〈2025年度第4回 中小企業経営実態調査〉GX認知は3割以下、64.3%が未着手

4月開始の排出量取引(GX-ETS)を前に中小企業の対応遅れが浮き彫りに

フォーバル GDXリサーチ研究所

 Green(グリーン)とDigital(デジタル)を活用した中小企業の変革を目指すフォーバル GDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区、所長:平良学)は、中小企業を対象にした「2025年度第4回 中小企業経営実態調査」を実施しました。

 2026年4月、温室効果ガスの排出量に価格を付ける排出量取引制度(GX-ETS)が開始されます。制度の対象は主に一定規模以上の排出事業者とされていますが、サプライチェーン全体での対応や取引先からの要請などを通じて、その影響は中小企業にも及ぶ可能性があります。一方で、本調査では中小企業のGXに関する認知は依然として十分とは言えず、「知らない」「聞いたことはあるが、よく知らない」とする企業が70.3%を占め、64.3%が取り組めていない実態が明らかになりました。排出量の測定や情報開示といった取り組みも一部にとどまっています。本レポートでは、こうした制度環境の変化を前に、中小企業におけるGXの認知度や取り組み状況、具体的な実践内容、ならびに推進における課題について整理し、その実態を明らかにしました。

【調査結果サマリー】

①GX認知は3割以下と低迷。依然として「優先度・必要性」の低さが着手の障壁に。

 取り組まない理由は「他に優先すべき課題がある」が最多。DXに比べ経営課題としての認識が遅れている可能性がある。

②GXの取り組みを進めるうえでの課題は「効果測定の難しさ」と「リソース不足」。

 自社完結を超えた環境整備が必要。専門人材や予算の確保に加え、サプライチェーン全体を視野に入れた横断的な連携体制の構築が不可欠。

③取り組みが進んでいる企業ほど効果を実感。8割超が今後の推進に前向き。

 事業改革まで進んだ企業の66.7%が「注力し推進する」と回答。実践が意欲を高める好循環を生む

【アンケート概要】

・調査主体   :フォーバル GDXリサーチ研究所

・調査期間   :2026年1月14日~2026年2月13日

・調査対象者  :全国の中小企業経営者

・調査方法   :ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析

・有効回答数  :1,647人

本リリースの調査結果をご利用いただく際は、必ず【フォーバル GDXリサーチ研究所調べ】とご明記ください。

Q1. GXの認知度と取り組み度合い(n=1,647, n=999)

Q2. GXの取り組みを行っていない理由(n=642)

 GXの認知度に関する調査結果では、最も多かったのは「知らない」(39.3%)であり、続けて多かった「聞いたことはあるが、よく知らない」(31.0%)を合わせると、70.3%の中小企業がまったく、またはほとんど認知していないことがわかりました。また、GXへの取り組み度合いについては6割以上が「取り組めていない」と回答し、【ステップ2】以上の取り組みを行う中小企業は1割にも届きませんでした。

 GXの取り組みを行っていない理由として最も多かったのは「他に優先すべき課題があり後回しとなっているから」(回答企業中・42.8%)であり、群を抜いて多く、回答数が2番目に多かったのは「取り組みの必要性を感じていない」(同・29.3%)でした。

 DXでは「進め方がわからない」「専門人材がいない」などの、実行面での課題が上位※となっていたのに対し、GXでは「優先度」や「必要性の認識」などが上位となりました。DXの取り組みを行っていない理由と比較すると、GXは現時点で、多くの中小企業にとって優先すべき経営課題とは位置付けられていないことが推察されます。

 GXを推進する中小企業を増やすためには、経営課題との関連性やその重要性をいかに認識し、具体的な取り組みに落とし込めるかが鍵になると言えるでしょう。

※ブルーレポート「中小企業のGDX・ESG推進戦略<1>~DXの認知度、取り組み、効果~」

https://www.forval.co.jp/consulting/pdf/bluereport_202603.pdf

Q3. GXの取り組みを進めるうえでの課題(n=357)
では、GXの取り組みを進めるうえで、何が障害になっているのでしょう。最も多い理由は「成果や効果の測定・評価が困難」(29.4%)、さらに「必要な予算・投資の確保の難しさ」(29.1%)、「専門性の高い人材不足」(22.7%)となりました。また、「現場の理解不足と協力体制の欠如」(20.2%)、「既存の仕組みやルールからの脱却の難しさ」(18.8%)などの、実行段階における課題があることがわかりました。

 GXの推進においては、予算や人材などの経営資源の確保に加え、効果の可視化や評価指標の整備が大きな課題となっています。GXは環境対応という性質上、効果を定量的に把握しづらく、投資判断の難しさにつながっている可能性があります。また、GXは自部門、自社だけで完結する取り組みではなく、調達・生産・物流などの各部門に加え、取引先やサプライチェーン全体を視野に入れた対応が求められる場合もあります。

 そのため、社内の横断的な連携体制や、取引先との情報共有・協力体制が十分でない場合には、取り組みの推進が容易ではない状況が生じやすいのです。したがって、GXを実効性ある取り組みとするためには、単なる資金的支援にとどまらず、効果測定の基準や指標の明確化、部門横断的な推進体制の構築、さらには取引先を含めた連携の枠組みづくりといった具体的な環境整備が重要になると考えられます。

Q4.今後の推進について(n=357)
Q5.今後の推進について×GXの取り組み度合い(n=357)

 すでにGXに取り組んでいる企業に対し、今後の推進意向について聞いたところ、「大幅に注力し、推進する」が5.6%、「やや注力し、推進する」が29.7%、「現状の取り組みを維持する」が53.2%となり、現状維持を含めて88.5%の企業が、今後もGXを継続する意思を示していました。ただ、最も多い回答が「現状の取り組みを維持する」であり、GXは現時点では積極的に拡大するというよりも、現状維持を軸に慎重に継続する段階にあるといえます。

  GXの取り組み度合いのステップ別に見ると、ステップが進むほど「大幅に注力し、推進する」、「やや注力し、推進する」の回答合計の割合が高まる傾向が見られました。具体的には、「ステップ1(意識改革:GXに向けた省エネ推進)」では30.9%、「ステップ2(情報開示:温室効果ガス排出量と削減施策の情報開示)」では51.9%、「ステップ3(事業改革:事業戦略の再構築・新規事業創出)」では66.7%と段階的に上昇していました。GXもDXと同様に、実践を通じて意義や効果を実感するほど、さらなる推進意欲が高まる構造にあると考えられます。

フォーバル GDXリサーチ研究所所長

平良 学(たいら・まなぶ)

■経歴

1992年、株式会社フォーバルに入社。九州支店での赤字経営の立て直し、コンサルティング事業の新規立ち上げ、

全体統括を経て、2022年に新たに発足した中立の独立機関「フォーバルGDXリサーチ研究所」の初代所長に就任。

中小企業経営の実態をまとめた白書「ブルーレポート」の発刊、全国の自治体と連携し、地域の中小企業経営者に向けたDX、GXの講演、中小企業経営者向けのイベントの企画などを通じて、中小企業のGDXを世に発信している。

■コメント

 GXは単なる環境対策にとどまらず、省エネや脱炭素に向けた施策を通して持続可能な経営体制の構築を図り、同時にコスト削減や売上増加、信用力アップを獲得する「変革に向けた取り組み」と捉えることができます。そのメリットには、光熱費や燃料費の削減に加え、外部評価の向上による資金調達や新たなビジネス機会の創出も含まれます。推進には多くの経営資源が必要なため躊躇する企業も多いでしょうが、GXは日本経済の成長戦略のひとつであり、中小企業にとってもその重要性はますます大きくなると予想されます。

 

 まずは社会全体でその必要性を共有し、各企業においては「何のために取り組むのか」という目的を組織全体に浸透させることが不可欠です。中長期的な視点でGXを捉え、自社の競争力を高める手法として認識を深める必要があります。本レポートが、中小企業の皆様にとってGXへの取り組みを加速させる一助となれば幸いです。

■フォーバル GDXリサーチ研究所とは

 日本に存在する法人の99%以上を占める中小企業。この中小企業1社1社が成長することこそが日本の活力につながります。中小企業が成長するための原動力の1つにGreen(グリーン)とDigital(デジタル)を活用し企業そのものを変革するGDX(Green Digital transformation)があります。

 フォーバルGDXリサーチ研究所は、中小企業のGDXに関する実態を調査し、各種レポートや論文、報告書などをまとめ、世に発信するための研究機関です。「中小企業のGDXにおける現状や実態を調査し、世に発信する」をミッションに「中小企業のGDXにおいてなくてはならない存在」を目指し活動していきます。

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会社概要

株式会社フォーバル

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URL
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業種
情報通信
本社所在地
東京都渋谷区神宮前 五丁目52番地2号 青山オーバルビル14階
電話番号
03-3498-1541
代表者名
中島 將典
上場
東証スタンダード
資本金
41億円
設立
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