インスリン注射針向けのレーザー溶接用「薄肉・狭幅ステンレス鋼」の量産体制を確立

世界的な糖尿病患者の増加と注射針の細径化に対応

日本金属株式会社

 日本金属株式会社(本社:東京都港区、取締役社長:下川康志、証券コード:5491)は、インスリン注射等の極細径注射針向けに、レーザー溶接に適応した「薄肉・狭幅ステンレス鋼」の量産を開始したことをお知らせします。世界的な需要拡大を受け、高品質な素材を安定供給する体制を整えました。

イメージ図 インスリン注射用極細径注射針

■ 背景:世界的な注射針需要の拡大と「痛くない針」への進化

 国際糖尿病連合(IDF)が2025年5月に発表したデータによると、世界の成人糖尿病患者数は5億8,900万人(約9人に1人)に達しており、2050年には8億5,300万人(約8人に1人)まで拡大すると予測されています。これに伴い、インスリン注射針の需要は世界的に高まっています。

 また、近年のインスリン注射は技術革新により、患者様の負担を軽減する「痛みが少なく、あざができにくい」構造へと設計が進化しています。特に30G・31G・32Gといった極細径管の採用が進むとともに、自己注射の利便性を高める小型の携帯用ペン型注入器の普及が、この傾向を後押ししています。さらに昨今では、世界的に肥満防止薬においても同様の極細針が使用されており、市場はさらなる拡大基調にあります。

表 インスリン注射針等代表サイズ

■ 当社の実績:世界トップクラスのシェアを支える品質力

 当社はこの「痛くない針」を代表とする医療・美容向け薄肉溶接管用材料として、安定した溶接性と優れた引抜加工性を兼ね備えたステンレス鋼「NK-304NKM」を世界各国へ供給しております。

 当社の注射針用材シェア(※1)は、国内約57%、海外主要エリア約55%(※2)と、世界トップクラスのシェアを維持しており、その品質優位性は市場で高く評価されています。

※1:国内・海外34社対象、2026年3月当社調べ

※2:主要エリア・主要国:東南アジア、韓国、中国、インド、EU

■ 技術的進化:レーザー溶接への移行と新生産体制の確立

 従来のインスリン針製造は、主にTIG溶接・プラズマ溶接によって造管(例:素材厚み0.2mm)したのち、引抜加工と熱処理を繰り返して極薄管を成形していました。

 しかし近年、急増する需要に応えるため、より高速な溶接が可能で、かつ素材の段階から50%以上の薄肉化(例:素材厚み0.08mm)を実現できる「レーザー溶接機」の導入が世界的に広がっています。

 これを受け、当社では国内外の多数のお客様より寄せられていた「レーザー溶接に適応する高品質な薄肉・狭幅材」の供給依頼に応えるべく、レーザー溶接機を導入している数社のお客様と試作を繰り返し、この度、品質・生産ともに安定供給が可能な体制が整いました。

■ 本製品の特長と強み

 レーザー溶接用材には、従来のTIG溶接・プラズマ溶接用材と同等の品質管理が求められます。当社は以下の強みにより、極薄素材(厚さ0.08mm)においても高い安定性を実現しました。

  1. 優れた切断面品質:溶接の成否を左右する切断面(せん断面比率)を高度に制御し、溶接不良を抑制。

  2. 長尺・安定供給:約4,000mにおよぶコイル全長にわたり、均一な溶接性を維持。

  3. 高精度な寸法公差:緻密な管理が必要なレーザー溶接に対応するため、板厚公差・幅公差を極限まで追求。

  4. 高い加工性:極細まで引き伸ばしても破断しない優れた素管溶接部と引抜加工性を両立。

写真1. TIG溶接・プラズマ溶接用材 素材厚さ:0.2mm(素材幅12.8mm)
 写真2. レーザー溶接用材(代表サイズ) 素材厚さ:0.08mm (素材幅6.3mm)

 当社は、長年培ってきた優れた圧延技術および加工技術を強みとして、変化する産業構造やお客様の高度な要求に柔軟に対応してまいります。また、素材供給を通じて医療技術の進歩や社会課題の解決に貢献してまいります。

【鋼帯製品概要】

 当社の冷延ノウハウが蓄積された独自設計の設備群、そして、そこから創出された業界トップレベルの当社独自技 術がお客様のあらゆるニーズにお応えします。

当社ホームページ(鋼帯製品):

https://www.nipponkinzoku.co.jp/corporate/business/stainless-steel

● 第11次経営計画「NIPPON KINZOKU 2030」について

 当社は「人と地球にやさしい新たな価値を共創するMulti&Hybrid Material企業」をビジョンに掲げています。独自の圧延・複合成形技術により、素材段階で最終製品に求められる性能を実現し、広く社会に貢献してまいります。

 このビジョンの達成に向け、以下の3つのキーワードを軸に製品開発を推進しています。

  • 「Multi & Hybrid Material」:多種多様な素材の活用

  • 「Near Net Shape」:最終製品に近い形状への成形加工

  • 「Near Net Performance」:素材レベルでの製品性能の実現

 これらの独自技術により、新技術・新製品を主軸とした事業構造への変革を進め、多様化する市場ニーズに柔軟に対応してまいります。

当社ホームページ(経営計画):

https://www.nipponkinzoku.co.jp/investor-relations/strategies


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業種
製造業
本社所在地
東京都港区芝5丁目29番11号 G-BASE田町10・11階
電話番号
03-5765-8111
代表者名
下川康志
上場
東証スタンダード
資本金
68億5700万円
設立
1939年11月