9月9日「教育を攻撃から守る国際デー」―紛争と地震によって教育の未来が脅かされるシリアの子どもたちへ、NPO法人Piece of Syriaが支援の輪を呼びかけ

教育は子どもたちの命と希望を育む力。学校を失ったシリアの子どもたちへ、安全な学びを届けるために、「教育を攻撃から守る国際デー」に行動をお願いします。

NPO法人Piece of Syria(代表:中野貴行)は、シリア国内外で小学校・幼稚園・補習校・サマーコースを運営し、これまでに延べ5万人以上の子どもたちに教育の機会を届けてきました。9月9日(火)の「教育を攻撃から守る国際デー」にあたり、教育の持つ力と、それによって子どもたちの未来を守る重要性を訴えるとともに、幅広い支援の呼びかけを行います。

背景:世界で続く教育への攻撃

世界では、紛争地域に限らず、教育現場が攻撃や軍事利用の対象となり続けています。2022〜2023年の間、教育への攻撃が世界で約6,000件報告され、約1万人の子どもや教育関係者が被害を受けています(一日に換算すると8件以上)(Education Under Attack 2024)。さらに、世界で2億1千万人が学校に通えず、6億5千万人が中学や高校を卒業できない現実があります(Global Education Monitoring Report 2024)。

シリアの現状:戦争・地震の影響、教育を取り巻く課題

シリアでは、長期にわたる戦争に加え、2023年の地震や政権崩壊により、教育環境が深刻な打撃を受けています。国内の学校インフラは莫大な被害を受けており、国の報告によれば約8,000校が破壊・損傷し、そのうち7,400校は現在も利用できません。完全に修復されたのはわずか102校、修復作業中は345校にとどまっています。さらに、どの学校にどの程度の修繕や再建が必要かを確認するための調査が、2,540校で今もなお続けられています(North Press Agency, 2025)。

銃撃の被害を受けた学校の様子を目の当たりにする代表(シリア・デリゾールにて2025年5月撮影)

しかし、校舎を建て直すだけでは教育の回復にはつながりません。子どもたちが安心して学べるためには、安全なトイレや清潔な水へのアクセス、基礎的な医療・保健サービス、校内外の安全確保が欠かせません。特に、戦争で障害やトラウマを負った子どもたちが差別なく教育を受けられるよう、インクルーシブ教育の指針や教職員研修、政策の整備と予算措置も急務です(ReliefWeb, 2024)

こうした課題は子どもたちの学びに直接影響しています。2023年の地震以前から、国内では約245万人の子どもたち(学齢期の子どもの3人に1人にあたる)が教育の機会を奪われ、そのうちの半数は一度も学校で教育を受けた経験がないと報告されていました。さらに、学校に通えている子どもたちの中でも約160万人が中途退学のリスクに直面しており、地震後にはこれらの数字がさらに増加していると考えられています(ReliefWeb, 2024)

さらに、教育現場では資金不足が深刻で、必要な教材や学用品が十分に行き渡らず、学校の修繕や運営も滞っています。子どもたちは健康状態や負傷、障がいなど多くの困難を抱え、教育を受けられる環境が制限されています。また、教師や教育関係者も低賃金や解雇、資格停止、ハラスメントや威嚇、過剰な武力行使などの課題に直面しており、教育現場全体の持続性が脅かされています(ReliefWeb, 2024)

こうした困難に対して、国際社会も教育支援を続けています。2024年にはUNICEFが87万8,441人の子どもたち(うち45万2,560人の女子、1万5,121人の障がいのある子どもを含む)に対し、質の高い初等教育および非公式教育の機会を提供しました。また、教育スタッフ7,347人への研修、52万人以上への学用品や教材(81万冊以上の教科書を含む)配布、さらに学校に通えない地域における仮設学習スペースの設置などが行われました(UNICEF, 2024)

さらに、国内では長引く紛争と災害の影響により、2024年12月の政権崩壊直前の統計で、国内避難民は720万人に上ると報告されています。その後、21万人以上の難民がシリアに帰還し、主にアレッポ、ラッカ、ダラー県に戻っています(UNICEF, 2024)

Piece of Syriaが運営支援する補習校で授業を受けるシリア人生徒(トルコ・ガズィアンテップにて2025年5月撮影)

このように教育へのアクセスが著しく制限される中で、Piece of Syriaは幼稚園、小学校、補習校、サマーコースなどを運営し、延べ5万人以上の子どもたちに学びの場を届けてきました。私たちは子どもたちを「かわいそうな存在」ではなく「同じ夢と可能性を持つ仲間」として見つめ、教育を通じて自らを信じ、未来を描く力を育むことを目指しています。

国際デーに寄せて:皆さまへのお願い

9月9日は「教育を攻撃から守る国際デー」。教育の安全を守ることは、子どもたちの未来を守ることでもあります。戦争や自然災害によって教育の機会を奪われた子どもたちに、再び学びの光を取り戻すためには、私たち一人ひとりの関心、そして行動が欠かせません。

NPO法人Piece of Syriaは、この国際デーを機に、シリアの未来を担う子どもたちのための活動へのご支援を呼びかけています。学びたい意志を持った子どもたちの扉が、いつでも開かれていますように。皆さまの温かいご協力を、心よりお願い申し上げます。

▶ご寄付・活動の詳細はこちら:

ホームページ:http://piece-of-syria.org

寄付ページ:https://piece-of-syria.org/whatyoudo/donation.html

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会社概要

URL
http://piece-of-syria.org
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
大阪府大阪市住吉区清水丘 1-15-23
電話番号
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代表者名
中野 貴行
上場
未上場
資本金
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設立
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