キャップジェミニの最新レポート:自動車業界におけるAI実装はゆるやかに前進

大規模なAIプロジェクトの普及は失速、ただし、AI導入に成功すれば数百万ドルの営業利益アップの可能性も

キャップジェミ二

 

 


【2019年3月26日:パリ発】
キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュート(*1)は新たに調査レポートをリリースし、「自動車・部品企業のうち人工知能(AI)(*2)プロジェクトを大規模に実施しているのは大手のわずか10%のみで、大多数の自動車・部品企業はAIプロジェクトを大規模に導入し、営業利益を16%まで増加させる機会を得られていない」ことを明らかにしました。また、このレポートによると、AIがコスト、品質、生産性の面で有利であると多くのレポートで報告されているにもかかわらず、AIを実装中の企業は2017年よりも少なくなっています。

 


今回の調査レポート『Accelerating Automotive’s AI Transformation: How driving AI enterprise-wide can turbo-charge organizational value(自動車業界のAIトランスフォーメーションを加速する - エンタープライズ規模でのAI推進がいかにして企業価値を高めるか)』(*3)では、8ヶ国の大規模自動車・部品企業の500名のエグゼクティブを対象に調査を実施し、2017年に実施した類似調査をベースにして、AI投資と展開における現在のAIの動向を分析・構築しました。このレポートでは、AI実装関連の前進がなぜゆるやかなのか、その潜在的理由として以下に着目しています。

  • レガシーなITシステム、正確性ならびにデータに関する懸念、スキルの欠如など、技術面でのトランスフォーメーションに対する障害が依然として重大であること
  • 企業がAI実装の現実に直面するにつれて、当初のAIに対する誇大広告と期待が、より測定的、現実的視点に代わった可能性があること


主な調査結果

AIは緩やかに規模を拡大:2017年以降、AI実装を拡大した自動車・部品企業の数はわずかに増加しています(7%から10%)。しかしさらに重要なのは、AIをまったく使用していない企業が増加している(26%から39%)ことです。本レポートによると、現在AIプロジェクトを試験的に進めている企業は26% - 2017年の41%から減少しています。これは、期待する投資利益を実現することが難しいことに企業が気付いた結果かもしれません。今回の調査結果では、著しい地域格差 - AIを大規模に展開している企業は、米国の25%に対して、中国では9%(5%から9%へと著しい成長を示しています)、フランス9%、イタリア5%、インド2% - も明らかになりました。

自動車・部品企業は、大規模AIから多大な利益と恩恵を導き出せる:大規模なAIプロジェクトの緩やかな前進は、業界が大きな機会を見逃していることを示しています。今回のレポートでは、委託者商標による受託製造(OEM)のトップ50の中の典型的な1社をベースにしてモデル化を行った結果、大規模なAIの実現によって生み出される営業利益は手堅く見積もって5%(または2.32億ドル)、楽観的なシナリオでは16%(または7.64億ドル)となりました。

Continental社のAI & Robotics Labsの責任者、Demetrio Aiello氏のコメント:当社では、AIを活用した目視検査により、誤検査の割合が減少しました。AIを最大限まで展開できれば、パフォーマンスが向上し、現在の当社の能力をほぼ2倍にまで高めることができると確信しています。

AIは仕事を奪うものではなく、雇用を創出するもの:本レポートによると、AIによる雇用創出の可能性について、企業はよりポジティブな考え方を示しています。エグゼクティブの100%が「AIが新たな職務や役割を生み出している」と回答しています(2017年は84%)。

AI導入は結果達成につながる:今回の調査により、自動車・部品業界のあらゆるファンクションにメリットをもたらすAI導入の一貫したストーリーが見えてきました。AIの導入により、研究開発(R&D)部門における生産性が平均16%、サプライチェーンならびに製造/オペレーションにおける効率性がそれぞれ平均15%ならびに16%向上しています。また、カスタマーエクスペリエンスで平均14%、IT部門で平均17%のダイレクトコストの削減、R&Dで平均15%、マーケティング/販売で13%のTime-to-Marketの短縮が実現されたことが明らかになりました。

さらに、成功したAIプロジェクトを多数特定し、詳細をレポートにまとめています。その一例がContinental社です。同社は、AI導入以前は実際のテスト走行で1ヶ月に6,500マイル分の車両テストデータを生成していましたが、現在はAIを使用したシミュレーションで1時間に5,000マイル分のテストデータを生成しています。

その他の調査結果:

  • Volkswagen社は、機械学習を使用して、120カ国で250モデルの自動車販売を正確にモデル化しています。(*4)
  • Mercedes-Benz社は、荷物配送用にAI認知システムをテストしており、これにより車両への積み込み時間を15%短縮可能と判定しています。(*5)

キャップジェミニのエグゼクティブヴァイスプレジデントでオートモーティブ部門のグローバルヘッドであるMarkus Winkler (*6)は、「これらの調査結果は、自動車・部品業界におけるAIの前進スピードが減速してしまったことを示しています。企業によってはかなりの成功を収めているところもありますが、それ以外の企業は、最も効果的なユースケースに集中的に取り組もうと努力しています。自動車メーカーはAIをそれだけで完結する独立した機会としてではなく、未来を形作るために必要な戦略的能力としてとらえ始めなければなりません。そのためにはAI関連への投資、人材、ガバナンスの体系化が不可欠です。」と結論付けています。
さらに、「今回の調査が示すように、AIはあらゆる自動車ビジネスに大きな配当をもたらすことが可能ですが、それは大規模な実装の場合に限られています。AIを成功させるためには、企業は適切なスキルに投資し、必要なデータ品質を達成し、方向性とエグゼクティブのサポートの両方を提供する管理構造を確立することが必要です。」と述べています。

大規模なAI実装を実現するためには、投資、スキルアップ&インフラ構築が不可欠:本レポートでは、大規模なAIの実装に最も成功した企業(スケールチャンピオン)の行動も調査しました。その結果、以下のような傾向が明らかになりました。
  • AIへの多額な投資:スケールチャンピオンの86%が年間2億ドル以上をAIに投資
  • AIスキル人材の雇用とトレーニングへの取り組み:スケールチャンピオンの32%が「雇用はAI戦略と関連している」と回答(スケールチャンピオン以外では14%)。また、スケールチャンピオンの25%が「現在の従業員に対するスキルアップ&スキルの再構築を積極的に行っている」と回答している(スケールチャンピオン以外では8%)
  • AIを有線付けしAIを促進するために、AI投資を管理・運営するための中央運営管理体制や技術エキスパート、ビジネスエキスパートとオペレーションエキスパートで構成されたクロスファンクショナルなチームなどを手段とする、明確なガバナンスを確立

調査方法:
キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュートは、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、スウェーデン、イギリス、アメリカの8カ国の大規模自動車・部品企業の自動車部門エグゼクティブ500名を対象に一次調査を実施。その上で多数の業界エキスパートおよび起業家に詳細なインタビューを行いました。

レポートは以下リンク先3 よりダウンロードできます。
  1. キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュート
    https://www.capgemini.com/research-institute/
  2. 人工知能(AI)とは、人間が「知性」の現われとして知覚する学習システムによって示される能力の総称。今日の典型的なAI機能には、音声、画像および映像認識、自律オブジェクト、自然言語処理、対話型エージェント、規範的モデリング、拡張的創造性、スマートオートメーション、高度なシミュレーション、複雑な分析および予測が含まれる。
  3. 『Accelerating Automotive’s AI Transformation: How driving AI enterprise-wide can turbo-charge organizational value(自動車業界のAIトランスフォーメーションを加速する - エンタープライズ規模でのAI推進がいかにして企業価値を高めるか)』
    https://www.capgemini.com/research/accelerating-automotives-ai-transformation/?utm_source=pr&utm_medium=referral&utm_content=automotive_none_link_report_none&utm_campaign=performai_cri_ai-automotive
  4. 出典:Automotive World, “VW says OK to AI”、2018年3月
  5. 出典:Daimler社ウェブサイト、“Vans as motherships”、2018年9月
  6. キャップジェミニのエグゼクティブヴァイスプレジデントでオートモーティブ部門のグローバルヘッドであるMarkus Winkler
    https://www.capgemini.com/experts/automotive/markus-winkler/
 



キャップジェミニについて
キャップジェミニは、コンサルティング、テクノロジーサービス、デジタルトランスフォーメーションのグローバルリーダーとして、イノベーションの最前線に立ち、進化を続けるクラウド、デジタル及び各種プラットフォーム分野で、顧客のあらゆるビジネス機会に対応致します。キャップジェミニは、50年にわたり蓄積してきた優れた実績と業界固有の専門知識を基に、戦略から運用まで、弊社の一連のサービスを通じて、顧客企業が目指すビジネスビジョンの実現をご支援致します。キャップジェミニの信念は、「テクノロジーに関わるビジネス価値は人を通じて具現化される」ことであり、この信念こそが弊社の原動力となっています。
キャップジェミニは、世界40ケ国以上、20万人以上に及ぶチームメンバーで構成される多文化企業です。キャップジェミニ・グループ全体の2018年度売上は、132億ユーロです。

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キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュートについて
キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュートは、キャップジェミニの社内社内リサーチセンターです。この組織は、大規模な従来型/既存のビジネスに対するデジタル技術の影響について調査し、その結果を公開しています。ここでは、チームがキャップジェミニのエキスパートたちによる世界規模でのネットワークを活用し、教育機関や技術パートナーたちと緊密に連携しています。キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュートは、インド、イギリスおよびアメリカに専用のリサーチセンターを開設しています。最近、独立系アナリスト企業からリサーチの品質を認められ、世界ナンバーワンの格付けを得ています。
キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュートについては、以下をご覧ください。
https://www.capgemini.com/researchinstitute/

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会社概要

キャップジェミニ株式会社

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https://www.capgemini.com/jp-jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区虎ノ門1丁目23-1 虎ノ門ヒルズ 森タワー 22階
電話番号
03-6865-9510
代表者名
殿村真一
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2013年02月