小売業界のコロナ禍を総括 日本の小売業界が今、儲ける力を高める「粗利経営」への変革に挑むべき理由とは

在庫分析クラウド「FULL KAITEN」代表取締役 瀬川の談話

在庫を利益に変える在庫分析クラウドサービス『FULL KAITEN』を開発し小売業向けに提供するフルカイテン株式会社(本社・大阪市福島区、代表取締役・瀬川直寛)は、小売業界におけるコロナ禍(2020年、2021年)の動きを総括し、日本の小売業界が今、売上第一から粗利経営への変革が必須である理由を瀬川の視点で説明します。当社は、2020年から粗利経営の重要性をウェビナーやメディア露出の度に発信し続けています。当時はごく一部の企業の共感しか得られていませんでしたが、この2年で粗利経営への変革を目指す企業が増えてきました。本リリースの内容は、一報を頂ければ、各種まとめ記事等で瀬川のコメントとして自由に引用していただいて構いません。

▲フルカイテン株式会社 代表取締役・瀬川直寛▲フルカイテン株式会社 代表取締役・瀬川直寛

 

  • 1.需要消失による売上至上主義の限界と「粗利経営」の兆し​ ~コロナ禍の小売業界を総括~
新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって消費行動が大きく変化し、小売業界は大きな影響を受けました。コロナ前の小売業界は、売上高の昨対増を目標とする企業が多く、在庫過多とオーバーストアを負の遺産として許容する傾向がありました。しかし2020年4月の緊急事態宣言により店舗が閉まり急激に需要消失したことで、在庫過多とオーバーストアを許容してきたツケとして次の問題が起きました。

・閉店による資金繰りの急激な悪化
・実店舗不振によるEC化率の急上昇
・ECだけでは実店舗の固定費を賄えず赤字転落

上記の問題から、小売各社は仕入れの抑制やブランドの閉鎖により粗利率を改善し、不採算店舗の閉鎖で営業利益を改善しました。つまり2020年は、2019年までの売上を重視する経営スタイルから粗利とキャッシュフローを重視するスタイルへの大きな変化が起きた年だったということです。その結果、2021年は、粗利率が上昇し営業利益も増加しました。しかしこれは当たり前の結果でもあります。なぜなら仕入れ抑制で粗利率が改善するのは値引きと評価損が減るのだから当たり前で、不採算店舗の撤退で営業利益が改善するのも固定費が下がるのだから当たり前のことだからです。

むしろ今は会社として儲ける力、言い換えれば利益を生み出す力がコロナ前と変っていないことを新たな課題として認識すべきだと思います。どういうことかというと、コロナがきっかけとなって仕入れが抑制されたことで売り物が減り、不採算店舗を閉鎖したことで売り場が減った中で、儲ける力だけはコロナ前後で変わっていません。ですので、これから起きる課題は業績の縮小均衡ということになります。だからと言って業績アップのために仕入れを増やすと、儲ける力が変わっていないのだからまた在庫過多に逆戻りです。コロナという外圧がきっかけとは言え、せっかく在庫量と不採算店舗を減らして利益体質への改善が進み始めたのですから、どの企業もこの路線を続けたいと考えています。

FULL KAITENはこの「儲ける力」をつけるための在庫分析クラウドサービスです。「儲ける力」の重要性を示すデータをご紹介しましょう。FULL KAITENを導入した企業の導入時点のデータを分析すると、全商品のたった20.5%で8割の粗利を生み出していると分かりました。

20.5%は手をかけなくても自然と売れますが、残りの79.5%こそが企業が見落としがちな大きな課題です。この79.5%のSKUは、セールにおける値引きや評価減により本来なら得られたはずの粗利益が大きく失われているということになります。
一方で、これら粗利益に貢献していない商品在庫にも固定費は平等に配賦されます。このため79.5%に含まれるSKUの大半は、固定費を賄うだけの粗利益を生み出すことができていないとみられ、SKU単位では赤字となります。

しかしながら、発注する段階ではどのSKUがよく売れるかを高い精度で予測することが困難であるため、多くのSKUを発注し仕入れているのが実情です。この問題を解決するためには、79.5%のSKUからも粗利益を生み出す「儲ける力」をつける必要があります。

FULL KAITENはこの79.5%を分析することで、今まで得られなかった粗利を生み、儲ける力を向上させます。すると在庫の効率が上がり、経営を粗利体質に変革することができます。つまり粗利経営とは、抱えている在庫からできるだけ多くの粗利を生み出せるように在庫効率を向上させる経営スタイルのことを意味します。

2021年後半から2022年にかけて、残り79.5%の在庫を使った儲ける力の重要性が認識され始め、今ある在庫で粗利を稼ぐ企業が増えてきたと感じています。
  • 2.​粗利経営が日本の未来にも重要な理由とは ~縮小市場の実態、そこで勝ち抜くための粗利経営~
前章で述べた儲ける力の必要性を理解するうえで、日本の市場変化と市場縮小という観点は不可欠であり日本の未来にも重要です。

1)市場変化(大量生産から付加価値へ)
戦後から高度成長期は、モノ不足により消費者は物質的な豊かさを求め、大量消費がニーズ化しました。このような市場が成長していた時代は、在庫を持てば売上も利益も増える時代だったので在庫を持つこと自体が戦略で、だから大量生産が価値を生みました。
しかし、大量生産と大量消費により増収増益を重ねた結果、日本はモノ余りの時代になり、消費者の物質的な豊かさが満たされました。物質的な豊かさのような社会の最大公約数が満たされると、消費者が豊かさを感じる基準が多様化します。これが消費者のニーズが多様化したとよく言われることの正体です。もはや大量消費はニーズではなく、従って大量生産は価値を生んでいません。そうであるにも関わらずいまだに多くの企業が大量生産を続けているのですから完売できるはずはなく、各社が売れ残りを売りさばこうとして価格競争が激化しています。価格競争が激化すると粗利率が悪化するので商品原価を下げようとします。商品原価を下げるにはより大量の生産が必要になりますのでまた在庫が増え、価格競争はさらに激化していくことになります。また商品原価を下げるということは商品作りに投資できないということです。そうすると他社と差別化した商品を作ることができず商品の同質化が起きて、どの企業でも似たような商品を売っているような状態に陥ります。既にこれは起きていることです。欲しい商品がどこかの企業で欠品していても、消費者からすれば似た商品を売っている他の企業を見つけることはとても簡単なことです。もはや消費者は欠品の痛みを感じていないとさえ言えるのです。
このような状況で今なお大量生産を価値として捉えることは、時代の変化を読み違えていると言えるのではないでしょうか。

今のようなモノ余りの時代は、売れる量を超過した大量生産をやめ、他社と差別化できる付加価値の高い商品を開発すること、「この店舗に行きたい。」と思えるような付加価値の高い売り場を作ること、優秀なスタッフが働きやすい環境を整えることが企業としての競争力の源泉になります。そういった力をつけることが、消費者の多様化したニーズへの対応力に繋がるからです。しかしそのためには競争力強化のための投資原資を生み出す必要があります。だからこそ「残り79.5%の在庫から粗利を生み出すための儲ける力をつけること」、言い換えれば粗利経営への変革が欠かせないのです。

2)市場縮小(人口減少と高齢化)
市場縮小の観点でも粗利経営は重要です。日本は人口減少と高齢化が同時に進み市場規模の縮小が続くにも関わらず、在庫の物量ありきの大量生産型ビジネスを続ける企業が多いのが実情です。これを2つの観点でお話しします。

①人口減少
人口動態の統計データによると、この数年間で毎年60万人以上の人口減少が続いています。これは鳥取県の人口とほぼ同程度です。2025年を境に、人口減少は毎年100万人前後に加速すると人口動態の統計データから判明しています。これは政令指定都市が毎年一つずつ減ることを意味し、この規模の人口減少がおよそ50年程度続くと言われています。2030年には累計で1400万人もの人口減少が進むと言われており、これは九州と同程度の人口にあたります。
※人口動態の統計データは、出生率や死亡率というほぼ変動しない数字で算出するため、最も信用できる統計と言われています。過去もほぼ統計通りに推移しています。

②高齢化
人口構成比は、0〜14歳(若年層)12%、15〜64歳(生産年齢人口)60%、65歳〜(高齢者)28%です。若年層の割合が最も低く、出生率は1.37と最低水準です。
生産年齢人口は消費を生み出しお金を稼ぎお金を使う人々を指しますが、出生率の低さからも分かるように若年層から生産年齢人口に移る人口は少ないことが分かります。一方で生産年齢人口が60%もいますので、今後起きるのは生産年齢人口から高齢者に移る人口が増加していくということです。これはつまり日本は国全体が老化していくということを意味します。

あまり知られていないことですが、消費支出はこれまでも月に数万円レベルで下落しています。最も下落幅が大きかったのは40代後半から50歳までの年代で、なんと月に6万円も消費支出が減少しています。前述のように生産年齢人口が減少し高齢者が増えていくと今以上に社会保障や介護関連の支出が増えることになりますので、消費支出はさらに減少していくことになります。これが人口減少を伴いながら起きるので、日本の消費力は想像もつかないぐらい落ちていくはずです。当然ながら、企業の粗利率が向上しない限り働く人のお給料が上がらず負のスパイラルは続きます。すると消費力も落ち続け、企業経営は更に先細りになっていくでしょう。このように目の前で起きている変化を小さく評価せず、きっちり向き合うことが大切だと私は考えています。

今は売上第一から粗利第一への大きな潮目の変化を迎えています。売上第一は在庫の物量と資金力で勝負する戦いで、粗利第一は在庫の効率と付加価値で勝負する戦いです。人口減少と高齢化が進む日本において、売上第一を選択すると経営をサステナブルにできません。
市場規模の縮小が加速し消費力も下落していく中でそのような戦いをすれば、価格競争が激化するだけであり、勝つのはごく一部の資金力のある大企業だけです。つまり、日本の小売業界は在庫の物量ではなく、消費者の多様化したニーズに応える付加価値勝負をする必要があります。そして付加価値で勝負するためには粗利の増加は欠かせません。

これから日本では粗利経営への変革が更に進み、企業の生き残りをかけた改革が盛んになると私は見ています。
  • 3.粗利経営への変革が国内市場に起こす変化とは ~今後国内市場に起きる二極化の正体~
大量生産が価値を失い人口減少と高齢化が加速する日本において、この先5年10年を見通すと、売上第一主義と粗利第一主義ではどんな差が生まれるのでしょうか。それは2つの二極化です。

1)企業の業績が二極化する
売上第一を続ける会社は価格競争の激化で苦しみ、次の①~③のことが起きます。
①資金力のある大企業に淘汰される
人口減少と高齢化が加速する縮小市場で価格競争に挑むと、資金力のある大企業に淘汰されます。
②企業規模をさらに縮小しギリギリ存続する
経営を続ける為に事業規模を縮小し、ギリギリ存続する苦しい状況に陥るでしょう。
③M&Aや倒産もあり得る
最悪の場合、M&Aや倒産もあり得ます。価格競争は利益を圧迫し体力勝負となるため、資本の大きさがものを言う勝ち目のない戦いだからです。

一方で粗利第一に変革する会社は以下に投資でき、増益の好循環を生み出すでしょう。
①商品原価に投資し、付加価値の高い商品開発が可能になる
②店舗に投資し、付加価値の高い店舗開発が可能になる
③労働環境やITに投資し、生産性の高い労働が可能になる
④社員の教育や給与に投資し、優秀な社員を育てたり採用したりすることが可能になる

売上第一を継続すると、粗利は減り続け厳しい経営状態に陥るでしょう。以上が業績という側面で起きる二極化です。

2)企業の人気が二極化する
個人的にはこの影響は非常に大きいと思います。なぜなら日本は生産年齢人口の減少と高齢化が進行しているため、更に働き手が減り採用市場では人の取り合いが起こるからです。売上第一で粗利を稼げず商品、店舗、労働環境、人に投資できない企業に人は集まるでしょうか?

粗利第一に変革し投資の原資である粗利を生み出す企業は、商品、店舗、労働環境、人に投資ができます。これにより、他社と差別化した付加価値の高い商品開発、「この店舗に行ってみたい!」と思えるような付加価値の高い店舗開発、労働環境やITへの投資に加えサステナビリティへの投資、社員の教育や給与への投資などが可能になります。
一方で、売上第一を続ける企業は粗利を稼げなくなっていくため投資力が減衰し、結果として社員は不幸せになります。

つまり、5年後10年後に生き残る小売企業は、粗利経営に変革し生み出した粗利を、商品、店舗、労働環境、人に投資する企業です。そのような企業は増益の好循環を生み出し、優秀な社員を採用でき、更なる増益の連鎖を生み出すようになります。このように、粗利を稼げると社員を幸せにする投資が可能で、売上第一を続ける企業との差はますます開いていくでしょう。
  • 4.今は10年に一度の大きなチャンス ~粗利第一を実践する経営「NewRetail経営」とは~
ここまでの話をまとめ、これからのRetailの在り方を「NewRetail経営」として図にしました。当社では粗利第一を実践する経営を「NewRetail経営」と呼んでおり、このコロナ禍を10年に一度のビジネスチャンスとして捉えるという視点を含んでいます。

 

▲NewRetail経営の全体像を表現したのが上記の図▲NewRetail経営の全体像を表現したのが上記の図

一番の根幹は粗利経営への変革です。この変革はビジネスモデルでいうと、仕入れの抑制、固定費の抑制、そして絶対に欠かせない要素として前述の「儲ける力」を身に付けることです。余計や値引きの抑制やプロパー消化率の加速などを改善するだけで、儲ける力は身に付きます。
仕入れの抑制、固定費の抑制、儲ける力の3つが揃うと増益効果が生まれ、生まれた粗利を次は投資に回します。具体的には、商品開発、サステナビリティ、店舗開発、職場環境やIT、給与や教育などです。

このような投資をすると、社員の幸せを生み出すことができます。これによって会社にとっては、採用の競争力が上がり、離職率は下がり、企業生存力が上がります。だからまた粗利経営が進むという好循環が生まれます。これがNewRetail経営の姿です。

しかし分かりやすい小売の未来が見えていても、おそらく様子見する企業が大半でしょう。逆に言うと、ここで粗利経営に変革する企業は生き残れる可能性が高いということです。様子見を決め込んだ企業は、想像以上の市場縮小の荒波の中で自然に淘汰されて消えていくでしょう。

つまり、今は粗利経営に変革する企業が一人勝ちできる10年に1度のビジネスチャンスだということです。粗利経営への変革に成功する企業が増えれば、少ない在庫で業績を向上させられる企業が増えます。そうすると大量生産が抑制され、結果として大量廃棄問題が解決に向かいます。
見方を変えれば粗利経営は企業の経営を持続可能にするだけでなく、日本や地球の未来を守るきっかけにもなるということなのです。


フルカイテンは今後もさらに多くの企業にFULL KAITENを導入していただくことで、この社会的意義を果たしたいと考えています。そしてそれは子供たち・孫たちの世代により良い地球を残すことに繋がるはずです。フルカイテンはそれを信じて2022年もテクノロジーの力で社会の変革に挑戦し続けます。

※本リリースの内容は、一報を頂ければ、各種まとめ記事等で瀬川のコメントとして自由に引用していただいて構いません。

【会社概要】
社名: フルカイテン株式会社
URL: https://full-kaiten.com
本社: 大阪市福島区福島1-4-4 セントラル70 2階B
設立: 2012年5月7日
代表者: 代表取締役 瀬川直寛

【本件の問い合わせ先】
フルカイテン株式会社
戦略広報チーム 斉藤
電話: 06-6131-9388
Eメール: info@full-kaiten.com

 
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