「あすチャレ!メッセンジャー」オンライン修了講演レポート 車いすラグビー現役アスリート壁谷選手が共生社会を語る
10ヶ月にわたるパラアスリート向けスピーチトレーニングプログラムの修了講演
公益財団法人日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ、会長 山脇康)は8月26日、パラアスリートらを対象に実施しているスピーチトレーニングプログラム「あすチャレ!メッセンジャー」における、壁谷知茂選手(車いすラグビー)のオンライン版修了講演をメディア公開しました。
本講演は、日本車いすラグビー連盟強化指定選手の壁谷知茂選手がアクセンチュア株式会社の社員約180人に向けてオンラインで行ったもので、障がい当事者でもある壁谷選手がアメリカ生活で感じた日本の社会との差や、車いすラグビーの魅力、練習環境の問題などについて語り、共生社会について考えるきっかけにしてほしいと呼びかけました。
奈良県出身の壁谷選手は、2012年3月に歯科医師免許を取得し、研修医として働き始めた2012年11月にカンボジアで事故に遭い、頚髄を損傷。現在も、脇から下が全く動かない。
それでも「落ち込むことはなかった」と話し、タイ・バンコクで入院生活を送っていた際に撮ったという笑顔の写真をスライドで紹介した。その後、日本に戻り、リハビリ生活を送ると、ベッドから車いすへの移乗など、ひとりでできることを増やしていく様子を当時の動画も盛り込みながら伝えた。
・車いすラグビーとの出会い
そして2014年。パラリンピック競技の中でも重度障がいの選手が参加する車いすラグビーに出会うと、壁谷選手の世界は一変する。
練習に行けば、同じ障がいならではの失敗談や他愛もない話ができる居心地の良さがあり、充実した生活送っている選手の姿は、未来に対してビジョンが描けない自分の少し先の未来を感じさせてくれた。
・日本の現状とアメリカの事例
講演はいよいよ本題へ。障がいがあるゆえ、病院への職場復帰を拒否されて思い知らされた現実について語り、「東京2020大会を契機によくなっている一方、日本全体で考えるとまだまだ生活で困ることは多い。皆さんと一緒に共生社会とは何か考えたい」と熱を込めた。
また、パラアスリートの練習環境について、トップ選手でも苦労している現状を紹介。「障がいのある子どもたちが気軽に体を動かしたり、スポーツに取り組めなかったりすることに大きな問題を感じている」と指摘した。
壁谷選手は、2018年に半年間、マサチューセッツ州立大学ボストン校へ留学。日本で多くの自由が奪われる経験をしたのに対し、「アメリカでは車いすに乗っていることで制限を受けることがなかった」と、現地で感じたギャップについて具体例を挙げながら話した。
・まとめ「すべての人が尊重される社会に」
留学中に、難民2世の学生たちと出会い、障がい者問題にとどまらない様々なマイノリティについて考えさせられたという壁谷選手。講演の終わりには「共生社会とは、マイノリティだけをただ社会に引き上げることではない。公正な社会を作り上げていくためには法律で求められているアクセスの確保やコンプライアンスの枠を超えて、社会全体をインクルーシブな形にしていくことが大事だと思う。このような考え方が広く浸透することによって、すべての人が自分らしさが尊重される社会になっていくのではないか」と呼びかけた。
●コメント
【壁谷知茂】講演者
【海老原城一】アクセンチュア株式会社社員向け修了講演主催者、「あすチャレ!メッセンジャー育成プログラム」開発者
講演には話し手自身の体験や障がいについて盛り込んでもらいつつ、主題を設ける際にそれをフォローするためのエピソードが何か、論理構成についてのアドバイスを行っている。(今回の講演にあたっては)壁谷選手が社会に発信したいテーマとして、アメリカと日本での体験をもとにした共生社会についてのメッセージが大きかったので最終的にこのテーマでお話いただいた。
オンライン講演は一方的になりがちだが、チャットを活用して双方向のやりとりも可能。また、目線の置き場や原稿を読むのではなく自身の言葉で伝えるアドバイスなどを行った。
【金子知史】日本財団パラリンピックサポートセンター 推進戦略部ディレクター
従来の予定では、3月頃に対面でのスピーチトレーニングを終えて修了講演を行うパラアスリートが8人いたが、新型コロナウイルスの影響で白紙になり、スピーチトレーニングも休止していた。7月以降、スピーチトレーニングを再開し、このような形で修了講演も実現できるようになった。オンライン講演会の受付も始めたので、あすチャレ!メッセンジャーとして認定しているパラアスリート・指導者の声をどんどん届けていきたい。
https://www.parasapo.tokyo/messenger/
※オンライン講演も受け付けています。詳しくはホームページをご覧ください。
設立以来、パラリンピック競技団体の運営支援をはじめ、パラアスリートや障がいのある当事者と一緒に知る、学ぶ、体験する、パラスポーツを活用したD&Iプログラムを展開し、2019年にはスポーツ庁長官表彰を受賞しました。
https://www.parasapo.or.jp/
・事故で車いす生活になり、自立するまで
奈良県出身の壁谷選手は、2012年3月に歯科医師免許を取得し、研修医として働き始めた2012年11月にカンボジアで事故に遭い、頚髄を損傷。現在も、脇から下が全く動かない。
それでも「落ち込むことはなかった」と話し、タイ・バンコクで入院生活を送っていた際に撮ったという笑顔の写真をスライドで紹介した。その後、日本に戻り、リハビリ生活を送ると、ベッドから車いすへの移乗など、ひとりでできることを増やしていく様子を当時の動画も盛り込みながら伝えた。
・車いすラグビーとの出会い
そして2014年。パラリンピック競技の中でも重度障がいの選手が参加する車いすラグビーに出会うと、壁谷選手の世界は一変する。
練習に行けば、同じ障がいならではの失敗談や他愛もない話ができる居心地の良さがあり、充実した生活送っている選手の姿は、未来に対してビジョンが描けない自分の少し先の未来を感じさせてくれた。
・日本の現状とアメリカの事例
講演はいよいよ本題へ。障がいがあるゆえ、病院への職場復帰を拒否されて思い知らされた現実について語り、「東京2020大会を契機によくなっている一方、日本全体で考えるとまだまだ生活で困ることは多い。皆さんと一緒に共生社会とは何か考えたい」と熱を込めた。
また、パラアスリートの練習環境について、トップ選手でも苦労している現状を紹介。「障がいのある子どもたちが気軽に体を動かしたり、スポーツに取り組めなかったりすることに大きな問題を感じている」と指摘した。
壁谷選手は、2018年に半年間、マサチューセッツ州立大学ボストン校へ留学。日本で多くの自由が奪われる経験をしたのに対し、「アメリカでは車いすに乗っていることで制限を受けることがなかった」と、現地で感じたギャップについて具体例を挙げながら話した。
・まとめ「すべての人が尊重される社会に」
留学中に、難民2世の学生たちと出会い、障がい者問題にとどまらない様々なマイノリティについて考えさせられたという壁谷選手。講演の終わりには「共生社会とは、マイノリティだけをただ社会に引き上げることではない。公正な社会を作り上げていくためには法律で求められているアクセスの確保やコンプライアンスの枠を超えて、社会全体をインクルーシブな形にしていくことが大事だと思う。このような考え方が広く浸透することによって、すべての人が自分らしさが尊重される社会になっていくのではないか」と呼びかけた。
●コメント
【壁谷知茂】講演者
「あすチャレ!メッセンジャー」に参加したきっかけは、(東京パラリンピック開催が近づいたことで)人前で話す機会が増え、きちんと伝え方を学びたいと思ったから。実際にスピーチプログラムを受講し、毎回、客観的なフィードバックを得ながら伝え方を精査してブラッシュアップすることができた。現役のうちからこうして考えを言語化して発信をすることで、自分が競技をする意味について頭の中で整理されるし、競技にもいい影響を与えていると思う。今後は、企業の皆さんさんはもちろん、次世代を担う子どもたちにも話す機会があればうれしい。
【海老原城一】アクセンチュア株式会社社員向け修了講演主催者、「あすチャレ!メッセンジャー育成プログラム」開発者
講演には話し手自身の体験や障がいについて盛り込んでもらいつつ、主題を設ける際にそれをフォローするためのエピソードが何か、論理構成についてのアドバイスを行っている。(今回の講演にあたっては)壁谷選手が社会に発信したいテーマとして、アメリカと日本での体験をもとにした共生社会についてのメッセージが大きかったので最終的にこのテーマでお話いただいた。
オンライン講演は一方的になりがちだが、チャットを活用して双方向のやりとりも可能。また、目線の置き場や原稿を読むのではなく自身の言葉で伝えるアドバイスなどを行った。
【金子知史】日本財団パラリンピックサポートセンター 推進戦略部ディレクター
従来の予定では、3月頃に対面でのスピーチトレーニングを終えて修了講演を行うパラアスリートが8人いたが、新型コロナウイルスの影響で白紙になり、スピーチトレーニングも休止していた。7月以降、スピーチトレーニングを再開し、このような形で修了講演も実現できるようになった。オンライン講演会の受付も始めたので、あすチャレ!メッセンジャーとして認定しているパラアスリート・指導者の声をどんどん届けていきたい。
- あすチャレ!メッセンジャーについて
https://www.parasapo.tokyo/messenger/
※オンライン講演も受け付けています。詳しくはホームページをご覧ください。
- 「あすチャレ!」プログラムについて
https://www.parasapo.or.jp/program/
- 日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)について
設立以来、パラリンピック競技団体の運営支援をはじめ、パラアスリートや障がいのある当事者と一緒に知る、学ぶ、体験する、パラスポーツを活用したD&Iプログラムを展開し、2019年にはスポーツ庁長官表彰を受賞しました。
https://www.parasapo.or.jp/
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