第18回「地域ブランド調査2023」北海道が15年連続1位。札幌市は3年連続9度目の1位に
魅力度等主要項目の平均が前年比低下も依然高水準を維持
地域ブランド調査は、国内1,000の市区町村及び47都道府県の地域名称について、認知度や魅力度、イメージなど全89項目について質問し、各地域名称のイメージ形成や行動意向、評価等について明らかにする消費者調査です。調査はインターネットを通じて実施し、本年は全国の消費者34,117人から有効回答を得ました。調査は2006年から毎年実施しており、今年が18回目となります(都道府県の調査は2009年から15回目)。
今回の調査結果では、2021年から上昇していた「魅力度」をはじめとした各項目の平均点が県・市共に低下しました。ただし、2020年以前と比較すると、依然として各項目の平均点は高い水準を維持しています。
調査結果の特徴は以下の通りとなります。
北海道は20代で魅力度が低下
今回の調査では北海道が15年連続で魅力度1位となったが、その点数は2021年の73.4点から徐々に低下している。その原因の一つは、20代からの評価が低下していることがあげられる。20代が北海道を「とても魅力的」と答えた人の割合は2023年は49.9%で、2022年の54.6%、2021年の68.0%より大きく低下している(図3)。その結果、20代による今回の魅力度は63.3点で、前年の70.0点、2021年の77.9点より大幅に低下してしまった。
この傾向は市区町村で3年連続1位となった札幌市も同様で、今年は60.0点、2022年は62.4点、そして2021年は67.2点と年々低下している。
その原因の一つとして考えられるのは「食事がおいしい」「地元産の食材が豊富」の北海道のイメージが、20代において低下していること。嗜好や興味が多様化する20代に、「北海道産」というだけでは満足されなくなってきている可能性がある。
県・市ともに主要項目の平均点が低下
魅力度の点数が低下したのは、北海道だけではない。今年度の結果では、魅力度をはじめ、主要な調査項目の平均点は、都道府県、市区町村共に前年度と比較して低下する傾向がみられた。魅力度は都道府県の平均が27.2点で前年から0.5点、市区町村の平均が10.9点で前年から0.3点低下している。
その他の項目では、それぞれの地域名を認知しているかを問う「認知度」が都道府県、市区町村ともに平均点が低下しているほか、各地を訪れてみたいかどうかの行動意向を問う「観光意欲度」も、都道府県平均が42.5点で前年から1.2点低下。市区町村平均も21.8点で0.6点低下している(表4)。
このように、各項目の平均点は前年と比較すると低下がみられた。しかし、より長い期間で比較すると、2020年以前よりはすべての指標で高くなっている。例えば魅力度の都道府県平均は2020年は21.5点、2019年は20.9点となっており、地域の魅力が低下しているとは限らない。
属性別結果にみる各県の傾向
47都道府県の魅力度の結果を、回答者の年代と居住地による違いを分析し、それぞれの都道府県に魅力を感じる人の特徴が明らかになるように図形化してみた。
図5は、横軸には年代別分析の結果、すなわちプロット位置が右側にあるほど高年齢層からの評価が高く、左に位置するほど若年層からの評価が高いことになる。
縦軸は、その都道府県に魅力を感じる人がある特定の地域(多くは自県が位置するエリア)からの評価が高い場合は上に、偏りが小さい場合は下にプロットされる。
例えば福岡県は九州地域からの評価が極めて高く、大阪府は若年層からの評価が高い。沖縄県は若年層からも高く、地域に偏りなく全国から満遍なく評価を受けている。そして奈良県は高齢者層からの評価が高いことになる。
それぞれの地域が他の県と比較してどのような特徴があるかを把握するとともに、経年でどのような変化があったかを分析することで、地域特性の把握が可能となる。
北広島市(北海道)の各項目が急上昇
今年、市区町村で最も魅力度の点数が上昇したのは北広島市(北海道)となった。同市は前年の7.8点(474位)から12.9点(289位)と5.1点上昇。他の項目では認知度や情報接触度といった地域名の周知性に関する項目も上昇しており、調査項目・地域の特性想起「プロスポーツチームや選手」は6.4%から18.3%と11.9ポイントも上昇している。同市では他にも観光意欲度が上昇している(表7)。
<調査内容>
「地域ブランド調査2023」は、ブランド総合研究所が年1回実施している調査で、2006年にスタートし、今回が第18回目。調査対象は全792市(2023年4月末現在)と東京23区、および地域ブランドへの取り組みに熱心な185の町村を加えた計1000の市区町村、そして47都道府県です。各地域に対して魅力度など全89項目の設問を設け、地域のブランド力を、消費者が各地域に抱く「魅力」として数値化しました。
<調査概要>
・ 調査方法 インターネット調査
・ 回答者 20代~70代の消費者を男女別、各年代別、地域別にほぼ同数ずつ回収し、
日本の縮図になるように、年齢や地域人口の分布にあわせて再集計した。
・ 有効回収数 34,117人(一人の回答者に対して市区町村の調査票では20地域、
都道府県については15または16地域を提示し、それぞれについて回答してもらった。
なお、地域ごとの回答者数は都道府県は平均で1,078人、市区町村は平均で618人)
・ 調査対象 全国1,000の市区町村(全792市+東京23区+185町村)と47都道府県
・ 調査時期 2023年6月20日~7月3日
・ 調査項目 認知、魅力、情報接触、観光意欲、居住意欲、情報接触経路(「旅やグルメに関する番組」など14項目)、地域コンテンツの認知(「海・山・川・湖などの地理的名称」など17項目)、訪問経験(「行楽・観光のため」など6項目)、地域資源評価(「街並みや魅力的な建造物がある」など17項目)、地域の特性(「歴史・文化のまち」など14項目)、地域イメージ(「あこがれる」など14項目)、産品想起率(食品、非食品をそれぞれ自由記述) の計89項目
<ブランド総合研究所の会社概要>
ブランド総合研究所は、地域ブランドに関する調査とコンサルティングを行う専門企業です。代表取締役の田中章雄は地域ブランドの提唱者として全国各地で地域ブランドに関する講演を行っているほか、地域ブランドアドバイザーとして弊社コンサルタントスタッフと総力をあげて、全国各地の地域の活性化に取り組んでいます。
・ 本社 東京都港区虎ノ門1-1-20
・ 代表取締役 田中章雄
・ 資本金 2500万円
・ 設立 2005年11月
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