【2025年上期 業界ビジネストレンド調査レポート】DXトレンドは業務効率化から人材定着、働き方改善へシフト。医療・福祉、製造業で従業員ウェルビーイングへの投資が急増

医療・福祉で「ストレスチェック」需要が前年比306%、製造業で「社食サービス」需要が前年比316%。各業界で加速する「働きがい改革」DX

株式会社ミツモア

概要

オンラインでの見積もり比較・受発注サービス「ミツモア」を運営する株式会社ミツモア(本社:東京都中央区、代表取締役:石川彩子)は、2025年1月~6月(上期)に寄せられたビジネスサービス全般の依頼データを基に、企業の最新動向を発表しました。 

深刻な人手不足を背景に、企業の投資が従来の業務効率化から、人材定着を目指す方向へシフトしている傾向が見えてきました。特に「福利厚生サービス」が大幅に伸長し、医療・福祉業では「ストレスチェックシステム」の需要が急増するなど、従業員のウェルビーイングを重視する「人中心」のDXが業界トレンドとして顕著になっています。

一方で、会計ソフトといった基盤業務のDXツールは高い需要を維持しつつも、成長率は落ち着き、DXが新たなフェーズに入ったことを示唆しています。

【2025年上期】ビジネスサービス依頼数ランキングTOP10

「ミツモア」の2025年上半期サービス依頼数ランキングは、日本企業が直面する課題と投資の動向を鮮明に映し出しています。「会計ソフト」や「勤怠管理システム」といった基盤業務のDXツールは依然として上位を占め、その重要性は揺るぎません。

 しかし、これらの成長率が落ち着きを見せる一方、深刻な人手不足を背景とした「人」への投資が新たなトレンドとして急浮上しています。特に「福利厚生サービス」の依頼が急伸しており、企業が人材定着を重要課題と捉えていることがうかがえます。 

また、「法人携帯」や「法人向けIP電話」への高い需要は、企業のDX推進を支える重要な基盤として、ハイブリッドワークの普及への対応だけでなく、情報セキュリティの強化やAI連携などによる生産性向上への投資とも言えます。 

これらの動向から、企業の関心が単なる業務効率化から、人材確保や働き方の多様化、セキュリティへの対応などといった、より戦略的な領域へとシフトしていることが明らかになりました。

【2025年上期】業界別サービス投資戦略ポジションマップ

4つの象限から読み解く各業界の戦略

【未来成長への先行投資】(右上)

 代表的業界:IT・インターネット

SFA/CRMで短期的な顧客獲得を推進しつつ、採用管理システムやセキュリティ関連サービスで組織基盤を固めるなど、攻めと未来への投資を両立。技術革新の早い市場を勝ち抜くための、先進的な戦略がうかがえます。

【持続可能な組織づくり】(左上) 

代表的業界:医療・福祉、公務員、製造

人材不足や規制対応が課題の業界は、目先の売上より持続可能性を重視する傾向が見られます。人事評価システムや健康管理システムで人材定着を図り、電子契約システムやセキュリティ関連ソフトでコンプライアンスを固めるなど、長期的な視点で堅実な組織づくりを目指す姿勢が表れています。

【短期的な売上最大化】(右下)

代表的業界:飲食、美容・サロン、小売・卸売、旅行・レジャー

顧客接点がビジネスの核となるBtoCサービス業は、この領域に集中。キャッシュレス決済やモバイルオーダー、各種予約システムといった、顧客体験と売上に直結するサービスへの関心が見受けられます。日々の集客と店舗運営の効率化を最優先し、短期的な売上を最大化する戦略が鮮明です。

【足元の業務効率化の徹底】(左下)

 代表的業界:運輸・物流、建設、農林水産、不動産

現場オペレーションの効率化が最優先課題の業界です。運輸業の車両管理システムや建設業の工事管理システム、不動産業の賃貸管理ソフトのように、各業界特有のバックオフィス業務をデジタル化することに投資が集中。まずは足元の生産性向上を徹底する戦略が明確です。

※1:カテゴリー解説

・バックオフィス改革(守りの投資):経理、総務などの管理業務の効率化・コスト削減に関わるサービス群

・フロントオフィス改革(攻めの投資):営業、マーケティングなど、直接的な売上拡大に関わるサービス群

・日々の業務効率化(現在志向投資):人事、労務、法務、セキュリティなど、企業の土台を固めるサービス群

・成長基盤の構築(未来志向投資):経営層の意思決定や全社戦略に関わるサービス群

※2:算出式解説

・横軸:(フロントオフィス改革群 +成長基盤の構築群) の合計件数 ÷ 総計件数

・縦軸:(バックオフィス改革群 +成長基盤の構築群) の合計件数 ÷ 総計件数・補足:各業界の戦略的スタンスをより正確に表現するため、「フロントオフィス改革」と「未来志向」の両方の性質を併せ持つ「成長基盤の構築群」を両軸の算出式に含んでいます

【2025年上期】業界別トレンドサマリー

業界

ポイント

小売・卸売業

チャネルの相互連携の深化とサプライチェーン全体の効率化を目指し、販売・在庫・受発注を統合管理する動きが加速。

サービス業

バックオフィス業務の標準化と効率化が最優先課題となり、会計・労務管理への投資が安定的に継続。

建設業

「2024年問題」で浮き彫りになった課題への対応が継続しており、生産性向上と労務管理の近代化に向けたDX投資が続いている。

製造業

従業員エンゲージメント向上と生産現場の自動化という2つの軸で、人材定着と効率化を同時に追求。

医療・福祉業

深刻な人材不足を背景に、従業員の心身の健康と働きがいを支える「人中心」のDX投資が活発化。

飲食業

人手不足の危機的状況を乗り越えるため、接客・注文業務の徹底的な自動化が最重要戦略に。

IT・インターネット

ハイブリッドワークの定着とコミュニケーション円滑化のため、次世代の通信インフラ整備が進む。

不動産業

業界特化型ソフトへの需要が際立ち、賃貸管理業務のDXによる効率化が中核的なテーマに。

運輸・物流業

法規制遵守と「2024年問題」対応という二重の圧力の下、安全管理と運行効率化への投資が不可欠に。

美容・サロン業

顧客接点のデジタル化が加速し、予約から決済、マーケティングまでを一気通貫で管理する動きが本格化。

コンサル・士業

専門業務の生産性向上と顧客対応の質を高めるため、基幹業務のデジタル化とコミュニケーションツールの導入が進む。

教育・学習支援

バックオフィス業務の効率化を基盤としつつ、生徒獲得とエンゲージメント向上のためのデジタルマーケティング投資が活発化。

人材紹介・人材派遣業

業界特有の複雑な業務プロセスを管理するため、派遣管理システムの導入がDXの中核をなす。

広告・メディア

プロジェクトベースで動く業務の特性上、経理・請求業務の効率化が生産性向上の鍵に。

農林水産業

基盤業務のデジタル化と経営管理の近代化が急務となり、バックオフィス効率化への投資が最優先される。

金融業

厳格なコンプライアンスと従業員の生産性向上の両立を目指し、経費管理とコミュニケーションツールの刷新が進む。

旅行・レジャー業

顧客体験の向上と施設運営の効率化を目指し、決済インフラと業界特化型管理システムへの投資が回復。

公務員

業務プロセスの標準化とペーパーレス化を推進するため、ワークフローシステムの導入がDXの第一歩に。

各業界の詳細データは以下のHPよりご覧いただけます。

URL:https://meetsmore.com/product-services/welfare-service/media/264266

注目5業界の深掘り分析

2025年上期において顕著な傾向が表れた5業種(製造/IT・インターネット/医療・福祉/美容・サロン/建設)をピックアップして解説します。

製造業

<POINT>

  • 社食サービス(前年比316.0%)や福利厚生サービス(同195.3%)、ストレスチェックシステム(321.3%増)など働き方をサポートするサービスが伸びている

  • RPAツール(同108.5%)や受発注管理システム(同124.1%)など、生産現場の効率化への投資も進んでいる

  • 生産管理システムは全業種からの依頼の89.4%を製造業が占めている

製造業では、「人」と「現場」の両面からのアプローチが際立っています。社食サービス(前年比316.0%)や福利厚生サービス(同195.3%)、ストレスチェックシステム(同321.3%)といった、従業員の働きがいや心身の健康をサポートするサービスが軒並み高い伸びを示しています。これは、人材の確保と定着が経営の最重要課題の一つであるとの認識が浸透していることを示唆しています。

一方で、生産現場の効率化への投資も着実に進んでいます。RPAツール(同108.5%)や受発注管理システム(124.1%)は、定型業務の自動化やサプライチェーンの最適化に貢献します。特に注目すべきは生産管理システムで、全業種からの依頼の89.4%を製造業が占めており、業界特有の複雑な工程管理をデジタル化したいという強いニーズがうかがえます。

この「従業員エンゲージメント向上」と「生産プロセス効率化」という2つのトレンドは、人手不足に対応しながら国際競争力を維持しようとする製造業の戦略的な動きを反映していると言えるでしょう。

IT・インターネット

※新規開設サービスにおける「前年比」は「-」と記載しています(以下同)

<POINT>

  • 法人向けIP電話の導入検討数が前年比276.9%、クラウドPBXが155.4%と、ハイブリッドワーク環境の運用への投資が活発化

  • Web会議ブースへの需要が前年比183.7%

  • 電子契約システムやワークフローシステムの需要が減少しており、これらのツールの導入が一巡したことを示唆

IT・インターネット業界では、コロナ禍を経て定着したハイブリッドワーク環境を、より円滑かつ高度化させるための投資が活発化していると考えられます。法人向けIP電話の導入検討数が前年比276.9%、クラウドPBXが155.4%と伸長している背景には、単にオフィスとリモートの双方でシームレスな電話応対を実現したいというニーズだけでなく、より戦略的な動きがうかがえます。

1つは、情報セキュリティへの意識向上です。ハイブリッドワークは情報セキュリティリスクを拡大させるため、場所を問わず安全な通信環境を構築する動きが考えられます。加えて、AI連携によるデータ活用の高度化も挙げられます。通話内容のテキスト化やCRMへの自動保存といった活用により、電話応対が貴重なデータソースへと変わりつつあると推察されます。

また、集中できる個室空間を提供するWeb会議ブースへの需要が前年比183.7%と増加している点も、新しい働き方やオフィス回帰による会議室の確保などへの適応が進んでいることを示唆しています。一方で、電子契約システムやワークフローシステムなどの需要が減少していることから、IT・インターネット業界ではDXの初期導入が一巡し、既存システムの高度化という新たなフェーズに移行している可能性があると言えそうです。

医療・福祉

<POINT>

  • 全サービスの中で勤怠管理システムが最も高い割合を占め、正確な労務管理が恒常的な最優先課題であることを示している

  • ストレスチェックシステムは前年比306.3%、福利厚生サービスは214.3%と従業員のウェルビーイングに関連するサービスの急成長している

医療・福祉業界は、プレッシャーと深刻な人手不足に直面しており、DX投資は従業員を支えることに強く焦点が当てられている傾向です。全業種の中で医療・福祉の勤怠管理システム依頼率が11.1%と最も高い割合を占め、前年水準をキープ(同100.0%)したことは、複雑なシフト勤務における正確な労務管理が恒常的な最優先課題であることを示しています。

医療・福祉業界の特性を最もよく表しているのが、従業員のウェルビーイングに関連するサービスの急成長です。ストレスチェックシステムは前年比306.3%、福利厚生サービスは214.3%と、他業界と比較しても際立って高い伸び率を記録しています。これは、職員のメンタルヘルスケアや労働環境の改善が離職を防ぎ、ひいては提供するケアの質を維持するための死活問題であるという経営層の強い危機感の表れとも見て取れます。

また、人事評価システム(同105.6%)への関心は、公正な評価制度を通じてキャリアパスを明確にし、職員のモチベーションと定着率を高めようとする戦略的な取り組みを示唆しています。

美容・サロン

<POINT>

  • 顧客との最初の接点である予約プロセスのDXが活発

  • 来店後の顧客との関係を深めるためのLINEマーケティングツールへの高い関心が目立つ

  • POSレジ・POSシステムとキャッシュレス決済端末が需要の上位を占めており、会計業務の効率化とデータに基づいた経営分析への関心も高い

美容・サロン業界では、顧客体験の向上と店舗運営の効率化を両立させるためのデジタル化が進んでいます。特に顧客との最初の接点である予約プロセスのDXが活発です。美容・サロン向け予約システムへの需要は高く、電話応対の負担軽減や24時間受付による機会損失の防止といったメリットが広く認識されつつあります。

さらに、予約だけでなく、来店後の顧客との関係を深めるための投資も目立ちます。LINEマーケティングツールへの高い関心は、多くの顧客が日常的に利用するLINE公式アカウントを活用してリピート促進のクーポンを配信したり、次回来店のきっかけとなるコミュニケーションを図ったりする動きが本格化している証拠です。

また、POSレジ・POSシステムとキャッシュレス決済端末が依然として需要の上位を占めていることから、会計業務の効率化とデータに基づいた経営分析への関心も高いことがうかがえます。特に会計ソフトは、前年比率の全業種平均(94.5%)を大きく上回る179.3%という高い伸びを示しており、顧客接点のデジタル化と並行して、経営基盤の強化も急務となっていることがわかります。これらのツールを連携させることで、予約から決済、顧客管理、再来店促進までを一気通貫で管理する「デジタル経営」への移行が進んでいると言えそうです。

建設業

<POINT>

  • 「2024年問題」で浮き彫りとなった課題への対応と依頼検討が増えている

  • 工事管理システムの導入検討数が前年から急増

  • 請求書管理システムがトップの検討数と高い伸び(前年比202.6%)を示している

建設業界では、2024年4月の時間外労働上限規制の適用(通称「2024年問題」)によって浮き彫りになった、生産性向上という構造的課題への対応が、現在も継続的な経営テーマとなっています。この規制は、長時間労働が常態化していた業界の構造を根本から変えるものであり、データは業界全体が生産性向上と労務管理の徹底に向けたDX投資を急いでいる様子がうかがえます。

その最も顕著な例が、工事管理システムです。このサービスへの依頼の90.8%が建設業からであり、まさに業界特化型(バーティカルSaaS)のキラーアプリケーションと言えます。また、インボイス制度への対応と工事原価の正確な把握という二つの目的から、請求書管理システムがトップの検討数と高い伸び(前年比202.6%)を示していることも特徴的です。勤怠管理システムや経費精算システム(同126.9%)への高い需要も、労働時間の厳格な管理と経費の透明化が眼前の課題を乗り切る上で不可欠であるとの認識が広がっていることを物語っています。

まとめ

今回の調査で注目すべきは、企業のDX投資の目的が、単なる業務効率化やコスト削減から、事業継続の生命線である「人材」の確保・定着へと明確にシフトしている点です。 深刻な人手不足が長期化するなか、企業は従業員のエンゲージメント向上や多様な働き方への対応を最重要の経営課題と捉え始めています。こうした社会的背景を受け、今後も福利厚生サービスやコミュニケーションツールといった「人」に焦点を当てたサービスの需要は、さらに高まっていくと考えられます。

 DXはもはやIT部門だけの課題ではなく、人事や経営企画を巻き込んだ全社的な戦略へと進化しています。テクノロジーを活用して働きやすい環境を構築することが、企業の競争力向上や持続的成長に直結するという認識が広まっています。今回の調査結果が、各事業者が今後のDX戦略を検討する際の参考データとして、広く活用されることを期待しています。

調査概要

調査対象期間:2025年1月1日~2025年6月30日

調査対象:「ミツモア」ビジネス向けサービスにおける業種判別可能な全依頼

調査件数:72,087件

関連する主なビジネスサービス

会計ソフト:https://meetsmore.com/product-services/accounting-software

POSレジ・POSシステム:https://meetsmore.com/product-services/pos-register

勤怠管理システム:https://meetsmore.com/product-services/attendence-management

福利厚生サービス:https://meetsmore.com/product-services/welfare-service

ストレスチェックシステム:https://meetsmore.com/product-services/stresscheck

記事等でのご利用にあたって

本リリースの内容を転載・引用される際は、以下のご対応をお願いいたします。

・引用元が「株式会社ミツモア」である旨の記載

・ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。

URL:https://meetsmore.com/product-services/welfare-service/media/264266

オンライン比較サービス「ミツモア」について

「ミツモア」は、自社に最適なビジネス製品・サービスを簡単に比較・選定できる、日本最大級のオンライン比較サービスです。

業種や求める機能を画面上で選択するだけで、最短1分で最大5つの最適な製品・サービスを自動で絞り込み、比較表で機能や料金を一覧化できます。ビジネス向けには会計ソフト、業務管理ツール、IT導入支援、マーケティング支援など、300を超えるサービスにおいて、3,500以上の製品、2,700以上の事業者を比較検討することが可能です。

製品理解から比較、そして依頼・導入までをスムーズに進めることができ、ビジネスのDX推進やコスト最適化をサポートします。

「ミツモア」サービスサイト:https://meetsmore.com/

株式会社ミツモアについて

サービス産業の生産性向上を通じて、ミッションである「日本のGDPを増やし 明日がもっといい日になる と思える社会に」の達成を目指すスタートアップ企業です。2017年2月創業以来、オンラインで見積もり比較から受発注までワンストップで完結するサービス「ミツモア」や、現場業界特化のオールインワンSaasサービス「プロワン」を開発・提供をしています。経済産業省主催の「日本スタートアップ大賞2023」にて経済産業大臣賞(ダイバーシティ賞)を受賞。また週刊東洋経済が主催する「すごいベンチャー100」2023年版にも選出されました。

ミツモア会社概要:https://meetsmore.com/company

「プロワン」サービスサイト:https://pro-one-cloud.com/

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会社概要

株式会社ミツモア

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URL
https://meetsmore.com/company
業種
情報通信
本社所在地
東京都中央区銀座7丁目16-12 G-7ビルディング8階
電話番号
-
代表者名
石川彩子
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2017年02月