小径ループ継手による組立式桟橋上部工の構築方法「TM-LOOP工法」の開発
~桟橋上部工の施工省力化に向けて~
東洋建設株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 会長執行役員CEO:吉田真也)は、組立式桟橋上部工における海上での溶接作業を省略し、海上施工の省力化および工期短縮を図れる、小径ループ継手を用いた構築方法「TM-LOOP工法」※1を開発しました。
海上溶接作業の省略
TM-LOOP工法(本工法)は、鋼管杭と鉄筋コンクリート(RC)製プレキャスト(PCa)梁の接合にループ継手を採用しています。ループ継手は、杭頭鋼管※2とPCa梁に設けられたループ鉄筋と、それらを重ね合わせたループ内部に配置する配力鉄筋で構成されます。互いのループ鉄筋を所定の形状で重ね合わせて接合するため、海上での溶接作業を省略することができます。また、ループ鉄筋の折曲げを最小半径※3とすることで、鋼管杭とPCa梁の間隔を狭め、現場打ちコンクリートの数量を減らすことができます。
海上施工の工期と作業員数を大幅に削減
本工法は、一般的なプレキャスト工法と同様に、海上での鉄筋・型枠組立作業やコンクリート打設作業を削減できます。さらに、小径ループ継手の採用により、更なる海上施工の省力化を図ることができます。桟橋上部工に適用した場合、現場打ち工法と比較して、海上施工の工期を約50%、作業員数を約75%削減できることを確認※4しています。
また、PCa梁は杭間を、スラブは梁間を1単位とする比較的小規模な部材に分割することで、海上からだけでなく陸上からの施工も可能となり、使用できる重機の選択肢が広がります。これにより、大型揚重機での施工がコスト面や調達面で課題となるケースにも柔軟に対応できます。
国内建設現場では、生産性向上や担い手不足への対応が喫緊の課題となっています。今後は本工法の桟橋上部工への適用を図り、港湾工事における生産性向上・施工省力化に取り組んでまいります。
※1:本工法は一般財団法人沿岸技術研究センターが定める港湾関連民間技術の確認審査・評価にて評価された技術(第24006号)です。
※2:鋼管杭の外側に設置する接合用部材で、工場等であらかじめループ鉄筋を取り付けます。
※3:土木学会標準示方書で規定されている鉄筋の最小折り曲げ半径です。
※4:当社施工実績に基づく組立式桟橋上部工モデルでの試算です。作業工期・作業員数の算定は港湾土木請負工事積算基準に準じて算出しています。
杭頭部の構造

本工法の施工状況




従来工法との比較

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