Indeed、トラックドライバーに関する仕事検索の動向を調査 仕事検索数はコロナ禍以前より最大約5割増加
トラック業界では柔軟な働き方の推進により人材不足に対応
物流業界においてトラックドライバーの慢性的な人手不足が深刻な問題になっています。公益社団法人鉄道貨物協会が2019年に発表した「本部委員会報告書」では、2028年度には27.8万人の人手不足が生じると予想されています。その要因の一つとして、宅配便などの取り扱い個数の増加が挙げられています。国土交通省によると、2020年のトラック運送における宅配便は47億8494万個で、これは2010年と比べると約5割増です。さらにコロナ禍における宅配ニーズの急激な増加により、トラックドライバーの人材獲得競争が高まっていると考えられます。
そこでこのたび、物流業界においてニーズが高まるトラックドライバーの仕事について、Indeedにおける関連検索ワード(ドライバー、運転手、トラックドライバー、トラック運転手)の過去5年間(2017年8月~2022年8月)の推移を調査しました。
「ドライバー」「運転手」の仕事検索数は2020年4月が最多
【注】本データは、2017年8月〜2022年8月における仕事検索数100万件あたりの各月の平均推移を示したものであり、実数字ではありません。「ドライバー」「運転手」をキーワードとした検索数を合算し、推移を表したものです。
「ドライバー」「運転手」をキーワードとした検索数は2020年2月から急激に増加し、緊急事態宣言が発令された同年4月には2017年8月以降で最多の検索数となりました。以降、検索数は徐々に減少していますが、2022年8月における仕事検索数はコロナ禍前の2019年同月比4.0%増加しており、コロナ禍前よりも高い水準を維持しています。
「トラックドライバー」「トラック運転手」の仕事検索数はコロナ禍以前より最大約5割増加
【注】本データは、2017年8月〜2022年8月における仕事検索数100万件あたりの各月の平均推移を示したものであり、実数字ではありません。「トラックドライバー」「トラック運転手」をキーワードとした検索数を合算し、推移を表したものです。
「ドライバー」を含む検索ワードの内訳を調べると、トラックドライバーに関連した検索が多かったことから、「トラックドライバー」「トラック運転手」の二つのキーワードについても調査しました。
「トラックドライバー」「トラック運転手」の検索数は、新型コロナウイルス感染者が国内で報告され始めた2020年2月から増加が加速し、2020年5月には過去5年間で最も多い検索数となり、最も検索数が少なかった2018年10月と比較して約5割増の49.3%の増加となりました。
2021年11月以降の検索数は減少傾向にあるものの、2022年8月は2019年同月比で10.0%増加しており、コロナ禍前よりも引き続き検索数が高い水準を維持していることが分かりました。このことから、コロナ禍が長期化する中で、トラックドライバー・トラック運転手に関する仕事を探している求職者がコロナ禍以前よりも増加していると言えます。
調査結果に対する有識者コメント:公益社団法人全日本トラック協会 経営改善事業部次長 佐山 高広 氏
慢性的なトラックドライバーの人材不足は業界として大きな課題であると認識しています。人材不足の背景の一つとして、1990年の貨物自動車運送事業法の改正が挙げられます。それまで運送事業者は免許制で需給調整が行われていましたが、事業許可制に切り替わり、事業者の新規参入が促されました。その結果、同じ貨物量に対して事業者が大幅に増加し、輸送費用の価格競争が起こりドライバーの給与にも影響が出ました。物流業は、ドライバー個人の努力によって生産性を上げることが難しく、ドライバーは処遇が上がらないことに加えて長時間労働が多いというマイナスのイメージがもたれてしまい、採用難につながっていると言えます。
業界全体で慢性的な人材不足が課題となる中、コロナ禍でトラックドライバーに関する求人検索数が急増し、それ以降も検索数が以前よりも多い状況にあるなど、求職者の関心が高まっていることは当協会としてもポジティブに捉えています。コロナ禍の巣ごもり生活において宅配を利用する生活者が増えたことで、ドライバーの仕事を身近に感じてもらえたり、物流に携わる従事者が日常生活に欠かせない「エッセンシャルワーカー」であるという認識をもってもらえたことの表れであると考えています。物流のドライバーは荷種により違いはありますがコロナ禍でも需要が減少することなく、安定した職業であると認知されたことも要因の一つではないでしょうか。ただ、多くの求職者に関心を寄せてもらっている一方で、実際の採用状況は横ばいで事業者の5割以上が労働力の不足感を感じている※という実態があります。
※トラック運送業界の景況感(速報) 令和4年1月~3月期
人材不足の解消にはやはり根本的な課題であるドライバーの処遇改善、長時間労働の是正、柔軟な働き方の実現が必要であり、当協会では事業者と共にさまざまな取り組みを進めています。最近では働き方改革として、業務内容と時間を切り分け、多様な働き方を提供することで、時間的な制約のある方や勤務時間の短縮を望むことが多い高齢のドライバーでも仕事がしやすい環境を整えている事業者もいらっしゃいます。
また、ドライバーは男性の仕事というイメージが強いのですが、近年、女性ドライバーの活躍推進にも力を入れています。例えばある事業者では、配送時間が決まっている学校給食業務を新たに開拓したり、既定のルート配送業務を分担することで業務時間を調整しやすくするなど、育児等の家庭の状況に合わせた働き方を望むことが多い女性ドライバーも活躍できるような仕組みづくりに取り組んでいる事例も伺っております。
これまでトラック業界では勤務時間の制約があると就業できないと思われてきましたが、最近はワークライフバランスを重視し、柔軟な働き方を実現する事業者が増えてきています。また、ドライバーの採用課題の解決に向けて、経験者のみならず未経験者やトラックの運転免許を保持していない人への活躍の機会を増やすため、金銭的負担がかかる大型免許取得や若年層の育成に取り組む事業者も増えています。国土交通省は2020年、トラック運送業の効果的な理解促進・魅力発信、そして人材確保・育成等に向けたパンフレットおよび好事例集を公表しました。運送の担い手がいなくなれば物流が停滞することから、政府としても業界単独の問題ではなく、日本の産業全体の問題・政策課題として捉えていると言えます。日本の経済・国民生活を支えるトラックドライバーに活躍して頂くために、当協会は引き続き多方面での事業者・求職者支援に取り組んでまいります。
【有識者プロフィール】
佐山 高広(さやま たかひろ)公益社団法人全日本トラック協会 経営改善事業部次長
東北大学経済学部卒。1995年に株式会社商工組合中央金庫に入庫、東京はじめ全国各地にて中小企業向け融資を中心に金融サービスの提供に従事。2020年4月に公益社団法人全日本トラック協会に出向して現職。主に近代化基金融資事業、各種助成事業を担当。金融機関で蓄積した知見を活かし、中小会員事業者の経営改善に資する施策立案・運営にも携わる。
まとめ
調査の結果、2020年2月以降、コロナ禍における宅配ニーズの増加に伴いトラックドライバーの仕事検索数は、コロナ禍以前より最大約5割増加していることが明らかになりました。また、現在もコロナ禍以前と比べて引き続き高い検索数が示されました。この結果から、トラックドライバーへ求職者の関心はコロナ化をきっかけに急増し、それ以降も高い水準を維持していることが伺えます。
トラックドライバーの人材不足は継続していますが、今後さらに処遇の改善や働き方改革など事業者の取り組みが広がることで、より多くの求職者が興味関心を持ち、活躍できる機会が増えることが期待されます。
Indeedは「We help people get jobs.」をミッションに掲げ、全ての人が自分に合った仕事を見つけられる社会の実現を目指しています。今後も、Indeedに蓄積された仕事検索に関するデータに基づいて分析した労働市場の動向を始め、求職者と雇用主双方にとって有益な情報を提供してまいります。
調査概要
・調査主体:Indeed Japan株式会社
・調査期間:2017年8月〜2022年8月
・調査対象:Indeed上で行われた「ドライバー」「運転手」「トラックドライバー」「トラック運転手」のキー
ワードを含めた検索
・調査方法:日本における全仕事検索数に対する各キーワードの検索割合(100万件あたりの検索数)を月別平均で算出
Indeed (インディード) について
Indeedは、最も多くの人が仕事を見つけている世界No.1求人検索エンジン*です。現在60ヵ国以上、28の言語でサービスを展開し、求職者はパソコンやモバイルで何百万もの求人情報を検索することができます。月間で2億5千万以上のユーザーがIndeedを利用し、求人検索や履歴書の登録、企業の情報検索を行っています。詳細はhttps://jp.indeed.comをご覧ください。
*出典:Comscore 2021年9月総訪問数
■プレスリリースはこちらからもご確認いただけます。
Indeed Japan Press Room:https://jp.indeed.com/press/releases/20220928
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