アストロスケール英国、デブリ除去衛星ELSA-Mの詳細設計審査を完了
持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ除去を含む軌道上サービスに取り組む株式会社アストロスケールホールディングス(本社:東京都墨田区、創業者兼CEO 岡田光信)の英国子会社であるAstroscale Ltd.(以下「アストロスケール英国」)はこの度、軌道上で役目を終えた複数の人工衛星を除去する「ELSA-M(エルサ・エム、End-of-Life Services by Astroscale – Multipleの略)」の開発において、機体の詳細設計審査(CDR※1)を成功裏に完了したことをお知らせいたします。

2026年に打上げを予定しているELSA-Mは、捕獲や除去を可能にするインターフェイスを搭載した衛星を対象とした、衛星運用終了時の除去を行うEOL(End-of-Life)サービスとして世界初のミッションです。この軌道上実証ミッションは、欧州宇宙機関(ESA)とEutelsatのパートナーシップであるSunriseプログラムを通じて、英国宇宙局(UKSA)によって支援されており、アストロスケールが過半を拠出し、残りは欧州宇宙機関およびEutelsatを通じた英国宇宙庁による共同出資で構成されています。SunriseプログラムはESAのARTES(Advanced Research in Telecommunications Systems)プログラムの一部であり、次世代通信衛星ミッションのためのソリューションを開発することを目的としています。
またこの画期的なミッションは、オックスフォードシャーのハーウェルキャンパスにあるアストロスケール英国によって設計および製造されています。今回完了したCDRのマイルストーンは、ESAおよびEutelsatの代表者からなる顧客チームによる詳細なレビューを通じて確認されました。また、これはデブリ除去における英国のリーダーシップを示すものであり、ISAM(軌道上サービス・組立・製造)への重要な一歩になります。ISAMは現在、宇宙産業で最も急成長している分野です。
アストロスケール英国社長 ニック・シェーブのコメント
ELSA-Mの詳細設計審査の完了は、ミッション自体にとっても、英国のISAM産業にとっても大きな成果です。このミッションは、当社、英国宇宙庁、欧州宇宙機関やEutelsatと英国全域に及ぶ当社のISAMサプライチェーンにおける多くの産業パートナーとのパートナーシップで実現しています。地球周回軌道上における衛星の継続的な増加に伴い、ELSA-Mの堅牢なRPO※2(ランデブ・近傍運用)および宇宙機の捕獲機能は、将来の循環型宇宙経済の一環として、デブリ除去や他の軌道上サービスを革命的に変えるでしょう。
英国宇宙庁 通信投資リード ジョシュア・キング氏のコメント
アストロスケールの先駆的なELSA-Mミッションを支援できることを大変嬉しく思います。このミッションは、軌道上サービスと宇宙の持続可能性(スペースサステナビリティ)において大きな飛躍となるものです。詳細設計審査の完了というマイルストーンは、英国デブリ除去におけるリーダーシップを強調するだけでなく、衛星通信を支援するための新技術と能力の提供に対する我々のコミットメントも示しています。また、これはSunriseプログラムにおけるアストロスケール英国、欧州宇宙機関、Eutelsatによる卓越した協力の証であり、来年の打上げを楽しみにしています。
欧州宇宙機関 接続・安全通信部門ディレクター ローラン・ジャファール氏のコメント
宇宙は海洋と同様に、私たち全員にとっての共通資源であり、責任を持って取り扱う必要があります。アストロスケール英国は2024年6月、2030年までにデブリゼロを達成するための高レベルの指針と具体的な共同定義目標を含む欧州宇宙機関の「ゼロデブリ憲章」に署名しています。私たちは、最先端技術を活用して新たなミッションを創出し、人材と投資を呼び込むことで、デブリ除去の商業的実現可能性を示そうとするアストロスケールの取り組みを支援できることを嬉しく思います。欧州宇宙機関は、競争の激しい世界の衛星市場において、欧州およびカナダのイノベーションを引き続き推進していきます。
Eutelsatグループ イノベーション担当シニアディレクター ギヨーム・スコッテ氏のコメント
アストロスケールのCDR完了は、軌道上サービス技術の支援、試験、検証に向けた我々の共同努力が前進していることを示しています。これは、宇宙を貴重な自然資源として長期的に保全するために極めて重要なものです。このマイルストーンを達成したことで、欧州宇宙機関、英国宇宙庁、そしてアストロスケールとの継続的な協力を通じて、我々のミッションをさらに進展させられるでしょう。
ELSA-Mの機能は、2021年に打ち上げられ、模擬デブリの捕獲や遠距離からの接近の実証に成功したELSA-d(End-of-Life Services by Astroscale – demonstration)の機能を向上させたものです。ELSA-Mは現在、フライトモデルの組み立て、統合、試験、打上げ、運用、軌道上実証を含むフェーズ4を進めています。軌道上実証は、Eutelsat OneWebの衛星とのドッキングや軌道離脱等を含みます。
※1 CDR:Critical Design Reviewの略称。詳細設計審査
※2 RPO:Rendezvous and Proximity Operations Technologiesの略称。ランデブ・近傍運用
アストロスケール について
アストロスケールは、軌道上サービスの世界的リーダーとして、安全で持続可能な宇宙開発に取り組んでいます。当社は衛星の寿命延長、故障機や物体の観測・点検、衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去、既存デブリの除去など、多様で革新的な軌道上サービスソリューションを提供します。2021年3月以降、アストロスケールはELSA-dやADRAS-Jのミッションにおいて軌道上でRPO技術を実証し、軌道上サービスのリーダーとしての地位を確立してきました。アストロスケールの宇宙機は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や米国宇宙軍、欧州宇宙機関(ESA)、英国宇宙庁(UKSA)、Eutelsat OneWebとの先駆的なミッションに採用されています。宇宙機の定期的な点検、移動、除去、寿命延長のためにより多くの衛星運用者が軌道上サービスを導入し、循環型宇宙経済の可能性が広がり、より持続可能な宇宙の未来が開かれつつあります。本社・R&D拠点の日本をはじめ、英国、米国、フランス、イスラエルとグローバルに事業を展開しています。
アストロスケールウェブサイト:https://astroscale.com/ja/
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