日立、次世代AIデータセンターの電力消費量を低減するGPU冷却用コールドプレートを開発

GPUを効率的に冷却し、デジタルサービス「HMAX Data Center」と連携することで、データセンターの安定運用に貢献

株式会社 日立製作所

 株式会社日立製作所(以下、日立)は、生成AIの普及に伴い増大するデータセンターの電力消費量を低減するGPU*1冷却用コールドプレート*2を開発しました。AIデータセンターでは、サーバー内のGPUから発生した熱をコールドプレート内の冷却液で回収し、ポンプやチラー*3、冷却塔などを介して外気へ放出しています(図1)。GPUの高発熱化と搭載数の増加に伴い、回収した熱を外部へ放出するための冷却設備の負荷も高まり、電力消費量も増大していきます。

 今回試作したコールドプレートでは、GPU面に沿って冷却液を流す従来構造に対し、冷却液をGPUの発熱部へ向かって流す独自の「U字トンネル流路」構造を採用しました(図2)。この構造では、数千本の微細な流路を多並列に配置することで、GPU近傍から大量の熱を素早く回収できます。冷却液は、発熱部で熱を吸収した後、U字型に折り返して出口へ流れるため、冷たい冷却液と温まった冷却液が混ざらず、常に高い冷却性能を維持できます。これにより、従来より高い温度の冷却液でもGPUを効率的に冷却できるため、外気との温度差を生かして効率よく放熱できることから、冷却に必要な電力を30%削減できる見込みを得ました*4。

 今後、日立は、今回開発したコールドプレートを起点に、冷却システムの統合制御と組み合わせることで、デジタルサービス「HMAX Data Center」*5の効果を引き出す冷却技術の一つとして発展させていきます。データセンターの高効率化と安定した運用により、持続可能なデジタル社会インフラの構築に貢献します。

図1 AIデータセンターにおける冷却全体像(イメージ)
図2: GPU冷却用コールドプレート試作品と独自のU字トンネル流路の模式図

*1 GPU:Graphics Processing Unitの略。特にAI学習で膨大な行列計算を何度も繰り返す際に必要な並列演算処理装置。

*2 コールドプレート:半導体などの発熱部品に接触させ、内部に流す冷却液で熱を回収する冷却部材。

*3 チラー:冷凍サイクルにより冷却液から熱を回収し、外部へ放出する装置。

*4 特定地域のデータセンターとその外気温度を仮定し、大気への放熱を促す設備の稼働率の変化から算出した値。条件により結果は異なる。

*5 データセンターインフラの統合運用を実現するソリューション「HMAX Data Center」を提供開始:日立

背景および課題

 生成AIの急速な拡大に伴い、GPUを大量に搭載したデータセンターが増加し、GPUの冷却は運用品質と電力効率を左右する重要な要素となっています。データセンターでは、GPUで発生した熱をコールドプレート内の冷却液で回収し、チラーや冷却塔などを用いて外気へ放出するため、GPUの演算だけでなく冷却設備でも多くの電力が消費されます。

 近年では、45℃程度の冷却液を用いる高温水冷却への期待が高まっています。高温の冷却液を使えれば、外気との温度差を生かして効率よく放熱できることから冷却電力の削減が期待できます。ただし、高温水冷却では、冷却液がコールドプレート内で過度に温まる前に発熱部に届くことが重要です。従来のコールドプレートでは、冷却液をGPU面に沿って流す構造が一般的であり、流路後半になるほど冷却液の温度が上昇するため、発熱部へ低温の冷却液を均一に供給しにくいという課題がありました。

 また、GPUからより多くの熱を回収するには、流路を細かく分離して伝熱面積を増やす必要があります。しかし、流路を細かくすると冷却液が流れにくくなり、圧力損失*6も増加するため、冷却液を循環させるポンプ動力も大きくなるという課題がありました。

*6 圧力損失:液体が流路を通る際に生じる圧力の低下。大きいほど液体を流すための動力が増える。

課題を解決するために開発した技術の特長

 そこで日立は、高温水冷却に必要な冷却性能を確保しながら、圧力損失を抑えることで、データセンターの電力消費量を低減するGPU冷却用コールドプレートを開発しました。今回開発したコールドプレートの特長は以下の通りです。

1. 冷却液をGPU発熱部へ直接届けるU字トンネル流路

 開発したU字トンネル流路では、入口に供給された冷却液を、GPU発熱部近傍へ向かって流します。冷却液は、GPU発熱部近傍へ到達し、熱を回収した後にUターンして流路の出口から排出します。入口側の冷却液と、熱を回収して温まった出口側の冷却液を分離することで、冷却液の混合による冷却性能の低下を抑制し、GPUの効率的な冷却を実現しました。

2. 数千本の微細な流路を多並列に配置し、冷却性能と圧力損失低減を両立

 本構造では、冷却液をGPU面に沿って流す従来構造ではなく、GPUの発熱部に向かって厚み方向に流す構造を採用しました (図3)。1本あたりの流路を短くし、冷却液が流路内で受ける摩擦を抑えることで、圧力損失を低減できます。さらに、数千本の微細なU字トンネル流路を多並列に配置することで、限られたコールドプレートサイズの中でも従来と比べ流路断面積を確保できるため、冷却液を流しやすくしながら、高い冷却性能と低圧力損失の両立を実現しました。

図3 従来構造と本開発構造の比較

確認した効果

 試作したコールドプレートを用いた実測では、冷却液流量4 L/minの条件で、熱抵抗0.011 K/W*7, 8、圧力損失27.6 kPaとなり、従来構造に対して、同じ冷却動力*9でより高い冷却性能が得られることを確認しました。

 本技術により、従来に対し高い温度の冷却液でもGPUを所定温度以下に冷却できるため、GPUから回収した熱を外気へ放出しやすくなります。これにより、外気を積極的に活用し放熱できる期間を年間を通じて拡大できます。東京など代表的な都市の外気温度条件を用いて、年間のチラー稼働率の変化を試算した結果、GPUから回収した熱を外気へ放出するために必要な冷却電力を30%削減できる見込みを得ました。

*7 熱抵抗:熱の伝わりにくさを示す値であり、数値が小さいほど冷却性能が良いことを示す。本ニュースリリースでは、発熱体表面と冷却液出口の温度差を発熱量で除した値と定義する。

*8 負荷となるGPU発熱を数kWと仮定した場合の、冷却性能の目標値

*9 冷却動力:冷却液流量と圧力損失を乗算した値

今後の展望

 日立は、GPU冷却用コールドプレートを起点に、ポンプ、チラー、配管を含む冷却設備全体の高性能化を進め、これら冷却設備とデジタルサービス「HMAX Data Center」を連携し、運用効率の向上技術の一つとして発展させていきます。さらに、One Hitachiのもと、IT×OT×プロダクトの強みと、データやデジタル技術による機器運用最適化と組み合わせることで、データセンターの高性能化と高効率化の両立を進め、持続可能なデジタル社会インフラの構築に貢献していきます。

 なお、本成果の一部は、2026年10月26日から29日に米国サンディエゴで開催される米国機械学会(ASME)が主催するInterPACK2026で発表予定です。

商標注記

記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。

日立製作所について

 日立は、IT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業(SIB)を通じて、社会インフラをデジタルで革新し続けるグローバルリーダーをめざし、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献します。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズの4セクターに加え、新たな成長事業を創出する戦略SIBビジネスユニットの事業体制でグローバルに事業を展開し、Lumadaをコアとしてデータから価値を創出することで、お客さまと社会の課題を解決します。2025年度(2026年3月期)売上収益は10兆5,867億円、2026年3月末時点で連結子会社は606社、全世界で約29万人の従業員を擁しています。詳しくは、www.hitachi.com/ja-jp/をご覧ください。

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業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区丸の内一丁目6番6号
電話番号
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代表者名
德永 俊昭
上場
東証プライム
資本金
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設立
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