ウクライナ 孤立する戦闘地域の市民を守れ
2月12日ミンスクで東ウクライナでの紛争停戦が合意されたが、紛争の両当事者は15日の停戦発効を待たずに、市民の保護に即刻動くべきだ。ウクライナ政府軍と分離独立派の武装勢力は市民を殺害する無差別攻撃をやめ、デバリツェボのような戦闘地域から市民が安全に避難できるようにしなくてはならない。
停戦は14日の真夜中まで発効しないため、戦闘が続き民間人が犠牲になる危険性は極めて高い。とりわけ、停戦前に支配権を得ようと両陣営がやっきになっているデバリツェボのような戦闘地帯に取り残された民間人は、危機的状況にある。
デバリツェボで続く戦闘の激しさや、停戦が始まる前に優勢に立とうとする同様の動きを見ると、一般市民の身の安全が危惧される。
政府軍が掌握するデバリツェボは親ロシア派からの激しい攻撃を受けている。ここには、数多くの民間人が取り残されている。アムネスティが先週この地を訪れた時、状況は悲惨なものだった。多くの市民が避難したとはいえ、いまだに数千人が残っている。子どもや老人や障がい者もいる。
アムネステイの調査団がここ2週間デバリツェボで見たのは、絶え間なく降り注ぐ砲弾に怯えながら、満員の地下壕で身を寄せ合う市民の姿だった。電気も水も食料なく、デバリツェボの人びとはほぼ100%人道支援に頼って暮らしている。
無差別攻撃で市民を殺害した紛争の両陣営は、国際人道法に違反している。最近の対立激化で、暴力の激しさは増し、市民の犠牲が広がっている。ここ数週間で大勢の市民が殺害された。本来なら絶対に爆撃してはならない、人が多く住む地域に、両陣営が無差別攻撃の武器を使っているためだ。
2月10日火曜日、政府軍の拠点のあるクラマトルスクで、ロケット弾攻撃により16人の民間人が死亡した。水曜には分離独立派の支配下にあるドネツクで、少なくとも5人の民間人がロケット弾で殺された。
アムネスティは戦闘中に市民を保護するよう、両陣営にあらためて要請する。
▽アムネスティ日本
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