『「危ない!」の瞬間、全てがスローモーションで見える』は正しかった!
千葉大学、強い感情が視覚の“時間精度” を上昇させることを世界で初めて確認
千葉大学文学部認知心理学研究室の一川誠教授及び千葉大学文学部の卒業生の小林美沙は、画像観察で生じる感情反応や印象が視覚の時間精度(※)や感じられる時間の長さに及ぼす影響を調べました。その結果、危険を感じた瞬間に物事がスローモーションに見えるという現象が実際に生じることが確認されました。
※時間精度とは:短時間に処理できる能力
※時間精度とは:短時間に処理できる能力
- 研究の背景:感情が視覚の時間精度に及ぼす影響
- 研究の手法:画像観察を用いた実験
本研究では「①視覚の時間精度を測る実験」及び「②感じられる時間の長さを測る実験」により、画像観察で引き起こされた感情や印象の強度と①時間精度や②感じられる時間の長さとの関係を調べました。
実験では、様々な強度の感情反応や印象を引き起こす画像のデータベースから、危険や安全の印象を生じるカラー画像24枚を選びました。16名の大学生(女性9名、男性7名)が実験に参加しました。
1.視覚の時間精度を測る実験
各画像を1秒間提示した後、10〜60ミリ秒の範囲で画像をモノクロに切替え、モノクロ画像が見えるのに必要な最短時間を測定しました。その結果、危険を感じ、強い感情覚醒反応を引き起こす画像を見ると、短い時間でもモノクロ画像への切替えが気づかれました。これにより、危険な状況に陥ったときに、通常より早く視覚情報が処理される可能性があることがわかりました。
2.感じられる時間の長さを測る実験
0.4〜1.6秒の範囲で各画像を提示し、1秒間の長さに感じられるのに必要な時間を測定しました。これにより、危険を感じさせる画像の見えている時間は実際より長く感じられることが確認されました。また、①の実験の結果との相関は認められませんでした。
- 研究のまとめ
- 本件に関するお問合せ
千葉大学文学部人文学科認知心理学研究室 一川 誠
メール:michikawa@chiba-u.jp
- 関連リンク
千葉大学 http://www.chiba-u.ac.jp/
千葉大学文学部人文学科認知心理学研究室 http://www.psy.l.chiba-u.ac.jp/labo/vision2/index.html
すべての画像