よしもと芸人も体験!ろう者と聴者が協力して脱出を目指す、”異言語”脱出ゲームの魅力
コミュニケーションの難しさを体験し、伝わることの楽しさを体感できる新しい脱出ゲームに芸人も参加しました。
10月13日(土)、『京都国際映画祭2018』とのコラボレーション企画として「異言語脱出ゲーム~淳風大学からの卒業 SDGsバージョン~」が元淳風小学校にて開催されました。
「異言語脱出ゲーム」とは、ワークショップ等を行っている一般社団法人「異言語Lab.」が生み出した、謎解きの要素に手話・筆談・音声などを組み合わせた新しいスタイルの脱出ゲーム。今回は吉本興業がコラボレーションし、国連で採択された世界共通17の目標=“SDGs”を謎解きのキーワードとした特別バージョンで、芸人も参加して行われました。
「異言語脱出ゲーム」とは、ワークショップ等を行っている一般社団法人「異言語Lab.」が生み出した、謎解きの要素に手話・筆談・音声などを組み合わせた新しいスタイルの脱出ゲーム。今回は吉本興業がコラボレーションし、国連で採択された世界共通17の目標=“SDGs”を謎解きのキーワードとした特別バージョンで、芸人も参加して行われました。
この日、1日に2回実施された「異言語脱出ゲーム~淳風大学からの卒業 SDGsバージョン~」。
1つのチームは事前に募集したろう者・難聴者と聴者による6人で構成されます。今回のイベントには、1回目に河本準一(次長課長)、黒瀬純(パンクブーブー)、トット、田畑藤本が参加。
さらに1回目には天竺鼠、2回目にはレイザーラモンが進行として登場し会場を盛り上げ、キャベツ確認中と、小さなときから手話を使用してきた沖縄芸人・大屋あゆみも「出題芸人」として参加。さらに西川きよしは学長として、 ガリットチュウ・福島善成も出題者としてVTRで出演し、謎とゲームを盛り上げました。
お互い「はじめまして」の間柄のため、まず参加者は筆談・身振り・手話、3つの手段を使って自己紹介。
手話を学んでいる河本は「僕の名前はタンメンです」とおなじみのポーズを見せ笑いを取ります。どのチームも3つの手段を駆使してコミュニケーションが弾みました。
今回のゲームでは“淳風大学”を卒業することがミッションとなり、手話や指文字を知らないと解けない謎も含まれるため、必然的にチーム内での協力、より深いコミュニケーションが不可欠となります。
チームは謎を解き進めるにつれ、隣の教室、そしてまた違う教室と次々に移動。「おぉー」「頭いい」「なるほど」といった感嘆の声があちこちで聞かれ、一体感やチームワークが生まれていく様が見て取れます。
1時間の制限時間内に謎を解き、卒業=クリアを果たせたのは6チーム中2チーム(第1回)。
しかし、参加者から「コミュニケーション方法が違う私たちですが、“伝えたい”という気持ちが大事だと思いました」「話せなくても意思疎通できるのを感じました」といった感想が聞かれ、ゲームを通してクリア以上に大切な実感を得られたようでした。
クリアはならなかった河本チームですが、「普段当たり前のように言葉が通じているので甘えが生じてしまっている。でもこういうコミュニケーションを取ると、本当に伝えなきゃいけない時は、目を見て伝えるということが分かってくる。芸人はジェスチャーゲームとか伝える能力があると思うので、もっとこうやってゲームとかを楽しみながら広めていきたい」と今後も手話や異言語でのコミュニケーション、そしてそれを広めていく意欲を語りました。
続いて2回目の公演には脱出ゲーム好きとして知られる麒麟の田村裕、大西ライオン、きんめ鯛、ラフ次元、タイ住みます芸人のTの極みや、インドネシア住みます芸人のそこらへん元気が参加。
各チーム、1回目より早い進行で期待が持たれましたが、逆に終盤で苦戦が見られ、卒業に至ったのは河本同様手話を学び、デフバスケットボールのチームとも交流を持つ麒麟・田村のチーム1つのみ。
1度は卒業認定を受けながら、ミスが発覚して取り消しになるという悲運に見舞われた大西ライオンチームですが、チームメートと手話に合わせた「心配ないさ~」を決め、この日一番の大きな拍手を浴びていました。
見事ゲームをクリアした田村は、「いつもの脱出ゲームより伝わった時の喜びは大きくて、途中のコミュニケーションでろう者の方と分かり合えた喜びが非常に大きいので、このゲームは心の動きが多いと思いました。非常に貴重な、いいものだなと思いました」と感想をコメント。
コミュニケーション方法が異なる他者と分かり合えることが「異言語脱出ゲーム」の神髄であるようです。
ニューヨークの国連本部から来日し、ゲームに参加したジェフリー・ブレーズさんも「とても楽しくて、今日はいっぱい友達ができました」とゲームを終えて笑顔を見せます。そして「こんな面白いゲームを作って、SDGsを知ってもらう。そして深い意味で分かってもらうゲームを作ったのはスゴいことだと思って感動しています。ぜひ世界版を作って頂きたい」とも感想を漏らし、「異言語脱出ゲーム SDGsバージョン」のさらなる展開に期待を寄せました。
1カ月掛けて謎を考え、今回の脱出ゲームを作った「異言語Lab.」の代表・菊永ふみさんは、「聴者と一緒になって何かを成し遂げる、本当に伝え合うということができたのは、お互いにとっていい経験になったと思います」と今回のイベントを振り返り、「ろう者なので人と繋がるということがなかなか難しいですが、関わるということを自分の中で諦めず、異言語ゲームの力を使って様々な人と繋がっていければ」と、今回感じた成果を新たな活力にされたようでした。
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