『美術手帖』創刊70周年記念「第16回芸術評論募集」入選作が決定
『美術手帖』創刊70周年を記念して開催された「第16回芸術評論募集」の選考結果が発表。椹木野衣、清水穣、星野太の三氏による選考の結果、次席にウールズィー・ジェレミー、北澤周也、佳作に大岩雄典、沖啓介、はがみちこ、布施琳太郎が選出された。第一席は該当なし。
『美術手帖』創刊70周年を記念し、5年ぶりに開催された「第16回芸術評論募集」。2018年9月から19年1月まで公募を行い、椹木野衣、清水穣、星野太の三氏による選考を経て、4月22日に入選6作品が発表された。
入選作は、次席がウールズィー・ジェレミー「インターネット民芸の盛衰史」と北澤周也「東松照明『日本』(一九六七年)と「群写真」─社会化された自由な「群れ」─」の2作品、佳作が大岩雄典「別の筆触としてのソフトウェア──絵画のうえで癒着/剥離する複数の意味論」、沖啓介「Averages 平均たるもの エドワード・ルシェから始める」、はがみちこ「『二人の耕平』における愛について」、布施琳太郎「新しい孤独」の4作品。第一席は該当なしだった。
「芸術評論募集」は1954年に月刊『美術批評』の「新人評論募集」として創設。第2回以降は『みづゑ』『美術手帖』『国際建築』『デザイン』各誌の連動のもと、第8回以降は『美術手帖』を媒体に、評論家の登竜門として多数の才能を発掘してきた。これまでの入賞者には東野芳明、中原佑介、松本俊夫、李禹煥、谷新らが名を連ね、前回となる第15回では第一席にgnck、次席に塚田優、佳作には井上幸治、勝俣涼、中尾拓哉が選出されている。
5年ぶりの開催となった今回は、2018年9月から19年1月まで公募を実施。前回の69件を大きく上回る112件の論考が寄せられ、椹木野衣、清水穣、星野太の三氏による厳正な選考が行われた。次席に選出されたウールズィー・ジェレミー「インターネット民芸の盛衰史」は、匿名の作者によるインターネット上の制作物「ミーム」をとりまく展開について、柳宗悦の提唱した「民藝」を参照しながら考察する内容。また、北澤周也「東松照明『日本』(一九六七年)と「群写真」─社会化された自由な「群れ」─」は写真家・東松照明の作品における「群」という概念に着目、新たな視点から分析し、さらに戦後日本の社会状況につなげて論じた。
次席の2作品は審査員による選考座談会とともに5月7日発売の『美術手帖』6月号誌上にて、また佳作を含む6作品は「ウェブ版美術手帖」にて全文掲載される。なお、授賞式は5月10日に日本出版クラブホール(神保町)で開催予定。
[「芸術評論募集」公式サイト]http://hyoron.bijutsu.press/
[お問い合わせ]株式会社美術出版社 芸術評論募集事務局(03-6809-0542)
すべての画像