第3回TCFD現状報告レポート:一定の進展が示されたものの、気候関連情報開示の拡大と透明性の向上が必要であることが明らかに

TCFDが実施ガイダンスを公開し、さらに、将来予測測定基準について意見を募るパブリックコメントの募集を開始

ニューヨーク・2020年10月29日-金融安定理事会(FSB)により設立された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は本日、2020年版現状報告レポート(2020 Status Report)を提出しました。人工知能(AI)技術を用い1,700社の企業報告書を調査した結果、2017年にTCFD提言を公表して以来、提言に基づいた気候関連の財務情報開示が、着実に増加していることが明らかになりました。最も大きく増加したのは、企業による気候関連リスクの特定・評価・管理の方法に関する情報開示です。さらに、気候リスクによる影響を最も受けると考えられる業種で、TCFD開示が最高水準に達しています。
現在までに、1,500社以上の企業・機関がTCFD提言への賛同を表明しており、2019年版現状報告レポートの公表時点と比べ、85%以上増加しました。このような急速な進展にも関わらず、2020年版現状報告レポートでは、レポーティングの一貫性や比較可能性が喫緊の課題として要望されていることからわかるように、TCFD提言に沿った開示水準が向上することへの継続的なニーズが指摘されています。特に、気候変動が企業の事業や戦略に与える潜在的な財務的影響の情報開示は、依然として少ない状況です。

TCFDの議長を務め、ブルームバーグL.P.およびブルームバーグ・フィランソロピーズの創設者であるマイケル・R・ブルームバーグは、次のように述べています。「新型コロナウイルスによる打撃を受け、政府や企業が取り組んでいる対策は、より、強くて復元力のあるサステナブルな経済を構築する好機でもあります。そして、透明性や情報開示といった要素は、重要な役割を担っています。より多くの企業が気候変動に関連した自社のリスクや機会を把握し、投資家がより多くの情報にアクセスすることができれば、より適切にリソースを配分し、進展を加速させていくことができるようになります。つまり、本レポートで説明しているように、TCFD提言に沿った開示を実施している公共セクターや民間セクターの先進的な企業を見て、学ぶべきなのです」

その他にも、企業の開示情報、開示情報利用者から得たインサイト、その他のリサーチをTCFDが精査した結果、主に以下の状況が明らかになりました。
  • TCFD提言全体の平均で見ると、2019年には、時価総額が100億ドルを超える企業の42%が、各TCFD提言に沿って少なくとも一部の情報を開示しました。さらに、戦略や気候関連の測定基準に関するTCFD提言では、これらの企業の特定の情報の開示水準が50%を超えていました。
  • 世界最大手の上場企業100社のうち、60%近くがTCFDへの賛同を表明している、もしくはTCFD提言に沿った報告書を提出しています(その両方に該当する場合も含む)。
  • エネルギー企業および素材・建設企業が情報開示において他をリードしており、TCFD提言に基づいた2019年度の開示率では、エネルギー企業で平均40%、素材・建設企業で30%でした。
  • 開示情報を使用する投資家らは、企業の事業や戦略に及ぼす気候変動の影響を、財務上の意思決定において「最も役立つ」情報とみています。
  • 資産運用会社やアセットオーナーからの顧客および受益者への報告が十分に行われていない可能性があります。
  • 本レポートでは、意思決定に最も役立つ開示情報利用者からのインサイトを明らかにすることにより、情報を開示する企業・機関が具体的に何をいつまでにすべきかを示すロードマップも提供しています。

TCFD特別アドバイザーで、ブルームバーグL.P.のグローバル公共政策副会長を務めるメアリー・シャピロは次のように述べています。「投資家たちは、投資対象企業からの気候関連の情報開示をますます要求するようになっており、こうした要求が金融セクター・非金融セクターの双方において、TCFD提言を推し進めるグローバルな勢いを生み出しています。私たちは、このような情報開示において、質と一貫性を向上させるための基盤を提供しています。また、セクターや管轄区域にとらわれることなく標準化されたアプローチを促進するためにも役立つものです。企業や投資家には、TCFDが提供しているツールを活用して情報開示を加速させることを期待しています」  

FSBのランダル・クオールズ議長は次のように述べています。「TCFD提言は、世界中の企業の気候関連財務情報開示における一貫性の向上をサポートし、市場の断片化を防ぐことに役立ちます。本レポートは、TCFD提言に賛同し採用する動きの急速な拡大を示す一方で、より一貫して持続性のある開示に向けた課題に対処するための提案もしています」

企業の情報開示を支援するため、TCFDは本レポートの公表と併せて以下の2つのガイダンス資料を公開します。
  • 気候関連のシナリオ分析に関するガイダンス
  • 気候関連リスクを既存のリスク管理プロセスに統合し、プロセスを開示するためのガイダンス

また、TCFDは、金融セクターにおける将来予測測定基準に関するご意見を受け付けています。本日の意見募集に関する文書の開示から、2021年1月27日までの90日間をパブリックコメント募集期間とします。

TCFDへ賛同する1,500社もの組織・団体には、企業、金融機関、政府などが含まれます。賛同を表明している企業の時価総額は合計で12兆6,000億ドルに達し、賛同する金融機関の預かり資産は150兆ドル近くに上ります。

2020年版現状報告レポートの全文、ガイダンス資料、コンサルテーション・ドキュメントは、TCFDのウェブサイトでご覧いただけます。次回TCFD現状報告レポートのFSBへの提出は、2021年9月となる予定です。 

TCFD賛同者としての参加に関する詳細は、TCFDウェブサイト(https://www.fsb-tcfd.org/)をご覧ください。その他の資料は、TCFDナレッジハブ(https://www.tcfdhub.org/)をご覧ください。

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)について
2015年12月4日、金融安定理事会(FSB)は、マイケル・R・ブルームバーグを議長として、産業界主導による気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)を設立しました。TCFDには現在、4名の副議長、26名の参加メンバー、および1名の特別アドバイザーで構成されます。TCFDは、企業が貸し手、保険会社、投資家をはじめとするステークホルダーに情報を提供する際に利用できる、一貫性した自発的な気候関連財務情報開示の策定を要請され、2017年6月29日にTCFD提言報告書を公表しました。TCFDに関する詳細はこちら(www.fsb-tcfd.org)をご覧ください。
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