ドライアイのセルフチェックに有用な最大開瞼時間を検証
〜12秒間まばたきを我慢できない場合はドライアイの可能性〜
順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科の村上晶 教授、猪俣武範 助教らの研究グループは、最大開瞼時間(まばたきをできるだけ我慢できる時間)のドライアイスクリーニング検査としての有用性と、新ドライアイ診断基準*1(2016年)における最大開瞼時間のカットオフ値の設定のための検証をしました。その結果、最大開瞼時間は、ドライアイ診断の必須項目である涙液層破壊時間*2と正の相関を認め、ドライアイ患者では有意に低下していることを明らかにしました。さらに、最大開瞼時間12.4秒以下は、感度82.5%でドライアイの可能性を示しました。本結果は、最大開瞼時間がドライアイ診断における簡易なスクリーニング検査として有用であるだけでなく、セルフチェックの指標となることを示しました。本研究は、Scientific Reports誌(2018年9月7日付)に発表されました。
【本研究成果のポイント】
【背景】
ドライアイは日本に2,000万人、世界に10億人以上いると推測される最も多い眼疾患です。ドライアイの原因として、加齢、ストレス、デジタル機器の使用時間の増加などがあり、ドライアイは現代病として今後も増加すると考えられています。ドライアイに罹患すると、眼精疲労、眼痛、表在性角膜上皮障害、頭痛、自覚視力の低下など生活の質であるQuality of Life (QOL)や集中力の低下から業務の生産性を下げ、経済的損失を起こすことが明らかになっています。しかしながら、ドライアイの症状の多様性から、未だにドライアイ確定の診断に至っておらず、QOLや生産性の低下に苦しんでいる人が多くいるのが現状です。
【内容】
ドライアイは日本に2,000万人、世界に10億人以上いると推測される最も多い眼疾患です。ドライアイの原因として、加齢、ストレス、デジタル機器の使用時間の増加などがあり、ドライアイは現代病として今後も増加すると考えられています。ドライアイに罹患すると、眼精疲労、眼痛、表在性角膜上皮障害、頭痛、自覚視力の低下など生活の質であるQuality of Life (QOL)や集中力の低下から業務の生産性を下げ、経済的損失を起こすことが明らかになっています。しかしながら、ドライアイの症状の多様性から、未だにドライアイ確定の診断に至っておらず、QOLや生産性の低下に苦しんでいる人が多くいるのが現状です。
【今後の展開】
ドライアイの加療では、涙液層の安定性を低下させている眼表面の不足成分を看破して、点眼によって成分を補充する必要があります。本研究結果から、最大開瞼時間はドライアイの診断項目である涙液層破壊時間と正の相関があり、ドライアイの簡易スクリーンングとして有効であることから、眼の乾きや疲れなどの様々な症状で苦しむ人は最大開瞼時間を用いてセルフチェックできるようになります。
これにより、今までドライアイと診断されず、ドライアイの様々な症状によりQOLや仕事の効率が低下していた多くの人々に対して、セルフチェックの結果をもとに、ドライアイの啓蒙と眼科への受診喚起をすることで、ドライアイの重症化を未然に防ぐことができます。
今後は、本研究結果をもとにして、当グループが2016年11月にリリースしたiPhone用アプリ「ドライアイリズム」のまばたき測定機能の向上を検討しています。これにより、「ドライアイリズム」に搭載されているドライアイ疾患特異的質問紙票と組み合わせることで、より感度の高いドライアイのスクリーニングを行うことができるようになります。
図1 :ドライアイと非ドライアイにおける最大開瞼時間
図2:最大開瞼時間のカットオフ値
感度:疾患罹患者中の検査陽性者の割合
特異度:疾患非罹患者中の検査陰性者の割合
ROC曲線下面積 (AUC): ROC 曲線の横軸と縦軸に囲まれた部分の面積
【用語解説】
*1 新ドライアイ診断基準 (2016):
2016年に改訂された新基準では診断項目として、自覚症状(眼不快感または視機能異常)の有無と涙液層破壊時間5秒以下が採用された。
*2 涙液層破壊時間:
涙液層破壊時間とは、目を開いてから目の表面の涙の膜が破壊されるまでの時間。
【論文】
本研究は、Scientific Reports誌(2018年9月7日)に発表されました。
論文タイトル: Maximum blink interval is associated with tear film breakup time: A new simple, screening test for dry eye disease.
日本語訳: 最大開瞼時間は涙液層破壊時間と関連する: ドライアイの簡易スクリーニング検査としての有用性
著者: Takenori Inomata 1),2), Masao Iwagami 3), Yoshimune Hiratsuka 1), Keiichi Fujimoto 1), Yuichi Okumura 1), Tina Shiang 4), & Akira Murakami 1)
(日本語著者表記: 猪俣 武範、岩上 将夫、平塚 義宗、藤本 啓一、奥村 雄一、 Tina Shiang、村上 晶)
著者所属: 1) 順天堂大学医学部眼科学教室、2)順天堂大学医学部戦略的手術室改善マネジメント講座、
3) London School of Hygiene and Tropical Medicine, Department of Non-Communicable Disease Epidemiology, London, UK. 4) University of Massachusetts Medical School, Department of Radiology, Worcester, MA, USA.
掲載誌: Scientific Reports
DOI: 10.1038/s41598-018-31814-7
【ドライアイに関する参考情報】
「世界初! スマホアプリでドライアイ指数をチェック~順天堂大学眼科×iPhoneでドライアイのビッグデータ解析~」(順天堂大学ホームページ 2016年11月2日)
https://www.juntendo.ac.jp/news/20161102-01.html
「ドライアイアプリ「ドライアイリズム」の米国版をリリース」(順天堂大学ホームページ 2017年11月22日)
https://www.juntendo.ac.jp/news/20171122-01.html
「新ドライアイ診断基準により「ドライアイ確定」患者が3割増加 ~確定診断によりドライアイ治療の適応拡大へ~」
https://www.juntendo.ac.jp/news/20180406-04.html
- ドライアイの診断に必要な涙液層破壊時間と最大開瞼時間は正の相関があった。
- まばたきを12秒間我慢できない場合はドライアイの可能性がある。
- まばたきを我慢できる時間を測ることによりドライアイのセルフチェックができる。
【背景】
ドライアイは日本に2,000万人、世界に10億人以上いると推測される最も多い眼疾患です。ドライアイの原因として、加齢、ストレス、デジタル機器の使用時間の増加などがあり、ドライアイは現代病として今後も増加すると考えられています。ドライアイに罹患すると、眼精疲労、眼痛、表在性角膜上皮障害、頭痛、自覚視力の低下など生活の質であるQuality of Life (QOL)や集中力の低下から業務の生産性を下げ、経済的損失を起こすことが明らかになっています。しかしながら、ドライアイの症状の多様性から、未だにドライアイ確定の診断に至っておらず、QOLや生産性の低下に苦しんでいる人が多くいるのが現状です。
【内容】
ドライアイは日本に2,000万人、世界に10億人以上いると推測される最も多い眼疾患です。ドライアイの原因として、加齢、ストレス、デジタル機器の使用時間の増加などがあり、ドライアイは現代病として今後も増加すると考えられています。ドライアイに罹患すると、眼精疲労、眼痛、表在性角膜上皮障害、頭痛、自覚視力の低下など生活の質であるQuality of Life (QOL)や集中力の低下から業務の生産性を下げ、経済的損失を起こすことが明らかになっています。しかしながら、ドライアイの症状の多様性から、未だにドライアイ確定の診断に至っておらず、QOLや生産性の低下に苦しんでいる人が多くいるのが現状です。
【今後の展開】
ドライアイの加療では、涙液層の安定性を低下させている眼表面の不足成分を看破して、点眼によって成分を補充する必要があります。本研究結果から、最大開瞼時間はドライアイの診断項目である涙液層破壊時間と正の相関があり、ドライアイの簡易スクリーンングとして有効であることから、眼の乾きや疲れなどの様々な症状で苦しむ人は最大開瞼時間を用いてセルフチェックできるようになります。
これにより、今までドライアイと診断されず、ドライアイの様々な症状によりQOLや仕事の効率が低下していた多くの人々に対して、セルフチェックの結果をもとに、ドライアイの啓蒙と眼科への受診喚起をすることで、ドライアイの重症化を未然に防ぐことができます。
今後は、本研究結果をもとにして、当グループが2016年11月にリリースしたiPhone用アプリ「ドライアイリズム」のまばたき測定機能の向上を検討しています。これにより、「ドライアイリズム」に搭載されているドライアイ疾患特異的質問紙票と組み合わせることで、より感度の高いドライアイのスクリーニングを行うことができるようになります。
図1 :ドライアイと非ドライアイにおける最大開瞼時間
最大開瞼時間はドライアイにおいて有意に減少を認めた。 (p<0.001)
図2:最大開瞼時間のカットオフ値
受信者動作特性曲線(ROC)解析により、最大開瞼時間のドライアイの有無に対する最適なカットオフ値は12.4秒(感度82.5%、特異度51.0, AUC 0.667)と設定された。
感度:疾患罹患者中の検査陽性者の割合
特異度:疾患非罹患者中の検査陰性者の割合
ROC曲線下面積 (AUC): ROC 曲線の横軸と縦軸に囲まれた部分の面積
【用語解説】
*1 新ドライアイ診断基準 (2016):
2016年に改訂された新基準では診断項目として、自覚症状(眼不快感または視機能異常)の有無と涙液層破壊時間5秒以下が採用された。
*2 涙液層破壊時間:
涙液層破壊時間とは、目を開いてから目の表面の涙の膜が破壊されるまでの時間。
【論文】
本研究は、Scientific Reports誌(2018年9月7日)に発表されました。
論文タイトル: Maximum blink interval is associated with tear film breakup time: A new simple, screening test for dry eye disease.
日本語訳: 最大開瞼時間は涙液層破壊時間と関連する: ドライアイの簡易スクリーニング検査としての有用性
著者: Takenori Inomata 1),2), Masao Iwagami 3), Yoshimune Hiratsuka 1), Keiichi Fujimoto 1), Yuichi Okumura 1), Tina Shiang 4), & Akira Murakami 1)
(日本語著者表記: 猪俣 武範、岩上 将夫、平塚 義宗、藤本 啓一、奥村 雄一、 Tina Shiang、村上 晶)
著者所属: 1) 順天堂大学医学部眼科学教室、2)順天堂大学医学部戦略的手術室改善マネジメント講座、
3) London School of Hygiene and Tropical Medicine, Department of Non-Communicable Disease Epidemiology, London, UK. 4) University of Massachusetts Medical School, Department of Radiology, Worcester, MA, USA.
掲載誌: Scientific Reports
DOI: 10.1038/s41598-018-31814-7
【ドライアイに関する参考情報】
「世界初! スマホアプリでドライアイ指数をチェック~順天堂大学眼科×iPhoneでドライアイのビッグデータ解析~」(順天堂大学ホームページ 2016年11月2日)
https://www.juntendo.ac.jp/news/20161102-01.html
「ドライアイアプリ「ドライアイリズム」の米国版をリリース」(順天堂大学ホームページ 2017年11月22日)
https://www.juntendo.ac.jp/news/20171122-01.html
「新ドライアイ診断基準により「ドライアイ確定」患者が3割増加 ~確定診断によりドライアイ治療の適応拡大へ~」
https://www.juntendo.ac.jp/news/20180406-04.html
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