〈2025年度特別回 中小企業経営実態調査〉トランプ関税の影響を受けている中小企業は約3割
対策をしている企業の約7割は製品やサービスの価格改定を実施
Green(グリーン)とDigital(デジタル)を活用した中小企業の変革を目指すフォーバル GDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区、所長:平良学)は、中小企業を対象にした「2025年度特別回 中小企業経営実態調査」を実施しました。

2025年1月、アメリカでは第2次トランプ政権が発足しました。第1次政権時から外交交渉の有力な手段として関税が注目され、NAFTA(北米自由貿易協定)との再交渉や対中国追加関税の検討などが進められていました。そして第2次となった現在はその傾向がさらに強まり、あらゆる国に対する関税交渉が就任直後から活発に進められています。日米間においても、同年4月の日米関税交渉の初会合を皮切りに、本格的な交渉が始まりました。
日米間では、鉄鋼・アルミ製品や自動車・関連部品などで交渉が進んでいます。その他、銅製品や半導体、医薬品など、対象はさらに広がる見込みです。対アメリカ輸出の依存が高い業種や企業で、今後の事業への影響を懸念する声が高まっています。こうした動きは総称して「トランプ関税」と呼ばれています。それは、輸入に関わる企業のみならず、日本経済にさまざまな形で影響を及ぼす可能性があります。今回、こうした背景を踏まえ、このトランプ関税による中小企業への影響に関する調査を実施しました。
【調査結果サマリー】
①トランプ関税によって「原材料・部品の仕入れ価格の上昇」の影響を受けている企業は23.5%
現時点における中小企業への影響は、ある程度限定的であることが明らかに。
②影響を受けている企業の7割が対応の必要性を感じているものの、具体的対策を講じているのは約1割のみ。
トランプ大統領の方針によって今後の状況が変化する可能性が高く、踏み出しづらいという可能性が示唆された。
③トランプ関税への具体的な対策は「製品・サービスの価格改定」が約7割。
企業にとっては関税によるコスト増加の抑制にはつながるものの、消費者にとっては物価高につながる恐れ。
【アンケート概要】
・調査主体 :フォーバル GDXリサーチ研究所
・調査期間 :2025年9月16日~2025年10月17日
・調査対象者 :全国の中小企業経営者
・調査方法 :ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
・有効回答数 :1,464人
本リリースの調査結果をご利用いただく際は、必ず【フォーバル GDXリサーチ研究所調べ】とご明記ください。

Q1.今後、トランプ関税が自社の事業に影響を与えると思いますか。また、どのような影響があると考えていますか。あてはまるものを教えてください。(n=1,464)※複数選択可
第2次トランプ政権発足後に進められている関税交渉等の動きにより、中小企業がどのような影響を受けているかを問う設問で、最も多かった回答は「影響は受けていない」(66.4%) と多数を占めました。現時点における中小企業への影響は、あり程度限定的であるということがいえます。
一方で、影響を受けていると回答した企業の中で最も多かった内容は「原材料・部品の仕入れ価格の上昇」(23.5%) でした。業種別に見ると、建設業、製造業、卸売業で影響が大きい傾向があり、特に卸売業では約4割の企業が影響を受けているという結果になりました。


Q2.あなたは、トランプ関税の影響に対して対応の必要性を感じていますか。(n=492)
Q3.トランプ関税の影響に対して、具体的な対策を講じていますか。(n=344)
影響を受けた企業に対して、トランプ関税の影響への対応の必要性については、「感じている」(22.4%)、「ある程度感じている」(47.6%)と、全体の7割が必要性を感じていることがわかりました。
Q2で、対応の必要性を感じている企業に対して、具体的な対策を講じているかを聞いたところ、「すでに講じている」と回答した企業は14.2%にとどまる結果となりました。必要性は感じているものの「講じる予定はあるが、まだ講じられていない」(23.8%)および「講じていない」(61.9%)と約8割強の企業が講じていないことがわかります。
トランプ関税の影響を受けた中小企業の多くは、対応の必要性を認識しているものの、まだ十分に行動に移せていない状況です。トランプ大統領の方針や発言によって今後の状況が変化しうる可能性もあり、それにより、具体的な対応に踏み出しづらい企業も少なくないのではないでしょうか。


Q4.前問で具体的な対策を講じていると回答した方にお伺いします。対策として行っていることをお答えください。(n=49)※複数選択可
Q5.具体的な対策を講じていると回答した方にお伺いします。その対策によって経営にどのような影響がありましたか。(n=49)※複数選択可
トランプ関税の影響に対する具体的な対策を講じていると回答した企業に、具体的な対策を問う設問では、「製品・サービスの価格改定」が69.4%と最も多く、価格転嫁に取り組む企業が多い結果となりました。次いで、「仕入先・販売先の見直し(国内外の調整)」(32.7%)、「コスト削減や業務効率化による吸収策」(24.5%)といった原価調整やコスト削減を通じた利益確保の取り組みが見られました。
対策に関する効果に関して問うと、全体では「コスト増加を抑制できた」(32.7%)と最も多く、次いで「顧客・取引先との関係維持ができた」(28.6%)、「利益率が改善した」(20.4%)と続きました。これらの回答から一定数は利益確保につながる効果を得ていることが明らかになりました。
企業にとっては、関税によるコスト増加の抑制にはつながるものの、消費者にとっては物価高につながる恐れがあります。


フォーバル GDXリサーチ研究所所長
平良 学(たいら・まなぶ)
■経歴
1992年、株式会社フォーバルに入社。九州支店での赤字経営の立て直し、コンサル
ティング事業の新規立ち上げ、
全体統括を経て、2022年に新たに発足した中立の独立機関「フォーバルGDXリ
サーチ研究所」の初代所長に就任。
中小企業経営の実態をまとめた白書「ブルーレポート」の発刊、全国の自治体と連携
し、地域の中小企業経営者に向けたDX、GXの講演、中小企業経営者向けのイベ
ントの企画などを通じて、中小企業のGDXを世に発信している。

■コメント
本レポートでは、トランプ関税による国内経済、特に中小企業経営に及ぼす影響について検証する目的で調査を行いました。トランプ関税の影響を受けている中小企業は全体の約3割となり、現状では影響を受けていない企業の方が多数派であるという現状がわかりました。
またトランプ関税の影響を受けている内容があると回答した企業のうち、その対応の必要性を感じている企業は約7割に上りましたが、対策の必要性を感じている企業のうち、実際に対策を講じている企業は14.2%にとどまっていることが明らかになりました。
アメリカとの関税交渉は、他分野にわたり、長期化することが予想されます。自社の事業がトランプ関税によりどのような影響を受けるのか、価格転嫁のみならず取引条件の交渉、場合によってはサプライチェーンの再編やビジネスモデルの再検討が必要になるかもしれない中、経営戦略全般について検証するためにも、外部の専門家の活用を検討することも1つの手であると推察できます。
■フォーバル GDXリサーチ研究所とは
日本に存在する法人の99%以上を占める中小企業。この中小企業1社1社が成長することこそが日本の活力につながります。中小企業が成長するための原動力の1つにGreen(グリーン)とDigital(デジタル)を活用し企業そのものを変革するGDX(Green Digital transformation)があります。
フォーバルGDXリサーチ研究所は、中小企業のGDXに関する実態を調査し、各種レポートや論文、報告書などをまとめ、世に発信するための研究機関です。「中小企業のGDXにおける現状や実態を調査し、世に発信する」をミッションに「中小企業のGDXにおいてなくてはならない存在」を目指し活動していきます。
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