生徒が集めた文房具がカンボジア難民キャンプで“教材”となり、PEACEノートとして学校へ。山形県遊佐中の平和活動がカンボジアへ。
山形県遊佐町でフィードバック講演会3Re-Forum(Return, Reflect & Redesign)を実施。
NPO法人なかよし学園プロジェクト(所在地:千葉県、代表理事:中村雄一)は、2026年2月18日(水)に山形県遊佐町立遊佐中学校にて、3Re-Forum(Return, Reflect & Redesign)講演会(人権・平和講演会)およびワークショップを実施しました。
本取り組みは、2025年5月の講演会をきっかけに「今、自分にできること」を考え始めた2年3組が、自主的に文房具回収と募金活動を展開し、2025年12月にカンボジアの難民キャンプでの教育支援(教材を用いた授業)を実現したものです。さらに本講演会では、現地での活用状況を映像・写真で“Return(里帰り)”し、生徒が“Reflect(振り返り)”を行い、次の“Redesign(再設計)”として、遊佐中発の「なかよしノート」「PEACEノート」を新たに制作。国境を越えた学びの循環(CoRe Loop)を、学校全体へ広げました。

■実施概要
名称:3Re-Forum(Return, Reflect & Redesign)講演会/特別授業(ワークショップ)
日時:2026年2月18日(火)
会場:山形県遊佐町立 遊佐中学校
内容:
・3年生向け特別授業(なかよしノート/PEACEノート制作)
・全校生徒向け人権・平和講演会(現地実装の報告=Return、振り返り=Reflect、再設計=Redesign)


■背景:生徒の「届けたい」を、“送って終わり”にしない仕組みへ
遊佐中学校は、2025年5月の講演会で提示された問い「今、自分にできること」から行動が生まれ、2年3組が「世界の子どもたちへの教育支援をしたい」と自主的に動き出しました。
同年10月の講演会では、なかよし学園が紛争地・難民キャンプなど“住所が存在しない場所”でも、支援物資を手荷物で現場に持参し、単なる物資支援で終わらせず「教材として活用し、授業を行う」支援モデルを紹介。これを受け、遊佐中では校内放送・掲示ポスター等を活用し、文房具回収と募金活動を全校規模で展開。生徒たちの募金によって、2025年12月のカンボジア難民キャンプでの教育支援活動が実現しました。



■12月の現地実装:遊佐中の思いが“教材”として届いた
2025年12月の現地活動には、遊佐中学校の今野大輔教諭が、なかよし学園メンバーとして参加。生徒たちが集めた文房具を「自分たちの手で届けたい」という思いを、教育支援の現場で具体化しました。
集められた文房具は「なかよしノート」として再編集され、裏表紙に生徒のメッセージやイラストが描かれた“思わず使いたくなるノート”として、カンボジアの難民の子どもたちへ手渡されました。遊佐中生徒の中にはクメール語を学び、クメール語で想いを表現した生徒もおり、現地の子どもたちからは笑顔がこぼれました。



■当時の情勢と、なかよし学園・遊佐中の活動
2025年、タイ・カンボジア国境地帯では衝突が断続的に報じられ、空爆を含む軍事行動や大規模な避難が発生しました。12月末には停戦合意が伝えられる一方、50万人とも言われる難民が発生し情勢の不安定さが続いていました。こうした局面で、人々は衣食住の不足に加えて、子どもたちの「学ぶ場」「安心して過ごす場」が失われやすく、教育支援は後回しになっていました。


UNICEFも、2025年の国境紛争激化によって多数が避難し、仮設避難の環境で子どもたちが食料・水・医療と同時に“教育へのアクセス”を失っていること、さらに多数の学校閉鎖によって学習機会が奪われていることを指摘しています。つまり当時のカンボジアは、「学びの空白」が急拡大する中で、子どもたちの尊厳や将来を支える“教育の緊急支援”が求められていた現場でした。
なかよし学園がこの現場で実施した支援の要点は、物資を“送る”のではなく、確実に“届け”、さらに教材として“使われるところまで”設計する点にあります。国境地帯や難民キャンプには「住所がない/配送網が機能しない」場所が多く、支援物資は“善意で集めただけ”では届きません。なかよし学園は、輸送・保管・安全確保を含む実務を引き受け、手渡しで届け、現地で授業に実装し、反応(写真・手紙・動画)を学校へ還流することで、トレーサビリティのある支援と学びを両立させています。

この取り組みに遊佐中学校が参加した意義は、国際支援を「寄付=完了」から、「届く仕組みを理解し、自分たちの行動で実現するプロジェクト」へと転換した点にあります。生徒たちは、校内放送や掲示ポスターで募金活動を広げ、“届けるための費用”を自分たちで生み出しました。さらに文房具は「なかよしノート」として再編集され、裏表紙のメッセージやイラスト、クメール語での言葉などを通して、受け取る子どもたちの心に届く“教材”へ昇華しました。これは、支援を「作業」から「関係」へ変える学習であり、相手の生活・恐怖・希望を想像する力(共感)と、自分にも世界を変える一歩が踏み出せるという自己効力感を同時に育てる実践です。

遊佐中は修学旅行先が沖縄であり、戦争を「歴史」ではなく「人間の尊厳が奪われる現実」として学ぶ文脈を持っています。今回、国境地帯の緊迫の中で学ぶ機会を奪われた同世代の子どもたちに、遊佐の教室から“学びの回路”を接続できたことは、平和学習を「知識」から「行動」へ押し上げる経験となりました。CoRe Loopによって、現地の声が“里帰り”し、次の探究と再設計へつながっていくことで、学びは一過性のイベントではなく、学校文化として持続していきます。
■2/18 3Re-Forum:Return(里帰り)→Reflect(振り返り)→Redesign(再設計)を学校全体へ
講演会当日は、中村雄一代表が、遊佐中の文房具が「どこの」「どんな状況にある人々に」「どのように届き」「どう活用されたか」を、実際の映像・写真とともに報告(Return)。生徒たちは“自分たちの行動が現地の学びを支えた”ことを実感し、次のアクションを再設計しました。
●CoRe Loopを象徴する「PEACEノート」
なかよし学園の考案により、左ページに遊佐中の生徒が、右ページにカンボジアの子どもたちがメッセージを書く「PEACEノート」を制作。完成したノートは今後現地で追記され、遊佐中へ「里帰り」する循環(CoRe Loop)を生み出します。現在、図書室に飾られたPEACEノートは、多くの生徒が世界との絆を“見える形”で感じられる学びの資産となっています。

●3年生特別授業:卒業前に“世界とつながる行動”を自分ごと化
同日は3年生向けに特別授業も実施。卒業を控えた3年生たちも「なかよしノート」「PEACEノート」を制作し、相手の顔を想像しながら言葉を選び、思いを込めて教材を完成させました。これらの教材は今後、なかよし学園の活動地で実装され、PEACEノートは遊佐中へ里帰りする予定です。

■生徒の声(遊佐中学校)
今回の取り組みを通じて、生徒たちは「送って終わり」ではない“つながり”を実感しました。生徒達の声を抜粋して紹介します。
「文房具を集めて、町とか国に送るだけだと思っていたけど、カンボジアに届いた様子を見て『俺たちが届けたんだな』と思って、とっても嬉しかった。」
「最初は小さいことだと思ったけど、実際に届いた様子を見て、自分たちは大きいことをしたんだなと気付いた。」
「お金もなくて力もない自分たちが、遠くの困っている人たちを笑顔にしていると、ビデオ越しに見られて嬉しかった。そういう人間性が大事だと思った。」
「大切に使ってほしいし、自分もこれから文房具を大切に使おうと思った。現地の人には困っている時に助ける人がいる、君はひとりぼっちじゃないんだよ、ということを感じてほしい。」
「もらって嬉しい、ありがとうって気持ちで使ってくれたら、嬉しい。僕も普段使っているノートが当たり前ではないと知った。お互い嬉しくなる活動ができた。」
「文房具が使えることを“嬉しい”と感じてほしい。この経験から自分もそう感じるようになった。」


■教員コメント
田中 綾 教諭(2学年担当)
「当初は、文房具を集めて県内のどこかに送ることを考えていました。ところが、なかよし学園と出会い、“世界に届けられる”と知って、取り組みが一気に広がりました。届けるためには費用も必要だと分かり、全校生徒に声をかけ、資金もみんなで集めました。今回、動画で“自分たちが整理した文房具”や“メッセージを書いたノート”が実際に届いている様子を見て、生徒たちは大きな達成感を得られたと思います。『困っているときはお互い様』が、世界中に広がっていったらいいですね。」
和根崎 遼 教諭(3学年担当)
「3年生は、2年3組の取り組みをどこか“他人事”として見ていた部分がありました。でも今回、自分たちもノートにメッセージを書いたことで、『2年3組がやっていたことって、こういうことなんだ』と体感できたと思います。…卒業後にレスポンスが届くのを楽しみに、また学校に遊びに来てくれたら嬉しいです。遊佐は人が温かい町です。『本当に困っている人がいて、そこにつながれる』という実感は、今後の彼らにとって貴重な経験になると思います。」
佐々木 秀 教諭(技術・家庭科)
「子どもたちの思いが形になり、喜んでもらえている様子がフィードバックされたことで、その体験が生徒たちの中に刻まれたと思います。技術家庭科は“正解が一つではない”教科です。これからも多様な視点と他者意識を持って、課題解決を考えてほしい。…修学旅行で沖縄に行くので、戦争を学び、平和は当たり前ではないことも考えてほしいです。」

■校長コメント(石黒 久 校長)
「中村雄一さんが遊佐中に来校した2日間の私の最大のテーマは、『すべての人が幸せな学校の創造』でした。…困っている人たちを笑顔にすることで自分も笑顔になれることを全校生徒は感じたと思います。…目の前の生徒を見ながらも、目の奥には世界中の子どもたちも見据え、対話を通してその子どもたち同士をつないでいく、そんな感覚を覚えました。遊佐中生は、遊佐町に居ながらも世界とのつながりを感じた、そんな2日間だったと思います。これからも人権感覚豊かで笑顔あふれる幸せな学校づくりに向けて、なかよし学園中村さんの力をお借りしていきたいです。」

■代表メッセージ(NPO法人なかよし学園プロジェクト 代表理事 中村雄一)
「支援は、“送って終わり”じゃない。
届けた先で“教材”として使われ、子どもたちが笑い、学び、絶望の中からまた明日を描きはじめる。
そして、その希望が現地から『里帰り』して、子ども達の教室に戻り、次の学びと行動の火を灯す。
——これが、私たちのCoRe Loopです。
遊佐中の皆さんが集めた文房具は、ただの文房具ではありません。
ひとつひとつに、誰かを想う言葉があり、手を差し伸べる勇気があり、未来を信じる意思があります。
このノートがカンボジアの難民の子どもたちの手に渡った瞬間、子ども達にとって、世界は“遠い場所”ではなくなりました。遠く離れた日本から自分たちを応援する声が届く。それはカンボジアの子ども達にとって大きな意味を持ちます。ある日突然敵の空爆によって生活を一変させられ、PTSDや人間不信、絶望感を経験した彼らにとって、「今」が最も人間の優しさや助け合いの重要性を感じることが必要な瞬間です。遊佐中の生徒達がなかよし学園の活動に参加してくれることによって、同年代の子ども同士が助け合う形が生まれました。
カンボジアで笑顔が生まれ、学びが始まり、その笑顔が映像やメッセージとなって遊佐に戻る。
この循環こそが、平和を“願う”だけで終わらせず、“つくる”力になります。
「願うだけの平和から、行動する平和へ」なかよし学園がずっと発し続けてきたメッセージです。
『今、自分にできること』を、口先ではなく行動で示した遊佐の子どもたちは、地域の誇りです。
そして、その一歩は確実に、未来の平和を動かしています。
これからも一緒に進みましょう。
願う平和から、行動する平和へ。——教室から、世界へ。」

■団体概要
団体名:NPO法人なかよし学園プロジェクト
活動:紛争地・難民キャンプ等を含む海外10カ国以上での教育支援/日本の学校との共創教材づくり/里帰りフィードバックによる循環型学習(CoRe Loop)
連絡先:peace.office@nakayoshigakuen.org
■本件に関するお問い合わせ先
NPO法人なかよし学園プロジェクト(事務局)
E-mail:peace.office@nakayoshigakuen.org
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