心地よいフェイシャルエステに関連する脳の活動領域を解明
日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、名古屋大学 脳とこころの研究センター(愛知県名古屋市東区大幸南1-1-20、教授:飯髙 哲也)と共同で、フェイシャルエステの施術が脳活動に与える影響について解析しました。その結果、フェイシャルエステが脳の特定の領域(海馬・島皮質・吻側前頭皮質)を活性化し、心地よさやストレス軽減効果をもたらしていることがわかりました。

フェイシャルエステには美容効果だけでなく、心地よさを感じたり心を落ち着かせるなど、心理面にも効果があると言われています。メナードではこれまで、フェイシャルエステによる心理的影響について研究を行ってきました。今回、名古屋大学 脳とこころの研究センターと共同で、フェイシャルエステの施術が心理状態や脳活動に与える影響について詳細に解析しました。
健常人女性23名に対してフェイシャルエステを行い、施術前後の心理状態と、fMRI※1を用いて脳活動を測定しました。その結果、フェイシャルエステによって心地よさが高まり、ストレスが軽減し、またこの時、特定の脳領域同士の連動性(脳機能的結合)が高くなっていることがわかりました。これらの結果から、フェイシャルエステの施術が脳に作用し、心地よさやストレス軽減をもたらしていると考えられました。
今回の結果から、フェイシャルエステがもたらす心地よさやストレス軽減には、脳の特定の領域(海馬・島皮質・吻側前頭皮質)が関係している可能性が明らかになりました。今後は、さらに詳細な解析を進め、より心地よいフェイシャルエステの開発などに応用していきます。
なお、本研究の成果は2025年3月7日から8日にかけて東京で開催された第27回日本ヒト脳マッピング学会にて発表しました。
※1fMRI (functional Magnetic Resonance Imaging):体内の断層画像を取得するMRI技術をもとに、脳を対象とした断層画像を取得する装置・技術。脳の構造情報に加え、機能活動を視覚化することができる。
< 参考資料 >
1.実験方法について
健常人女性23名(平均35歳)を対象に、エステセラピストが顔、デコルテを中心としたフェイシャルエステを行い、施術前後に心理評価のためのアンケートと唾液採取、および安静状態でfMRIの測定を実施しました(図1)。fMRIの脳画像は名古屋大学 脳とこころの研究センターに設置されている3T MRI装置(Siemens社製Verio)で取得しました。

2.フェイシャルエステによる心理状態の変化
フェイシャルエステによって、『心地よさ』、『幸福感』、『リラックス』といったポジティブな感情が高まり、『ストレス』や『疲れた』などのネガティブな感情が軽減することがわかりました(図2)。

唾液中にはストレスや感情に反応して増減する特定のタンパク質が存在しており、これらを測定することでその時の心理状態を評価することができます。本研究では、心地よさの指標としてオキシトシン※2、ストレスの指標としてコルチゾール※3を測定しました。その結果、フェイシャルエステ後にオキシトシンが増加し、コルチゾールが低下しました(図3)。
※2オキシトシン:心地よさを感じると分泌量が増加。
※3コルチゾール:ストレスが軽減すると分泌量が低下。

3.フェイシャルエステによる脳活動の変化
脳には異なる機能を持つ多くの領域があり、互いに情報のやり取りを行っています。この相互の連動性を「脳機能的結合」と言います。
フェイシャルエステ前後の脳機能的結合を解析※4した結果、フェイシャルエステによって海馬と島皮質、海馬と吻側前頭皮質の間でそれぞれの脳機能的結合が高くなることが明らかになりました(図4)。また、心理状態および海馬と島皮質の脳活動との関連について調べた結果、唾液中オキシトシン濃度と脳機能的結合に正の相関が、唾液中コルチゾール濃度と脳機能的結合に負の相関があることが確認されました(図5)。これらの脳領域は、身体の感覚情報を処理する際に働くほか、記憶の形成に関わることが報告されています。つまり、これらの脳領域の活動が、フェイシャルエステによる心地よい感情の喚起やストレス軽減に関与している可能性が考えられました。
※4データ解析は脳機能的結合を解析するためのソフトウェアであるCONNを使用。


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