研究開発中のSGLT-2阻害薬empagliflozin*、最長90週間の持続的な血糖降下作用と体重減少を示す
この資料は、ドイツ ベーリンガーインゲルハイムと米国イーライリリー・アンド・カンパニーが6月9日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したものです。尚、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。また海外の試験であるため、日本の承認内容と異なることがあります。この資料の内容および解釈についてはオリジナルが優先することをご了承ください。
第72回米国糖尿病学会のLate Breaking Sessionで発表されたempagliflozin*の有効性と安全性を評価する臨床試験
2012年6月9日、ドイツ、インゲルハイム/米国、インディアナポリス
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニー(NYSE: LLY)は、研究開発中のSGLT-2阻害薬 (empagliflozin*)の臨床試験結果を発表しました。成人2型糖尿病患者を対象にempagliflozin*を単独または基礎治療薬のメトホルミンに追加投与したところ、最長で90週間にわたり、HbA1c値および空腹時血糖値(FPG)を持続的に低下させ、さらに体重も持続的に減少させました 。HbA1c値は、過去2~3カ月の血糖コントロールの指標です。オープンラベル第2b相臨床試験の延長試験から得られた新たなデータは、米国糖尿病学会でLate Breaking Abstractとして発表されました。
Empagliflozin*は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体-2 (SGLT-2)阻害薬と称される新しいクラスの化合物です。腎臓におけるグルコース再吸収を抑制することで、過剰なグルコースを尿中に排泄し、インスリンに依存せずに血糖値を低下させます。そのため、β細胞機能またはインスリン抵抗性に依存することなくHbA1c値の低下及び体重の減少をもたらします 。
ベーリンガーインゲルハイムの代謝疾患領域担当副社長Dr.ハンス・ユルゲン・ヴェーレ(Dr. Hans-Juergen Woerle)は次のように述べています。「2型糖尿病の主な特徴は、持続性高血糖状態、インスリン分泌の低下、そしてインスリン抵抗性の増大の3つです。Empagliflozin*に代表されるSGLT-2阻害薬は、インスリン非依存性の作用機序を有する画期的な糖尿病治療薬です。これまでに蓄積された臨床データによると、このクラスの薬剤は、インスリン分泌機能やインスリン抵抗性に依存することなく、持続性高血糖状態を改善する可能性があります」。
本試験では、empagliflozin*を用いた2つの第2b相臨床試験(12週間投与)のいずれかに参加した成人2型糖尿病患者(n=659)を対象に、empagliflozin* 10mgまたは25mg(単独療法またはメトホルミンへの追加療法)、メトホルミン単独療法、シタグリプチンのメトホルミンへの追加療法のいずれかによる治療を引き続き78週間行いました。
90週目の時点でのHbA1c値及び体重のベースラインからの平均変化量は、メトホルミン単独療法(-0.56%、-1.28 kg)と比べて、empagliflozin* 10mg単独療法(-0.34%、 -2.24 kg)empagliflozin* 25mg単独療法(-0.47%、 -2.61 kg)でした 。Empagliflozin*またはシタグリプチンをメトホルミン基礎治療に追加した場合、HbA1c値及び体重のベースラインからの平均変化量は、シタグリプチン(-0.40%、-0.41kg)と比べて、empagliflozin* 10mg(-0.34%、 -3.14 kg)、empagliflozin* 25mg(-0.63%、 -4.03 kg)でした。
Empagliflozin* (10 mg または 25 mg)を最長90週間投与した本試験では、忍容性は良好であることが示されました1。この試験で報告された有害事象の90%以上は軽度または中等度でした。Empagliflozin*投与を受けた患者の0.9~3.6%が低血糖症を発現したのに対し、メトホルミン単独療法では7.1%、シタグリプチンのメトホルミンへの追加療法では5.4%でした。尿路感染に関連する有害事象は、empagliflozin*投与を受けた患者の3.8~12.7%、メトホルミン単独療法を受けた患者の3.6%、シタグリプチン追加療法を受けた患者の12.5%で報告されました。性器感染に関連する有害事象は、empagliflozin*投与を受けた患者の3.0~5.5%、メトホルミン単独療法を受けた患者の1.8%で報告され、シタグリプチン追加療法を受けた患者では報告はありませんでした。
Empagliflozin*は現在、第3相臨床試験を実施中であり、合計で14,500例を超える患者が登録される予定です。
「ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、世界的に増加している糖尿病患者の方々の医療ニーズを満たすため、研究開発主導型製薬企業である両社の科学的専門知識を最大限に活用しています」とベーリンガーインゲルハイム医薬開発担当上級副社長のProf.クラウス・デュギは述べ、「私たちは、糖尿病患者さんに役立つ医薬品の研究開発にこれからも注力していきます」と締めくくりました。
2型糖尿病患者を対象とした78週間のオープンラベル延長試験でempagliflozin*を単独またはメトホルミンへの追加療法として投与した時の安全性と有効性
本延長試験では、先行して行われた2つの第2b相臨床試験(12週間投与)のいずれかでempagliflozin*10mg、25mg(単独療法またはメトホルミンへの追加療法)、メトホルミン単独、シタグリプチンのメトホルミンヘの追加療法を受けた患者は、本延長試験においても引き続き同じ治療を78週間継続しました。先行して行われた12週間の第2b相臨床試験でempagliflozin* 1mg、5mg、50mgまたはプラセボを投与されていた患者は、本延長試験ではempagliflozin* 10mgまたは25mg(単独療法またはメトホルミンへの追加療法)に再びランダム化し、さらに78週間の治療を続けました。Empagliflozin*単独療法の試験結果はメトホルミン単独療法の結果と比較され、empagliflozin*のメトホルミンへの追加療法のデータは、シタグリプチンのメトホルミンへの追加療法のデータと比較されました。
糖尿病について
1型と2型糖尿病の患者数は、世界で3億6600万人と推定されています3。大半が2型糖尿病で、糖尿病全体のおよそ90~95%を占めます2。糖尿病は、インスリンというホルモンを生体が適切に分泌、利用しにくくなったりする場合に発症する慢性疾患です4。
References
1 BI/Lilly Data. Woerle HJ, Ferrannini E, Berk A, et al. Safety and Efficacy of Empagliflozin as Monotherapy or Add-On Therapy to Metformin in a 78-Week Open-Label Extension Study in Patients With Type 2 Diabetes. Poster No. 49-LB. Presented at the American Diabetes Association’s (ADA’s) 72nd Scientific Sessions®. June 8-12, Philadelphia, PA.
2 Centers for Disease Control and Prevention. National diabetes fact sheet: national estimates and general information on diabetes and prediabetes in the United States, 2011. Atlanta, GA: U.S. Department of Health and Human Services, Centers for Disease Control and Prevention, 2011.
3 International Diabetes Federation. IDF Diabetes Atlas, 5th Edition: The Global Burden. 2011. http://www.idf.org/diabetesatlas/5e/the-global-burden. Accessed on: April 11, 2012.
4 International Diabetes Federation. IDF Diabetes Atlas, 5th Edition: What is Diabetes? http://www.idf.org/diabetesatlas/5e/what-is-diabetes. Accessed on: April 11, 2012.
第72回米国糖尿病学会のLate Breaking Sessionで発表されたempagliflozin*の有効性と安全性を評価する臨床試験
2012年6月9日、ドイツ、インゲルハイム/米国、インディアナポリス
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニー(NYSE: LLY)は、研究開発中のSGLT-2阻害薬 (empagliflozin*)の臨床試験結果を発表しました。成人2型糖尿病患者を対象にempagliflozin*を単独または基礎治療薬のメトホルミンに追加投与したところ、最長で90週間にわたり、HbA1c値および空腹時血糖値(FPG)を持続的に低下させ、さらに体重も持続的に減少させました 。HbA1c値は、過去2~3カ月の血糖コントロールの指標です。オープンラベル第2b相臨床試験の延長試験から得られた新たなデータは、米国糖尿病学会でLate Breaking Abstractとして発表されました。
Empagliflozin*は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体-2 (SGLT-2)阻害薬と称される新しいクラスの化合物です。腎臓におけるグルコース再吸収を抑制することで、過剰なグルコースを尿中に排泄し、インスリンに依存せずに血糖値を低下させます。そのため、β細胞機能またはインスリン抵抗性に依存することなくHbA1c値の低下及び体重の減少をもたらします 。
ベーリンガーインゲルハイムの代謝疾患領域担当副社長Dr.ハンス・ユルゲン・ヴェーレ(Dr. Hans-Juergen Woerle)は次のように述べています。「2型糖尿病の主な特徴は、持続性高血糖状態、インスリン分泌の低下、そしてインスリン抵抗性の増大の3つです。Empagliflozin*に代表されるSGLT-2阻害薬は、インスリン非依存性の作用機序を有する画期的な糖尿病治療薬です。これまでに蓄積された臨床データによると、このクラスの薬剤は、インスリン分泌機能やインスリン抵抗性に依存することなく、持続性高血糖状態を改善する可能性があります」。
本試験では、empagliflozin*を用いた2つの第2b相臨床試験(12週間投与)のいずれかに参加した成人2型糖尿病患者(n=659)を対象に、empagliflozin* 10mgまたは25mg(単独療法またはメトホルミンへの追加療法)、メトホルミン単独療法、シタグリプチンのメトホルミンへの追加療法のいずれかによる治療を引き続き78週間行いました。
90週目の時点でのHbA1c値及び体重のベースラインからの平均変化量は、メトホルミン単独療法(-0.56%、-1.28 kg)と比べて、empagliflozin* 10mg単独療法(-0.34%、 -2.24 kg)empagliflozin* 25mg単独療法(-0.47%、 -2.61 kg)でした 。Empagliflozin*またはシタグリプチンをメトホルミン基礎治療に追加した場合、HbA1c値及び体重のベースラインからの平均変化量は、シタグリプチン(-0.40%、-0.41kg)と比べて、empagliflozin* 10mg(-0.34%、 -3.14 kg)、empagliflozin* 25mg(-0.63%、 -4.03 kg)でした。
Empagliflozin* (10 mg または 25 mg)を最長90週間投与した本試験では、忍容性は良好であることが示されました1。この試験で報告された有害事象の90%以上は軽度または中等度でした。Empagliflozin*投与を受けた患者の0.9~3.6%が低血糖症を発現したのに対し、メトホルミン単独療法では7.1%、シタグリプチンのメトホルミンへの追加療法では5.4%でした。尿路感染に関連する有害事象は、empagliflozin*投与を受けた患者の3.8~12.7%、メトホルミン単独療法を受けた患者の3.6%、シタグリプチン追加療法を受けた患者の12.5%で報告されました。性器感染に関連する有害事象は、empagliflozin*投与を受けた患者の3.0~5.5%、メトホルミン単独療法を受けた患者の1.8%で報告され、シタグリプチン追加療法を受けた患者では報告はありませんでした。
Empagliflozin*は現在、第3相臨床試験を実施中であり、合計で14,500例を超える患者が登録される予定です。
「ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、世界的に増加している糖尿病患者の方々の医療ニーズを満たすため、研究開発主導型製薬企業である両社の科学的専門知識を最大限に活用しています」とベーリンガーインゲルハイム医薬開発担当上級副社長のProf.クラウス・デュギは述べ、「私たちは、糖尿病患者さんに役立つ医薬品の研究開発にこれからも注力していきます」と締めくくりました。
2型糖尿病患者を対象とした78週間のオープンラベル延長試験でempagliflozin*を単独またはメトホルミンへの追加療法として投与した時の安全性と有効性
本延長試験では、先行して行われた2つの第2b相臨床試験(12週間投与)のいずれかでempagliflozin*10mg、25mg(単独療法またはメトホルミンへの追加療法)、メトホルミン単独、シタグリプチンのメトホルミンヘの追加療法を受けた患者は、本延長試験においても引き続き同じ治療を78週間継続しました。先行して行われた12週間の第2b相臨床試験でempagliflozin* 1mg、5mg、50mgまたはプラセボを投与されていた患者は、本延長試験ではempagliflozin* 10mgまたは25mg(単独療法またはメトホルミンへの追加療法)に再びランダム化し、さらに78週間の治療を続けました。Empagliflozin*単独療法の試験結果はメトホルミン単独療法の結果と比較され、empagliflozin*のメトホルミンへの追加療法のデータは、シタグリプチンのメトホルミンへの追加療法のデータと比較されました。
糖尿病について
1型と2型糖尿病の患者数は、世界で3億6600万人と推定されています3。大半が2型糖尿病で、糖尿病全体のおよそ90~95%を占めます2。糖尿病は、インスリンというホルモンを生体が適切に分泌、利用しにくくなったりする場合に発症する慢性疾患です4。
References
1 BI/Lilly Data. Woerle HJ, Ferrannini E, Berk A, et al. Safety and Efficacy of Empagliflozin as Monotherapy or Add-On Therapy to Metformin in a 78-Week Open-Label Extension Study in Patients With Type 2 Diabetes. Poster No. 49-LB. Presented at the American Diabetes Association’s (ADA’s) 72nd Scientific Sessions®. June 8-12, Philadelphia, PA.
2 Centers for Disease Control and Prevention. National diabetes fact sheet: national estimates and general information on diabetes and prediabetes in the United States, 2011. Atlanta, GA: U.S. Department of Health and Human Services, Centers for Disease Control and Prevention, 2011.
3 International Diabetes Federation. IDF Diabetes Atlas, 5th Edition: The Global Burden. 2011. http://www.idf.org/diabetesatlas/5e/the-global-burden. Accessed on: April 11, 2012.
4 International Diabetes Federation. IDF Diabetes Atlas, 5th Edition: What is Diabetes? http://www.idf.org/diabetesatlas/5e/what-is-diabetes. Accessed on: April 11, 2012.
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