ネパール被災者支援に差別
ネパールの震災で救援を必要としている被災者数千人が、性、カースト、民族による差別により、援助から取り残されている。アムネステイは4月末に現地を視察し、この問題を目の当たりにした。ネパール当局と国際社会は、人権を核に据えて支援活動にあたる必要がある。
大震災により数千人が死亡し、何十万人が緊急援助を必要としている。市民団体など国内外の団体や個人が、この人道的問題に果敢に対応してきたが、一方で深刻な問題が発生している。
ネパール社会では、家族を支える女性、ダリット(被抑圧階層)、先住民、障がい者などが、差別の対象となってきた。アムネスティの視察団は4月25日、震災の爪痕が生々しい現地を訪れたが、このような被差別者が、震災支援を受ける上でも、差別の問題に直面していることが分かった。
被災者の証言によれば、地域によっては支援が政治的に決められていた。政治的なコネがある者が、皆のための支援物資を奪い取っている。
救援や再建に取り組む支援者・団体は、人権の原則が尊重されるよう、努めなければならない。
アムネスティは、ネパールの政府と軍が支援物資の配給でも政治を持ち出していることにも警告を発した。3月初め、ネパール当局は英軍のヘリ3機による物資の輸送を拒否した。多くの被災住民がヘリコプターからの支援しか受けられない状況であるにもかかわらずだ。
国際法の下で、国には、支援国がどの国であっても、その支援物資を被災者に届ける義務がある。政治で人命をもてあそぶことは許されない。
アムネスティ日本 www.amnesty.or.jp
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