二重計上を未然防止し、「再エネ由来であること」を厳密・適切に管理・運用します。また、これらの進捗、状況は二次元コードを使ったダイナミックラベリング*6によりスマートフォンなどを通じ確認できます。
*6ダイナミックラベリング :二次元バーコードなどを用いて時間変化を含む情報を可視化するラベリングシステムを指す。環境ラベルにおける各種情報の経過、最新状況をスマートフォン等でリアルタイムに確認できます。
今後の展開
今後、日立とエネウィルは、本取り組みで構築した仕組みが、次世代グリーン電力システムに不可欠な基盤として活用され、社会実装が拡大されるよう推進していきます。エネウィルが有する系統用蓄電池の実績と運用ノウハウに日立の技術を融合し、現状の収益モデルにグリーン付加価値を提供することで蓄電所を活用した電力事業の高度化と収益化を図ってまいります。
日立は、経営計画「Inspire 2027」においてサステナビリティ戦略「PLEDGES」を掲げ、グリーントランスフォーメーションを推進しています。今回の取り組みは、この戦略のもとでデジタル技術とデータを活用し、新たな価値を創出するものです。日立は今後、Powered by REおよびStoring REが有する再エネ価値トラッキング機能に、AIによる発電量予測、需要予測、蓄電池劣化予測、市場価格予測を組み合わせることで、環境価値と経済価値の双方を最適化する運用を実現する「HMAX Industry」としての国内外への販売をめざします。
日立のコネクティブインダストリーズ(CI)セクター インダストリアルソリューションビジネスユニットでは、プロダクトの豊富なインストールベース(デジタライズドアセット)のデータにドメインナレッジと先進AIを組み合わせた次世代ソリューション群「HMAX Industry」に注力しています。フィジカルAIのリーディングカンパニーとして、これらをコアとする「インダストリアルソリューション」の提供を通じて、お客さまのライフタイムバリューを最大化し、グローバルに産業を変革することで、豊かな社会の実現をめざします。
関連サイト
Powered by RE
https://www.powered-by-re.com/renewable_energy.html
日立のサステナビリティ戦略「PLEDGES」
https://www.hitachi.com/ja-jp/press/articles/2025/06/0627/
日立製作所について
日立は、IT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業(SIB)を通じて、社会インフラをデジタルで革新し続けるグローバルリーダーをめざし、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献します。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズの4セクターに加え、新たな成長事業を創出する戦略SIBビジネスユニットの事業体制でグローバルに事業を展開し、Lumadaをコアとしてデータから価値を創出することで、お客さまと社会の課題を解決します。2025年度(2026年3月期)売上収益は10兆5,867億円、2026年3月末時点で連結子会社は606社、全世界で約29万人の従業員を擁しています。詳しくは、www.hitachi.com/ja-jp/をご覧ください。
エネウィルについて
株式会社エネウィルは、太陽光発電やバイオマス発電などの地域に最適な再生可能エネルギーの開発をはじめ、地域エネルギー会社としての実績のもと、長期にわたり地域のお客様によりそい伴走し続ける企業です。発電所・蓄電所の開発から施設の運営・保守、アセットマネジメント、新電力の運営を通じた電力の供給までを一貫して手がけています。再生可能エネルギー100%の世界を目指し、地域の遊休資産を活用した再生可能エネルギーの地産地消の実現により地域を活性化し、持続性の高いまちづくりを目指しています。詳しくは、https://enewill.com/をご覧ください。
お問い合わせ先
株式会社日立製作所
株式会社エネウィル
人事総務部
電話:03-4476-8050(代表)
E-mail:info@enewill.com
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