Sansan、コロナ禍における企業の商談・人脈・顧客データに関する調査を実施
オンラインシフトに伴う名刺交換減少が引き起こす、1企業当たりの平均経済損失額は年間約21.5億円
Sansan株式会社は、仕事の上で商談をすることがある20代から60代の会社員、経営者・役員を対象に、企業の商談・人脈・顧客データ(注1)に関するウェブアンケート調査を実施しました。
ビジネスのオンラインシフトにより、顧客データを蓄積・管理・活用できなくなったビジネスパーソンが増加する一方で、顧客データへの意識と企業の業績見通しに一定の相関が見られることも判明。顧客データの情報源である名刺の交換枚数の減少がもたらす影響は、1企業あたり平均経済損失額が年間約21.5億円と推計されました。その業績への影響の大きさから、オンラインとオフライン双方の顧客の「名刺情報」を蓄積し、顧客データとして活用する「ハイブリッド顧客基盤」の構築の重要性が明らかになりました。
ビジネスのオンラインシフトにより、顧客データを蓄積・管理・活用できなくなったビジネスパーソンが増加する一方で、顧客データへの意識と企業の業績見通しに一定の相関が見られることも判明。顧客データの情報源である名刺の交換枚数の減少がもたらす影響は、1企業あたり平均経済損失額が年間約21.5億円と推計されました。その業績への影響の大きさから、オンラインとオフライン双方の顧客の「名刺情報」を蓄積し、顧客データとして活用する「ハイブリッド顧客基盤」の構築の重要性が明らかになりました。
(調査結果のポイント)
- 緊急事態宣言後、オンライン商談は2.5倍に増加し、一方で76.7%がオンライン商談におけるビジネス機会の損失を実感。
- 顧客データの蓄積・管理・活用ができなくなったビジネスパーソンはおよそ4人に1人。
- 顧客データの蓄積・管理・活用への意識が高い企業は、業績の見通しが良いことが判明。
- 顧客データを社員が活用できていると約5割の経営者・役員が答えた一方、経営層以外の現場社員で活用できていると答えたのはたった1割。現場社員の顧客データ活用の実態と経営層の意識の間に、深刻なギャップが発生。
- 仮に100名規模の企業の場合、オンラインシフトに伴う名刺交換減少が引き起こす経済損失額は年間約21.5億円と試算。顧客データの管理と利活用にどれだけの資源を割くかが、今後の企業経営を左右することが明らかに。
Sansanは、創業当初より企業経営を支える顧客基盤構築の基礎となる、名刺の管理サービスを展開しています。一方で、新型コロナウイルスの影響により、商談のオンラインシフトが加速する中、オンライン上での出会いもデータとして蓄積することが今後の継続的な企業成長には必要不可欠だと考え、今年6月より「オンライン名刺」機能の提供を開始しました。
当社ではオンライン名刺を活用することで、オンラインとオフライン双方の顧客の「名刺情報」を蓄積し活用する「ハイブリッド顧客基盤」の構築の重要性を提唱しています。そしてこの度、ビジネスパーソンの商談状況や、企業の顧客データ基盤の構築が新型コロナウイルスの流行によりどのような影響を受けたのか、実態を明らかにすべく調査を実施しました。
調査結果から、緊急事態宣言前後の名刺交換の減少枚数から、仮に100名規模の会社では、年間で約21.5億円の損失に及ぶと試算され、企業にとって無視できない大きな経営課題であることが判明しました。こうした、名刺交換の減少による顧客データの情報源の縮小による業績への悪影響が、当社が課題視している「顧客データ危機」という事象です。
■調査結果の解説
1.緊急事態宣言後、オンライン商談は2.5倍に増加
緊急事態宣言前後でオンライン商談は2.5倍に増加し、商談のオンラインシフトに伴い、名刺交換枚数は約3割減少したことが明らかになりました。一方で、オンライン商談の課題としては、50.2%が「対面よりも商談の質が下がる」、17.1%が「対面よりも受注率が下がる」と回答し、商談の質や受注率に影響が出ていることがうかがえます。その結果、「ビジネス機会損失が発生している/発生する不安を感じる」と回答した人は76.7%に上りました。
2. 顧客データの蓄積・管理・活用への意識が高い企業は、業績の見通しが良い
オンラインシフトによって、顧客データを蓄積・管理・活用できなくなったビジネスパーソンが、26.6%いることが分かりました。
また、顧客データに対する意識が高いビジネスパーソンが在籍する企業は、そうでない企業と比べてコロナ渦でも業績が良いという回答が1.6倍高く、今後1年間の業績の見通しも良くなるという回答が1.3倍高いことも明らかになりました。顧客データへの意識が高いビジネスパーソンが在籍する企業ほど、将来的な業績の見通しも良く、顧客データへの意識と業績見通しに一定の相関がある可能性を示しています。
3. 顕在化した、現場社員の実態と経営層の意識差
オンラインでも顧客データの蓄積・管理・活用をきちんとできていると回答した経営層以外の現場社員はわずか10.8%しかいないのに対し、自社の社員が、オンラインでも顧客データの蓄積・管理・活用できていると思っている経営層は46.5%もいることが明らかになりました。オンラインシフトにより、現場社員の実態と、経営層の意識との間に深刻なギャップが生じており、経営層が見えていなかった新たな経営リスクが浮き彫りとなる結果となりました。
4. 100名規模の企業の平均経済損失額は年間約21.5億円と推計
新型コロナウイルスの影響がなければ、本来行えるはずだったビジネスパーソン1人あたりの名刺交換は年間で約201枚であり、それを対象人数(注2)で乗じ、国内対象業種の年間総取引額(注3)を割った場合、名刺1枚あたりの経済的な価値は約37万円と推計されます。この数値を緊急事態宣言後に減少した平均名刺交換枚数・58枚で乗じ、年間の経済損失額を試算すると、常用雇用が100名以上いる企業の場合、1企業当たりの平均年間経済損失額は約21.5億円となりました。
(詳細の算出方法は、末尾掲載「参考資料」ご参照)
本調査の詳細については、以下よりご覧いただけます。
https://jp.sansan.com/form/survey_client-data/
■関西学院大学大学院経営戦略研究科・教授 岡田克彦様コメント
経営学の専門家に、顧客データ危機による経済損失規模の推計結果を報告し、重要な顧客データソースとなる名刺交換の重要性とそれに向き合う企業経営者の意識・対策などについて、コメントをいただきました。
「企業経営者の責務は言うまでもなく『企業価値の最大化』です。ここで言う『企業価値』とは何を指すのでしょうか。総資産と総負債の差分である純資産を企業価値ととらえる場合もあります。ただ、経営者が目標としているのは、マーケットによる企業価値評価の向上です。マーケットの投資家にとって、過去の実績を示す純資産の水準は参考情報に過ぎず、むしろ将来を示唆する様々な情報に敏感に反応しながら企業価値を判断しようとします。
さて、これからの時代を考えるとき、マーケットはどういう企業を評価するのでしょうか。20世紀の資源の中心は『原油』でしたが、21世紀では『データ』です。データをうまく利活用し、価値ある無形資産を創造する企業が、ますます評価される時代になるでしょう。以下のグラフに、全米企業の企業価値のうち無形資産の価値が占める割合(%)を示しています。論文からの引用であるためデータは2007年までですが、その後も無形資産の占める割合が急増しています。明らかにマーケットは、将来の大きな富の源泉は、特許、ネットワーク、ブランドなどの知的財産だと見抜いているのです。
今回、名刺交換の減少による『顧客データ危機』が引き起こす経済効果の推計結果を拝見しました。名刺交換の価値評価は厳密には難しく、これよりもずっと大きい可能性も否定できません。確実に言えるのはデータの世紀においては、企業は今後さらに重要になってくる無形資産である『顧客データ』の管理と利活用にどれだけの資源を割くかが自社の将来を左右するということです。
また、顧客データ管理意識の低い企業ほど業績見通しが悪いという結果については、学術的にはより多くのコントロール変数を用いた検証が必要なため性急に結論づけることはできませんが、データの世紀にデータ管理ができない企業が生き残るとは考えにくいですね。いずれにせよ経営者は時代が加速度的に変わっている事実を冷静に見つめ、時代にあった戦略を積極的にとるべきだと思います。」
※グラフは以下の論文より岡田氏作成Corrado and Hulten (2010), How do we measure a “Technological Revolution”? American Economic Review; Papers and Proceedings 100.
■専門家プロフィール
関西学院大学大学院経営戦略研究科・教授
岡田 克彦 博士(経営学)
Morgan Stanley, New York, Tokyo, UBS Tokyoを経てヘッジファンド運用会社Halberdier Capital Management, Singapore社を共同創業。2005年にアカデミアに転身後、AI研究者らと共に2011年、(株)Magne-Max Capital Management社を創業、現在CEO/CIO兼務。Magne-Max社では、関西学院大学、大阪大学、名古屋大学・国立情報学研究所の研究者とともに研究知見に基つくAI投資モデルを開発。当該モデルで公募・私募ファンドの運用助言をおこなう。行動経済学会常任理事、学術雑誌『行動経済学』『証券アナリストジャーナル』編集委員、証券アナリスト試験委員。
■調査概要
Sansan株式会社「企業の商談・人脈・顧客データに関する意識・実態調査(2020年)」
企画:Sansan株式会社
対象:商談をすることがある会社員600ss / 経営者・役員400ss 合計1000サンプル
地域:全国
期間:2020年9月5日~9月6日
(注1)「新規顧客・見込み顧客の開拓」や「既存顧客との関係性強化」に活用できるように、オンラインとオフラインのビジネスにおける顧客接点情報などを蓄積したもの
(注2)令和元年国勢調査(総務省)より、名刺を交換する比重の高い業種・職種を区分し、明らかに名刺交換機会の低い人口を除いた数値である約2190万人を使用して算出
(注3)平成28年度経済センサス-活動調査(経済産業省)より導いた1628兆円を使用して算出
■参考資料:100名規模の企業の平均経済損失額(年間約21.5億円)の算出方法
A.企業の年間損失額を試算するために必要な名刺1枚当たりの価値(¥/枚)
=B.対象業種の国内年間総取引額(¥)÷(C.対象人数(人)×D.一人当たりの年間名刺交換枚数(枚/人)
A.37万円 = B.約1628兆円 ÷ (C.約2190万人 ✕ D.約201枚)
※対象業種の国内年間総取引額(¥):「平成28年度経済センサス活動調査」から参照
※対象人数(人):「令和元年国勢調査就業状態等基本集計」内の名刺を交換する比重の高い業種・職種を区分し、明らかに名刺交換機会の低い人口を除いた、名刺交換機会のある人口の推計値」を算出
※一人当たりの年間名刺交換枚数(枚/人):今回の調査より年間の平均名刺交換枚数を算出
【対象人数(人)の算出方法 詳細】
E.企業の年間損失(¥/企業)=A緊急事態宣言前の名刺1枚当たりの価値(¥/枚)×F緊急事態宣言前後の名刺交換枚数差(枚)×G一企業の人数(人/企業)
E.約21.5億 = A.約37万円 ✕ F.約58枚 ✕ G.100人
※緊急事態宣言前の名刺1枚当たりの価値(¥/枚):上記の数式より算出
※緊急事態宣言前後の名刺枚数差(枚):今回の調査よりコロナ前後での名刺交換枚数の差を算出
※一企業の人数(人/企業):仮に100名規模の企業で全社員に平均値の交換枚数・交換枚数減少を当てはめた場合で計算
■参考文献
総務省統計局「令和元年国勢調査就業状態等基本集計」 (2020年)
経済産業省「平成28年経済センサス-活動調査」 (2018年)
経済産業省「企業等に関する集計 産業横断的集計 全国結果」 (2018年)
Sansan株式会社「企業の商談・人脈・顧客データに関する意識・実態調査 (2020年)」
(以上)
■Sansanについて
名刺管理から、働き方を変える「Sansan」
Sansanは、法人向けクラウド名刺管理サービスです。名刺をスキャナーやスマートフォンアプリで読み取るだけで、独自のオペレーションシステムによって名刺情報を正確にデータ化します。高度なAI技術により、企業内の人脈を管理・共有することが可能になるほか、社内の連携を促進する機能や顧客データを統合・リッチ化する機能を備え、ビジネスのはじまりを後押しする「ビジネスプラットフォーム」です。
■Sansan株式会社 会社概要
「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションとして掲げ、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」および個人向け名刺アプリ「Eight」を開発・提供しています。名刺管理を起点としたビジネスプラットフォームとして活用できるサービスを国内外で提供しています。
設立:2007年6月11日
URL: https://jp.corp-sansan.com
所在地:150-0001 東京都渋谷区神宮前5-52-2 青山オーバルビル13F
資本金:62億36百万円(2020年5月31日時点)
事業内容:クラウド名刺管理サービスの企画・開発・販売
法人向け「Sansan」 https://jp.sansan.com 個人向け「Eight」 https://8card.net
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像