LIXIL、住まいをしっかりと「断熱」することが、健康や大切な家族への危険から守ることを改めて実証【ヒートショック予防啓発活動】

~ 慶應義塾大学 伊香賀研究室との共同実験をスタートし、断熱性能の違いが、血圧、心拍数、皮膚温に影響を及ぼすことを検証 ~

株式会社LIXIL

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、リモート社会へと世の中が一気にシフトし、自宅で過ごす時間がかつてないほどに増加する中、おうち時間をいかに健康・快適・安心・安全に過ごしていくのかについて関心が高まっています。

  

LIXILでは「水の保全と環境保護」(https://www.lixil.com/jp/sustainability/approach/)をコーポレート・レスポンシビリティにおける優先取り組み分野の一つとして位置づけ、その活動の一環として、“室内温度”に着目し、省エネかつ健康・快適な暮らしを実現するために住まいでできることを、学びや体感を通じてお客さまとともに考え取り組む「THINK HEAT~考えようヒトと地球にやさしい温度~」(https://www.lixil.co.jp/minnadesmileecopj/thinkheat/)を推進しています。

 


 「THINK HEAT」はこの度、気候変動の緩和及び気候変動への適応に顕著な功績のあった個人又は団体に対し、その功績をたたえる環境省主催の「令和2年度気候変動アクション 環境大臣表彰(普及・促進部門 緩和・適応分野)」を受賞しました。

 


 そこで今回は、これからの寒い季節を迎えるにあたり、改めて“室内温度”に注目し、ニューノーマル時代の健康で快適、安心、安全な暮らしを支えるポイントを考えます。

■ 住まいに潜むヒートショックの危険性
 これから冬を迎えるにあたり、家で過ごす時間が長くなることで、ヒートショックのリスクがより増大すると考えられます。ヒートショックとは、暖かい部屋と寒い部屋との温度差で血圧が乱高下し、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす危険のことです。
 このヒートショックは、実は室内において危険が潜んでおり、ヒートショックが要因のひとつで入浴中に亡くなられる方は年間約19,000人(※1)もいると推計され、交通事故死亡者数の約4倍(※1)にのぼります。ヒートショックのリスクを軽減するためには、浴室や脱衣所、廊下やトイレなど寒い空間をしっかり「断熱」して、リビングなどの暖かい部屋との温度差を少なくすることが大切です。

※1 出典:平成29年(2017年)1月25日 消費者庁ニュースリリース「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故にご注意ください!」、警察庁「平成25年中の交通事故死者数について」。入浴中の死亡者数の出典と同年度の交通事故死者数を使用(令和元年(2019年)年間交通事故死亡者数は3,215人)

■ 住まいの「高断熱化」の必要性
  一般の住宅において熱の出入りが最も多いのが窓などの開口部です。冬に暖房をしていても、約6割(※2)の熱が開口部から逃げていってしまうのです。冬でも暖かい家にするためには、まず窓や外壁、屋根や床をしっかり「断熱」して、熱の流出を抑えることが大切です。しっかり「断熱」された家は魔法瓶のような効果を発揮します。暖房の効きが良くなるため、冬の朝の冷え込みや足元のヒンヤリ感を軽減。部屋の上下温度差も解消されて、すみずみまで健康で快適、省エネな室内空間が実現できます。

※2 出典:(一社)日本建材・住宅設備産業協会 省エネルギー建材普及促進センター『省エネ建材で、快適な家、健康な家』より

■ 慶應義塾大学 伊香賀研究室との共同実験スタート
  LIXILは、慶應義塾大学 伊香賀研究室と共同で、「住宅の断熱性能が血圧・心拍・皮膚温に及ぼす影響に関する被験者実験」を2020年2月より行い、論文を発表しています。寒冷環境下では、深部体温を保とうとするため、血管を収縮し、血液量を減少させて、深部に戻る冷たくなった血液量を減らします。特に四肢では放熱の調節を行うため、寒冷曝露の影響を受けやすく血管収縮が進行します。これにより血圧が急上昇し、さらに血圧上昇を抑えようと心拍数が低下する事で、ヒートショックなど循環器疾患(脳梗塞・くも膜下出血・心筋症等)発症のリスクが高まります。

  この研究では、寒冷環境への短時間の曝露が皮膚温や血圧、心拍に及ぼす影響を検討するため、断熱性能の異なる3つの部屋を持つLIXILの「住まいStudio」(https://www.lixil.co.jp/s/sumai_studio/)を活用して、40~60代男性3名(2020年3月時点)を対象に被験者実験を行いました。
  「住まいStudio」は、住宅の断熱性能の違いによる冬の室内温度の感じ方、夏の強烈な陽射しの対処方法など、一年を通じて快適な暮らしを送るために必要なことを学んでいただける体験型ショールームです。

 「Studio -冬-」では、施設内に冬を想定した環境条件を再現し、「昔の家(省エネルギー基準:昭和55年基準)」、「今の家(省エネルギー基準:平成28年基準)」、「これからの家(HEAT 20 G2)(※4)」を設置し、居間の暖房室だけでなく、廊下・トイレの非暖房室においても、室内環境の違いを体感したり、サーモグラフなどを使って比較したりすることで、それぞれの性能差を感じていただけます。
  特に、「昔の家」と「これからの家」では、温度、上下温度差と、暖房室と非暖房室との部屋間温度差が大きい(下図)ことが分かります。

実験方法:実験前に控室で心拍計、皮膚温計の装着、血圧測定を行い、安静時間を設けた後、断熱性能の異なる各部屋に50分間入室し、居間、廊下及びトイレにて血圧測定を行いました
実験結果に基づくまとめ:
  • 皮膚温(足の甲):「これからの家」の部屋では「昔の家」の部屋と比較し、2℃高い傾向がみられた。
  • 血圧(収縮期):「これからの家」の部屋では「昔の家」の部屋と比較し、12.4mmHg低い傾向が見られた。
  • 心拍数:「これからの家」の部屋では「昔の家」の部屋と比較し、3.5回/分 多い傾向が見られた。
 以上より、住宅の断熱性能の違いが、血圧、心拍数、皮膚温に影響を及ぼし、前記に説明した身体メカニズムの通りとなった。今後は、サンプル数の拡充や測定項目の追加を行い、さらに研究を進めていく予定です。

※3 UA値:外皮平均熱貫流率(UA値)は、住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値。値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。
※4 居住者の健康維持と快適性向上を主目的として民間団体・有識者で設立された委員会(HEAT20:「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」)で定めたより高い断熱グレードによる住宅

■ 住宅の高断熱化に伴う医療費・光熱費の削減効果(※)
 ※出典:外部調査会社と協力で実施。2019年12月13日~19日の期間、全国889人の20~70代を対象にWebアンケート調査実施。また、健康住宅(以前よりも断熱性能の高い住宅)に転居した居住者450人を対象に、健康住宅の調査による健康効果の経済価値換算を試行的に実施。
 
 「暖かさ・涼しさ」の改善による健康症状への影響は、「心疾患」「脳血管疾患」などの循環器疾患の抑制だけでなく、「アレルギー性鼻炎」「アトピー性皮膚炎」の緩和、睡眠の質の向上などにもつながります(※)。
   断熱性能の優れた健康住宅への居住によるこれらの疾病改善に伴う医療費削減額と所得損失回避額の合計は世帯当たり年間58,632円(※5)と算出されています。また、住宅の高断熱化により光熱費を抑えることができ、年間10,988円(※6)の光熱費の削減効果が期待されます。これを日本全国のHEAT20 G2未満の戸建住宅(約2,680万世帯)に拡大推計したときの経済価値(社会的便益)は、最大約3.6兆円と試算(※7)されます。
  •  医療費・所得損失:健康住宅への居住による疾病改善に伴う医療費削減額と所得損失回避額の合計は、世帯あたり年間58,632円と算出
  • 光熱費:住宅の高断熱化により、冷房温度を上げる/暖房温度を下げる/冬場の給湯温度を下げる効果が確認され、これらを光熱費に換算すると年間10,988円削減可能と試算

※5 試算条件:
光熱費(円/世帯・年)=夏場/冬場のエアコン設定温度変更分(消費電力×平均運転時間×設定温度の変更幅×1℃あたりの節電効果10%)+冬場の給湯温度変更分(設定温度の変更幅×1℃あたり節約効果3.5円)
アンケート結果より、エアコン設定温度は冷房度日65日間・暖房度日117日間で試算。給湯温度は、浴槽200L・シャワー64L/人・世帯人数2.6人として117日分で算出。
※6 試算条件:
1世帯あたりの医療費削減額(円/世帯・年)=1人あたりの医療費(医療費総額÷総人口)×世帯当たりの構成人数×疾病改善率
1世帯あたりの所得損失回避額(円/世帯・年)=1人あたりの診察日数(のべ診察日数÷総人口)×1日あたりの所得×疾病改善率
アンケート結果より疾病別の改善率を算出し、疾病別の医療得点と診察日数から医療費および所得損失を算出。疾病別医療費削減額・所得損失回避額について、経済価値への換算方法は、伊香賀俊治ら「健康維持がもたらす間接的便益(NEB)を考慮した住宅断熱の投資評価」(日本建築学会環境系論文集/76 巻 (2011) 666 号, p.735-740)を引用。さらに、「1人あたりの医療費」及び「1人あたりの診察日数」は平成30年社会医療診療行為別統計より、また「疾病改善率」は、2019年12月に実施した住宅転居者へのアンケート調査結果に基づき、試算を行った。
※7 試算条件:
2019年時点 断熱リフォームによる断熱性能向上を想定。ただし、既存戸建住宅ストックが一度に断熱リフォームされることは現実的にはなく、長期に及ぶ断熱リフォームの普及促進がなされた後に、この効果を得られるものと想定。

■ かんたんリフォームで、#おうち時間を、幸せに
 LIXIL では、ウィズコロナ時代の新しい日常を、皆さまに健康・快適・安心・安全に過ごしていただけるよう、「かんたんリフォームで、#おうち時間を幸せに」(https://www.lixil.co.jp/ouchijikan/)を通じて、暑さ・寒さや防音、換気、防災対策としてリフォームをご提案しているほか、暮らしに関するさまざまなアイデアをご紹介しています。
●内窓「インプラス」(https://www.lixil.co.jp/lineup/window/inplus/
  快適さの秘密は「空気層」。インプラスを取り付けることで、今ある家との間に空気層が生まれ、これが壁の役割となって、断熱効果や防音効果を生み出します。また、インプラスは樹脂製内窓。樹脂の熱伝導率はアルミに比べて約1/1000。外気の温度に左右されにくく、断熱効果、防露効果を発揮します。工事は最短1時間で完了(※)。今お使いの窓枠を利用して取り付けるため、壁や柱を傷つける必要もありません。
  優れた断熱性・遮音性・防露性はもちろん、これまでにない表情と質感を再現したデザインで、快適で理想のインテリア空間を演出するリノベーション向けの内窓「INPLUS for Renovation」を2020年10月より発売しています。

※現場の状況により施工に必要な時間は異なります。

●取替窓「リプラス」(https://www.lixil.co.jp/lineup/window/replus/
  古い窓を新しい窓に取り替えて見た目も機能もリフレッシュ。たとえば、ガタガタしていた窓の開閉もスムーズに。高断熱窓に取り替えることで、外の寒さ・暑さの侵入を抑えてお部屋の快適さもアップ。さらに、リプラスなら窓のタイプの変更もOK。大掛かりな工事が必要ないので、約半日~1日で窓リフォーム完了(※)。メーカー・シリーズを問わず取り替え可能です。

※現場の状況により施工に必要な時間は異なります。

●断熱改修工法「SW工法リフォーム」(https://newsrelease.lixil.co.jp/news/pdf/2019121302.pdf
  国内トップクラスの断熱性能水準となる HEAT20 G1・G2 レベルへ住まいながら家一棟まるごとの改修を実現する断熱改修工法です。既存住宅の外側に、高性能な付加断熱パネルと金属サイディングを取り付けることで、断熱性能と外観の美しさを両立させます。また、天井・床断熱、換気、開口部の改修を組み合わせることで、それぞれの住宅にあわせた断熱改修が可能となります。(2021年4月全国販売予定)
※SW工法リフォーム取扱店としての加盟が必要です。


●システムバスルーム「スパージュ」(https://www.lixil.co.jp/lineup/bathroom/spage/
  保温材入りのシステムバスルームで、浴室の温度環境を改善。昔のタイル張りのお風呂はとても寒いですが、浴室をシステムバスルームにリフォームすることで、壁の中に断熱材を入れることができるので浴室の冷え込みも軽減します。さらに、床・壁・天井に保温材が入ったシステムバスルーム「スパージュ」なら、冬のバスタイムもグッと快適に変わります。


  LIXILは、社会問題のひとつとして注目されはじめたヒートショックに関する正しい理解の浸透と対策を促進するため、理念をともにする複数企業の協働での取り組みとなる「STOP!ヒートショック」プロジェクト(https://heatshock.jp/)に賛同・参画し、2020年11月1日~2021年2月28日を重点活動期間として、昨年に引き続き今年度も啓発プロモーションを展開します。


  LIXILでは今後も、エンドユーザーの皆さまのニーズに寄り添いながら、商品の開発を進め、大きく変わろうとしている新しい生活様式においても、健康で快適、安心・安全な暮らしを支えてまいります。


 

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会社概要

株式会社LIXIL

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URL
http://www.lixil.co.jp/
業種
製造業
本社所在地
東京都品川区西品川一丁目1-1 大崎ガーデンタワー24F
電話番号
-
代表者名
瀬戸欣哉
上場
東証1部
資本金
346億円
設立
2001年10月