モルゲンロット、JAXAとHPC/AIサーバーの運用最適化に向けた共同研究成果をISC25で発表
〜CPU稼働率を可視化する重要性とGPUによる省エネルギー化を実証〜
生成AI時代を支えるコンピューティングパワーのインフラストラクチャーソリューションを提供するモルゲンロット株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:森本竜英、以下モルゲンロット)は、2025年6月10日(火)から13日(金)までの4日間、ドイツのハンブルクで開催されたスーパーコンピューティングの国際会議「ISC High Performance 2025」において、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と取り組むHPC/AIサーバーの健全かつ効率的な運用に関する共同研究の成果を発表しました。
本共同研究では、スーパーコンピュータにおけるジョブ単位・ノード単位の詳細な利用実態を定量的に可視化し、計算資源の効率的な配分とエネルギー使用の最適化を実現する技術的アプローチを検証しました。国際会議の会場では、モルゲンロットのパートナー企業であるEnergy Aware Solutions社のブースにおいて、当社の執行役員CTO伊藤 寿が以下の発表を行いました。
共同研究のテーマ
HPC/AIサーバーの健全かつ効率的な運用
共同研究の背景
JAXAのスーパーコンピュータシステム「JSS3」は、稼働率(ジョブ充足率)約95%を記録するなど、安定した運用実績を有しています。一方、稼働率の高さが必ずしも計算資源の効果的な活用や省エネルギー化を意味するとは限らず、ジョブ毎の実行特性やリソース消費の内訳を可視化する必要性がありました。
共同研究の内容と成果
本共同研究では、以下の要素技術を活用し、HPCシステムの多面的モニタリングを実施しました。
- 使用技術
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モニタリングソフトウェア「MORGENROT®︎ Arthur」(モルゲンロット)
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消費電力計測ソフトウェア「EAR」(Energy Aware Solutions)
- 可視化と解析の主な成果
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月次カレンダー表示によるノード別CPU稼働状況の視覚化(JSS3の主要システムの1つであるTOKI-SORAの48ノードを対象)
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分子動力学シミュレーションソフトLAMMPSを用い、計算リソースとしてのGPUの有無に応じた消費エネルギーを比較
- ベンチマーク結果
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月次でのCPU稼働率の分析により、ジョブ充足率とCPU稼働率が異なる推移であったことから、CPU稼働率も計算資源の稼働状況の把握に効果的な指標であることを確認
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分子動力学シミュレーションの一例において、32CPU構成と比較し、1CPU+1GPU構成ではシミュレーション時間を約1/8に短縮しつつ、電力消費量を75%以上削減
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GPUリソースの適切な活用が、計算時間の短縮による省エネルギーの実現に貢献することを定量的に実証

本発表にあたり執行役員CTO 伊藤 寿は次のように述べています。

大規模HPC環境の稼働状況の適切な把握と、一般にエネルギー消費が大きいGPUの運営ポリシーに則した稼働は、HPC/AIサーバー及びデータセンターの健全かつ効率的な運用に欠かせない課題となっています。本研究の成果は、それらの今後の実現に貢献するものであり、特に、将来の大規模HPC環境における消費エネルギー管理の適正化を感じさせる意義深いものと考えています。社会実装へつなげるべく、引き続き、取り組みを推進してまいります。
本共同研究の成果は、HPC/AIサーバーの運用高度化に向けた知見を提供するものであり、当社は「MORGENROT Arthur」の機能強化、ならびに共同研究に代表されるパートナー連携をさらに促進することで、あらゆる企業や研究機関がGPUリソースを高度に運用できる環境を提供して参ります。
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<モルゲンロットについて>
「必要な時に必要な分だけ計算力にアクセスできる世界を実現する。」をミッションに掲げ、企業の計算リソースの可視化・管理・最適化の実現、計算力のシェアリングにより、最適な計算環境の提供を目指す日本発のスタートアップ企業です。企業や研究機関などにおいてイノベーションのための計算力に対する需要が増大しており、今後更に計算力の不足が深刻化していくと予想されています。当社は企業などが有する計算力の適切な管理を実現するとともに、計算力のシェアリングエコノミーモデルの確立により計算力不足という課題解決に取り組んでいます。
会社名:モルゲンロット株式会社
所在地:東京都千代田区麹町4-4-3 ピネックス麹町6階
代表者:代表取締役 森本 竜英
設立:2019年4月
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