納期短縮およびコストダウンを実現する新形式FLNG Hullの概念設計を確立
アメリカ船級協会から設計基本承認(AIP)を取得
日揮ホールディングス株式会社(代表取締役会長CEO 佐藤雅之)は、日揮グローバル株式会社(代表取締役社長執行役員 ファルハン・マジブ。以下「日揮グローバル」)が川崎汽船株式会社(代表取締役社長 明珍幸一。以下、「川崎汽船」)と共同で、既存のLNG輸送船のLNG貯蔵タンクを利活用した新形式のFLNG Hull(浮体式LNG生産設備の船体)の概念設計を確立し、このたびアメリカ船級協会の設計基本承認(AIP)を取得しましたので、お知らせします。
FLNGは、原料ガス輸送用のパイプライン敷設コストを削減し、ガス田枯渇後もFLNGを別の海域に転用できることなどから、陸上から遠く離れた海底ガス田、なかでも陸上LNGプラントでは採算が合わない中小規模ガス田の開発に適しています。中小規模海底ガス田は、世界各地の海底に数多く存在し、新興国を中心とするエネルギー需要の増加と、化石エネルギーのなかでも環境に優しいLNGへの転換に伴い、アジア・アフリカ地域を中心にFLNGによる事業化計画が複数進展しています。
FLNGは、現在稼働中・建造中を含めて世界に7隻が存在していますが、波による揺れへの対応、限られた敷地面積での建設、安全性への対応といったFLNG特有の課題への技術的な対応が不可欠であり、これらを実現しながら建造費をいかに抑制するかが課題となっています。
とりわけ、Hull内のLNG貯蔵タンクは、極低温(-162℃)に耐える高価な低温用材料を使用することに加えて、低温用材料の繋ぎ目を特殊な技術で溶接する必要があるため、建造できる造船所および作業者が限定され、高コスト化かつ長納期化に繋がっています。
一方、LNG輸送船は、1970年代に最初の一隻が建造されて以降、LNGの利用拡大とともに増加し、現在600隻超が存在していますが、その一部は近年建造された低燃費で積載容量が多い船に代替され、停泊地に係留されたままになっています。
日揮グローバルと川崎汽船は、この旧世代のLNG輸送船に着目し、国土交通省の支援※1を得て、既存のLNG輸送船の球形(モス型)LNG貯蔵タンクを移設・再利用し船体に組み込む新形式のFLNG Hullの概念設計を確立しました。そしてこの新形式のFLNG Hullの概念設計は、最も権威のある船級協会の一つであるアメリカ船級協会(ABS:American Bureau of Shipping)から、設計基本承認※2(AIP:Approval in Principle)を取得し、実装に向けて大きく前進しました。
既存のLNG輸送船の球形(モス型)LNG貯蔵タンクを移設・再利用することで、(1)高価な低温用材料製貯蔵タンクの新造を不要とし、Hullの建造費を低減、(2)それに伴い、FLNG Hullを建造できる造船所の選択肢が増加し、工期短縮や価格低減が実現することが期待されます。
日揮グループは現在まで2隻のFLNGの設計・調達・建設(EPC)を手掛けているほか、コミッショニング(試運転)支援などでも関与しており、FLNGに関して世界トップクラスの実績を持っています。また、共同開発者の川崎汽船は、LNG輸送船事業に長年に亘って従事し、LNG輸送船の建造・運航に関する豊富な経験を有しています。加えて、川崎汽船はFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)の運用に参画するなどオフショア事業にも取り組んでいます。
LNGは化石燃料の中でも比較的低炭素でクリーンな燃料と位置付けられ、今後も新興国の需要増を背景に堅調に推移することが見込まれます。日揮グループはこれまでの経験・実績に加えて、本開発成果を活かし、価格競争力を持ち、かつ信頼性の高いFLNGを顧客に提供すべく、受注活動を積極的に展開していく所存です。
※1:海洋資源開発関連技術高度化研究開発事業の対象事業
※2:設計基本承認とは、新規技術や既存規則が詳細に規定されていない分野において、認証機関が基本設計を審査し、安全性や技術要件の基準を満たすと承認されたことを示すものです。
FLNGは、現在稼働中・建造中を含めて世界に7隻が存在していますが、波による揺れへの対応、限られた敷地面積での建設、安全性への対応といったFLNG特有の課題への技術的な対応が不可欠であり、これらを実現しながら建造費をいかに抑制するかが課題となっています。
とりわけ、Hull内のLNG貯蔵タンクは、極低温(-162℃)に耐える高価な低温用材料を使用することに加えて、低温用材料の繋ぎ目を特殊な技術で溶接する必要があるため、建造できる造船所および作業者が限定され、高コスト化かつ長納期化に繋がっています。
一方、LNG輸送船は、1970年代に最初の一隻が建造されて以降、LNGの利用拡大とともに増加し、現在600隻超が存在していますが、その一部は近年建造された低燃費で積載容量が多い船に代替され、停泊地に係留されたままになっています。
日揮グローバルと川崎汽船は、この旧世代のLNG輸送船に着目し、国土交通省の支援※1を得て、既存のLNG輸送船の球形(モス型)LNG貯蔵タンクを移設・再利用し船体に組み込む新形式のFLNG Hullの概念設計を確立しました。そしてこの新形式のFLNG Hullの概念設計は、最も権威のある船級協会の一つであるアメリカ船級協会(ABS:American Bureau of Shipping)から、設計基本承認※2(AIP:Approval in Principle)を取得し、実装に向けて大きく前進しました。
既存のLNG輸送船の球形(モス型)LNG貯蔵タンクを移設・再利用することで、(1)高価な低温用材料製貯蔵タンクの新造を不要とし、Hullの建造費を低減、(2)それに伴い、FLNG Hullを建造できる造船所の選択肢が増加し、工期短縮や価格低減が実現することが期待されます。
日揮グループは現在まで2隻のFLNGの設計・調達・建設(EPC)を手掛けているほか、コミッショニング(試運転)支援などでも関与しており、FLNGに関して世界トップクラスの実績を持っています。また、共同開発者の川崎汽船は、LNG輸送船事業に長年に亘って従事し、LNG輸送船の建造・運航に関する豊富な経験を有しています。加えて、川崎汽船はFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)の運用に参画するなどオフショア事業にも取り組んでいます。
LNGは化石燃料の中でも比較的低炭素でクリーンな燃料と位置付けられ、今後も新興国の需要増を背景に堅調に推移することが見込まれます。日揮グループはこれまでの経験・実績に加えて、本開発成果を活かし、価格競争力を持ち、かつ信頼性の高いFLNGを顧客に提供すべく、受注活動を積極的に展開していく所存です。
※1:海洋資源開発関連技術高度化研究開発事業の対象事業
※2:設計基本承認とは、新規技術や既存規則が詳細に規定されていない分野において、認証機関が基本設計を審査し、安全性や技術要件の基準を満たすと承認されたことを示すものです。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像