アネスト岩田 | 常温大気圧プラズマ式VOC処理装置の実証試験を開始
人と環境にやさしい塗装設備を目指して、環境汚染物質を分解処理して排気する装置の実証実験を開始
アネスト岩田株式会社(本社:神奈川県横浜市)はこのたび、国立大学法人東京科学大学(旧東京工業大学、本部:東京都目黒区)と共同研究を行い、常温大気圧プラズマを用いたVOC処理装置の実証実験を開始しました。本装置は従来の燃焼法や吸着法と異なり、プラズマの力を用いることで、エネルギーの無駄が少ないVOCの分解を実現します。
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プラズマによるVOC処理は、従来の燃焼法と比べて熱として捨てられるエネルギーが小さく済みます。また、処理空間を高温にする必要が無いので装置のON/OFF切り替えも容易に実現でき、必要な時だけ処理を行うといった運用が可能です。
また、吸着法のように吸着材の再生コストがかかることもなく、フィルターの目詰まりを気にする必要もありません。
お問い合わせ先
アネスト岩田株式会社コーティングシステム部
メールアドレス:coating_system_contact_001@anest-iwata-group.com
VOCとは何か
VOCとは揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)の略称で、常温常圧で容易に揮発する有機化合物の総称です。その優れた溶媒特性と揮発性の高さから、塗料や洗浄剤などに使用されています。しかしながら人体に有害なものも多く、光化学オキシダントなどの大気汚染物質の原因になるため世界各国で排出規制が行われています。また、悪臭物質としても知られており、悪臭防止法や条例などで規制されています。日本において主なVOC発生源は塗料関連であり、そのほとんどは何も処理されずに大気へ放出されています。
従来のVOC処理技術について
VOCの処理技術にはいくつかあり、主流なものとして燃焼法と吸着法があります。燃焼法はVOCを含んだガス中にバーナを設置し、加熱することで酸化させる方法です。
VOCの種類を選ばず、高い分解率を得ることができますが、1000ppmを下回るような低濃度の場合、補助燃料を投入する必要があります。また、常に高温を保たなければならないため、排気されるVOC濃度の変動が大きく失火の可能性がある場合も補助燃料の投入が必要です。
吸着法は排気ガスを活性炭やゼオライトを含んだフィルターに通すことでVOCを吸着する方法です。燃料が不要であり、低濃度でも比較的効率よくVOCを回収することができますが、吸着量には限界があり、メンテナンスや吸着材の再生コストがかかります。また、VOCを吸着材に効率よく接触させるため、フィルターの目を細かくする必要があるため、塗料ミストや粉塵などが多いとすぐに詰まってしまい、再生利用もできなくなってしまいます。
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大気圧プラズマとは
プラズマとは固体、液体、気体に並ぶ第4の状態で、原子や分子が高エネルギー状態に達することで電離し、自由電子とイオンが存在する状態です。中でも大気圧プラズマと呼ばれるものは常温常圧下で生成可能なため装置を安価に構成することができます。大気圧プラズマ技術は様々な産業に応用されており、例えば殺菌や除菌、表面改質、半導体の製造など各分野で活用されています。
塗装設備での活用
塗装設備において空調は品質向上のために必要不可欠ですが、新鮮な外気を空調して取り入れる全外気方式が主流であり、消費電力が大きくなります。そこで弊社では塗装ブース内の無人化を前提とした循環システムを提案し販売してきました。
しかしながら循環することでVOC濃度は高くなっていくため、人が入って作業出来ないのはもちろんのこと、排気はより臭気の強いものになってしまうという課題がありました。
プラズマ処理装置はこの課題を解決できる可能性を持っており、塗装設備の安全性を高め、環境負荷を低減できると見込まれます。
排気量5m3/min程度の小型設備で実証を開始し、段階的な大型化を計画しています。
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アネスト岩田株式会社
所在地: 神奈川県横浜市港北区新吉田町3176番地
代表者: 深瀬 真一(ふかせ しんいち)
創業: 1926年5月1日
資本金: 33億5,435万円
上場証券取引所:東京証券取引所 プライム市場
主な事業内容: 塗装機器・設備並びに液圧機器・設備、空気圧縮機(エアーコンプレッサ)、真空機器、の製造・販売
URL: https://www.anestiwata-corp.com/jp
アネスト岩田は、塗装機器・設備並びに液圧機器・設備、各種空気圧縮機(コンプレッサ)、真空機器、を製造・販売しています。創業から95年以上の歴史があり、海外20カ国以上に拠点を配置しグローバルに展開しています。アネスト岩田は「開発型企業」として、世の中の流れをいち早くキャッチし、常に新しい製品開発に取り組んでいます。国内外で1,200件を超える特許出願数を持ち、身の回りの多くの製品はアネスト岩田の製品を使って作られています。
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